w.o.d.『I SEE LOVE Tour』 会場のボルテージは最高潮に!The BONEZをゲストに迎えた対バン編FINALをレポート
Text:西澤裕郎
The BONEZ Photo by:Yoshifumi Shimizu
w.o.d. Photo by:Ayumu Kosugi
w.o.d.が2024年12月15日(日)、メジャー1stアルバム『あい』のリリース・ツアー『I SEE LOVE Tour』の神奈川開催を横浜ベイホールにて開催した。本ツアーは、11月13日にメンバーの地元・神戸太陽と虎からスタート。広島、長野、静岡、滋賀、茨城、福島、神奈川の8カ所で、UlulU、Age Factory、リーガルリリー、KOTORI、Maki、秋山黄色、ALI、The BONEZと、異なるゲスト出演者を招いて開催された。対バン編FINALとなったThe BONEZとのツーマン。2023年6月24日に、The BONEZが和歌山 SHELTERで開催した『47 都道府県 Tour 2023 – 2024』公演以来となった2組のライブの様子をレポートする。
18時1分。会場が暗転し、ビースティ・ボーイズの「サボタージュ」がSEとして流れると、JESSE(vo/g)、KOKI(g)、T$UYO$HI(b)、ZAX(ds)の4人がリズムに乗りながら勇ましく登場。4人がステージ中央で円陣を作り手を合わせ気合いを入れると、ZAXの激しいドラムで空気を切り裂いた。
JESSE が「w.o.d.、対バンツアーラスト、かますぞ! みなさん飛べますか?」と先導し、「1,2,3」とカウントを告げると、「We are The BONEZ」でライブをスタート。観客たちは手をあげて飛び跳ね、のっけから盛り上がりは沸点に達する。JESSEが早速客席にダイブし、1曲目とは思えないくらい会場の温度が一気にあがる。続く「Numb」では、サビで観客たちの手が左右に振れながら、勢いは加速した。
ZAX(ds)
ZAXが「w.o.d.の登場までガッツリ盛り上げるからついてこいよ!」と語り、JESSEがにこやかにZAXとやりとりをすると、「w.o.d.、大好きなバンドで、こうやって呼んでくれて、スタッフ含めチーム全員に感謝してます。なので、礼儀としてぶち壊しにきました!」とアジテートし、「We are The BONEZ」へ。激しいギターと会場を揺らす激しいビートに、観客たちもダイブの嵐に。「Love song」では、オイ! オイ! とコールが会場を包み、「Rusted Car」ではJESSEの「踊れ」という声に、観客たちはこれまで以上に体を揺らした。
「w.o.d.のツアー、最後まで完走できるよう、声がでなくなってもこいつらが歌ってくれる。このステージに来たらお前ら歌ってくれるよな?」とJESSEが投げかけ、フロアで助け合うこと忘れるなと声をかけると、T$UYO$HIのベースイントロから始まる疾走感溢れる「New Original」へ。JESSE はTシャツを脱ぎ捨て、フロアに降りる。「声が足らねえぞ!」と叫ぶと、声援はより一層大きくなり、フロアではJESSEを囲むようにモッシュが起こった。「俺ら最高だな!」とJESSEは叫び、ステージへ戻り楽曲を歌い続けた。
T$UYO$HI(b)
JESSE(vo/g)
MCでは、仲のいいバンドが、50歳になったら激しいスタイルでバンドをやれない、と語っていたことに触れ、「うちのベースみてみろ!」と50歳のベースT$UYO$HIについて語り、「未来は明るいぜ! 俺は102まで生きるからついてこいよ!」と力強く宣言した。
続く「You and I」では、KOKIがステージ前方で手をあげて観客たちを鼓舞。これまで以上に観客たちの手が振り上げられると、「能登半島じゃ、いまだライブすら行けない、好きなライブにも行けない人たちがいる。
だから、思い切り歌って踊って叫んでくれ」と語り、メロディアスな「Thread & Needle」を思いを込めて歌った。落ちサビでは、観客たちが10人近く観客たちの上に登りスクラムを組むようにステージにエネルギーを送った。
KOKI(g)
