イベント『FUTURE RESERVE』初開催 Dannie May、黒子首ら渾身のステージで魅了
Photo:るなこさかい
VINTAGE ROCKとチケットぴあがタッグを組み、今観るべきアーティストをピックアップした共同企画『FUTURE RESERVE』の第1回が渋谷CLUB QUATTROで開催された。ラインナップは7月に大阪、東京でワンマンライブを控えているDannie May、今年2月にトイズファクトリーからメジャーデビューした黒子首(ほくろっくび)のツーマンライブとなった。
Apes
Leo Sakai(Vo/Gt)
まずオープニング・アクトを務めたのは東京発のインディーロック4人組、Apes。オルタナ調の不穏なベースで始まり、ポップな歌メロを響かせると、「やさしくなれない」で本編スタート。メロディを際立たせる一方で、エッジ際立つサウンドでも引き込む。「Boying」では大陸的なドラムやクリーントーンのギターを用い、雄大なスケール感で会場を包み込んだ。
Yusuke Arai(Gt)
Keto Murao(Ba)
Morikazu(Ds)
「クアトロやべぇー、気持ちいい!次はメインアクトでクアトロに立ちたい。最後にクソでかい音出して帰ります」とLeo Sakai(Vo/Gt)は告げ、「Goodbye sea」をプレイ。
アカペラ風の歌い出しから轟音の演奏へ。静から動に切り替わる展開により、迫力漲るインストパートを叩きつけて終了。温かさとヒリヒリした緊張感を併せ持つ演奏に強烈なオリジナリティを感じた。
黒子首
次は黒子首の出番だ。堀胃あげは(Vo/Gt)、みと(Ba)、田中そい光(Ds)、サポート・ギタリストの4人が姿を現す。「エンドレスロール」で幕を開けると、堀胃はアコースティック・ギターを持ち、繊細な歌声を沁み渡らせていく。1曲目を終えた後、田中がステージ前方に乗り出し、活気溢れる挨拶とジョークで和ませると、「チーム子ども」へ。引き続き、囁くような堀胃の繊細な歌声を演奏がきっちり支え、仄かな明るさを宿したメロディをまっすぐ届ける。
次の「あなうめ」では、シーケンスのピアノを配した透明度の高いサウンドと、キャッチーなコーラスも印象的だった。
堀胃あげは(Vo/Gt)
続くブロックは「最近ライブでやってなかった曲」と前置きして、「マーメイド」を披露。明るさを帯びたポップ性で観客を照らした後は、「夜の下」、「swimming cat」と繋ぎ、「胎の蟲」では一度聴けば耳から離れない妖艶なサウンドを突きつけた。アコギの小気味いいカッティングが響くと、「やさしい怪物」では堀胃と田中による男女掛け合いヴォーカルで聴かせ、ストーリー性豊かな曲調も冴え渡っていた。
みと(Ba)
田中そい光(Ds)
後半に差し掛かり、堀胃は「とてもみんなに感謝しています」と述べ、ラストは「前日譚」を披露。この曲で堀胃はハーモニカを吹きつつ、芯の強いエモーショナルな歌声で観客の心を掴んでいた。もっと言えば、魂の叫びとも言える熱唱ぶりで、いままでのクールな佇まいをいい意味で裏切るアプローチに魅せられてしまった。
Dannie May
そして、トリを飾ったのはDannie May。
マサ(Vo/Gt)、田中タリラ(Vo/Key)、Yuno(Vo/Kantoku.)、サポートドラムという編成で、「一生あなたと生きていくなら」でショウは始まった。シンセの軽快な響きと共に、マサはソウルフルな歌声を存分に披露。次の「灰々」ではアッパーな曲調にタリラが甘美な歌を乗せていく。「楽しみにして来た奴、手を挙げて!」とYunoが呼びかけ、観客も手を挙げてノッていた。
マサ(Vo/Gt)
「針よ墜とせぬ、暮夜の息」に入ると、3人がヴォーカルを取る特異なスタイルを有効活用し、キレイなハーモニーで観る者の意識を奪い去っていく。彼らのバンド・プロフィールを読むと、「新感覚の極上コーラス系バンド」と明記されている。まさにその言葉を裏付けるチームワークぶりで、ほかのバントとは一線を引く個性でフロアを活気付けていた。「戻ってまいりました、クワトロ」とマサが言うと、「3月にワンマンやったばかり」とYunoが続き、「対バン、久しぶりだよね」とタリラもこの日を楽しみに待っていた様子。
それから「暴食」においても3声のコーラスが映え、会場の熱気をグイグイと押し上げていった。ステージ後方からライトが照らされると、「if you イフユー」に移る。ここでは哀愁を帯びた歌メロにより、大人びた世界観で観客に寄り添っていた。
田中タリラ(Vo/Key)
「適切でいたい」を挟んだ後、「メロディが浮かばなくても」ではミラーボールが煌々と回る中で楽曲を披露。さらに、タリラは語りかけるような歌い回しで、フロアとの距離をグッと縮めていた。アップテンポな「黄ノ歌」でより一層焚きつけると、お祭り感のある「ええじゃないか」が炸裂。Yunoがタオルを回すと、フロアはパーティー空間に様変わりだ。
「最後にもうちょっと踊っていきましょうか?」とマサが煽ると、「ユートピア」に雪崩れ込んでいく。
浮遊感に富む鍵盤と爽快なコーラスが際立ち、体がフワッと軽くなるサウンドで会場を最高潮に盛り上げた。
Yuno(Vo/Kantoku.)
6月22日に配信でニューEP『五行』リリースを告知した後、本編最後はアコースティックにて「異郷の地に咲かせる花は」をプレイ。ここでも3ヴォーカルによる美しいハーモニーで観客を酔わせていた。拍手に応え、アンコールで再び彼らがステージに現れると、ラストは「今夜、月のうらがわで」を放つ。「朝までパーティーだ」と繰り返す歌詞が耳に残り、チルな曲調に身も心も委ねるだけである。
ライブ全体を通して、ソウルやファンクをエッセンスに、懐かしい郷愁と都会的なセンスが交錯したサウンドは、やけに気持ち良かった。イベント名にも匂わせるように、“将来”有望な三者三様のステージングに観客も大満足で帰路についたことだろう。
Text:荒金良介Photo:るなこさかい
<公演情報>
VINTAGE ROCK × チケットぴあ presents FUTURE RESERVE vol.1
6月18日(土) 渋谷CLUB QUATTRO