「人生つまらないとか、死にたいと思ったら、ここに寿命を延ばしてくれ。w.o.d.に繋げます」とJESSEは語り、「SUNTOWN」のイントロへ。楽曲途中で、観客の小さな女の子ふたりをステージにあげると、「この子供たちが大人になるまで、お前ら死ぬんじゃねえぞ!」と観客たちに叫び、ステージ中央で子供たちふたりとともに熱く合唱。大きなグルーヴに包まれる中、約40分のライブは幕を閉じた。4人は横並びになり、肩を組み、マイクを通さず、「ありがとうございました!」とお辞儀をして感謝を述べ、ステージを後にした。
The BONEZ
転換の時間を挟み、19時4分。
SE のVanilla Fudge「Ticket to Ride」が会場に流れ、サイトウタクヤ(vo/g)、Ken Mackay(b)、中島元良(ds)の3人がステージに登場。大きな拍手と声援の中、迎え入れられた。ゆったりと楽器を手にし、中央で3人が向かい合い息を合わせ正面を向くと、ドラムの1,2,3というカウントとともに、メジャー1作目のアルバム『あい』の冒頭を飾る「My Generation」でライブが幕を開けた。中野雅之(THE SPELLBOUND、BOOM BOOM SATELLITES)を外部プロデューサーに迎え制作された、w.o.d.の新たな扉を開いた楽曲だ。リバーブがかったボーカルと照明に、深い霧に包まれたような雰囲気に誘われる。それを一気に振り払うようなサビの開放感が、さらに心地いい。サイトウのしゃがれるようなスモーキーなシャウトはセクシーだ。
サイトウタクヤ(vo/g)
続いて、インパクトの強いベースのバッキングで幕を開ける「イカロス」へ。
3ピースのミニマムな編成ながらも、その音圧とグルーヴが圧倒的なエネルギーを生み出す。観客たちも手を上げて声を出し、彼らの演奏に応える。ミドルテンポでどこかグランジ的な要素も感じる「lala」では、間奏で3人の演奏のアンサンブルが爆発。一心不乱にそれぞれが楽器をかき鳴らす。再び3人が向かい合い集中すると、w.o.d.を代表する曲のひとつ「1994」へ。バンドの素晴らしさを体現したような、ストレートでフレッシュなガレージロックに、客席ではダイブも起こり盛り上がりを見せた。
ドラムの中島元良が、「The BONEZ、ありがとう!」と感謝を述べると、サイトウは「ライブハウスって世界一自由な場所やけど、だからこそ助け合って、違いを尊重しあって楽しんでいけたら最高だと思います。遊ぼうぜ!」と語り、跳ねるドラムのビートの「Take It Easy」へ。
観客たちはゆったりとサウンドに乗りながら、気持ちを高揚させていく。軽快なドラムとともに奏でられるロックンロール曲「馬鹿と虎馬」では、途中一瞬のインターバルを置き、緊張感を生むような空白の時間を経て再びアンサンブルを爆発させた。ギターリフに歓声が起こる。続く楽曲は、「あばく」だ。腹に響くようなベースの低音、タイトに刻むビート、それらを切り裂くようなシャウト。サイトウがギターを持ち替えると、ギターの弾き語りから「喜劇」へ。ベース、ドラムが加わったときのエネルギーの放出は圧倒的だ。
Ken Mackay(b)
「バンドとか、ミュージシャンとか、アーティストとか、それ以外もそうやと思うけど、特に変わりたくないと思ってやっているというか。
ちゃんと自分が何者で、自分がブレないように、しっかり持つみたいなものが、活動する上で、曲を作る上で、ライブする上でもめちゃ大事なことやと思って。根本はそれやと思う。でも、不思議とやっていると、いい影響も悪い影響も受けて、変わっていったりしちゃう。対バンツアーをいろいろやって気づいたのは、俺らは俺らのままでいいんやなってこと。俺も俺のままでいいし、みんなもみんなのままでいいと思うので、自由に音楽で遊べたらなと思っています。地元から出るとき、すごく不安になりながら作った曲をやります。」
サイトウがMCで、ゆっくりと一言一言言葉を紡ぐと「サニー」へ。楽器のアンサンブル以上に、言葉がストレートに伝わってくるミドルテンポのロック曲に、観客たちはじっくりと聞き入った。サイトウが「ありがとう」と感謝を述べ「夏の曲をやります」と「陽炎」へ。ギターバッキングが心地よく響く。一息つき、ギターの弾き語りとともに「あなたの犬になる」へ。バラードロック的な趣の楽曲をしっとりと、そして感情を込めて歌った。Ken Mackayと中島元良のリズム隊のグルーヴがサイトウの歌を力強く支え、楽曲が終わると惜しみない拍手が送られた。
w.o.d.
サイトウは、「やべー。BONEZやべー。泣いちゃったもん」と語ると、「やばいのを知ってて(The BONEZを)呼んだから、不安と焦りを感じながら日々過ごしていました。今のところ結構いい勝負できているかなと思っています」と自信を覗かせると、観客たちからは大きな拍手が起こった。「さっき影響の話をしたけど、俺はすぐ影響を受けるのでJESSEみたいに喋りたかったけど、全然無理やった」と笑いを誘った。
「喋ることを考えるので、酒とか飲んでいてください」と語ると、「俺も酒飲んでいいかな? ライブハウスって自由な場所なんで」と、スタッフから缶ビールを手渡され、ステージ上で乾杯した。「どう横浜? 楽しい?」とビールを片手に問いかけると、大きな歓声が。「ライブハウスって場所自体が大好きなので、ずっと音楽と酒でやっています。正直、めちゃめちゃ不安になったり、弱い気持ちになるときもあるけど、音楽があって最高やな! っていうのをずっと繰り返していて。さっきは一瞬、The BONEZが格好よすぎて、喰らいすぎて、もう無理と思って。4人とも発光しているというか、すご! と思って。でも、改めて考えたんですけど、w.o.d.って、俺ら3人でやっていて、めちゃくちゃ音がでかいドラムと、めちゃめちゃ歪んでいるベースと、俺がいるんですよ。最高じゃないですか?」と語ると、再び大きな拍手が沸き起こった。
「こうやって俺らが格好いいと思う音楽を聴きに来てくれる人がこんなにいて、まじで楽しいし、ずっとこれをやれたらなと思います。音楽大好きですか? みんなどう?」という声に、「好き!」と返答する観客たち。「絶対俺のほうが好きやけど」とサイトウは笑って対抗すると、「あともう一個あって。俺でかい音が大好きなんですよ。世界一重要な場所やから、俺は俺なりの楽しみ方をするから、お前らもお前らの楽しみ方をしてください」と語り、ギターのイントロから始まる「STARS」へ。テレビアニメ『BLEACH 千年血戦篇-訣別譚-』のオープニングテーマで、w.o.d.にとって初めてのアニメタイアップ曲だ。w.o.d.らしさを突き詰めたようなデカい音で奏でられるアッパーチューンに、観客たちの手が数多く上がった。
中島元良(ds)
赤と青の照明に照らされる中、w.o.d.の3ピースとしてのロックを凝縮したような「楽園」、ベースの印象的なリフから始まりサビでエネルギーが放出される「Fullface」、小気味いいリズムに体が揺れる「踊る阿呆に見る阿呆」とノンストップで駆け抜けると、「またライブハウスで遊ぼうぜ。ありがとう。w.o.d.でした」とサイトウが口にし、アルバム『あい』のラストソング「エンドレス・リピート」へ。ベースとドラムの演奏の上で、サイトウはスタンドマイクを両手で握りながら力いっぱい言葉を叫び歌った。サビで無数に上がる観客たちの手。この日最も大きな轟音で、会場を音の洪水で埋め尽くした。演奏を終えると、「バイバイ!」と声を投げ、ピースサインとともに3人はステージを後にした。3人がステージを後にしても、アンコールを求め続ける観客たちの拍手はしばらく止むことはなかった。
大団円の中、『I SEE LOVE Tour』の対バン編を終えたw.o.d.。彼らは、2025年2月から16カ所のワンマン公演で全国各地を回っていく。3人が奏でる圧倒的にエネルギッシュで大きな轟音は、これから先も鳴り止むことなく、全国で響き続けていく。
<公演情報>
『I SEE LOVE Tour』
2024年12月15日(日) 神奈川・横浜ベイホール
出演:w.o.d. / The BONEZ