『カンディンスキー 世界は鳴りひびく』宇都宮美術館で 抽象絵画の創始者の画業を、国内の収蔵作品だけでたどる初の試み
「抽象絵画」の創始者のひとりとして知られるワシリー・カンディンスキー(1866ー1944)の仕事を、国内に収蔵されている作品でたどる初の展覧会が7月19日(日)より、宇都宮美術館で開催される。
1866年、モスクワに生まれたワシリー・カンディンスキーは、法学や経済学を学んだのち画家に転じ、ドイツのミュンヘンで本格的に制作を始めた。ロシアの民俗芸術や後期印象派などに影響を受けながら色彩表現を深めた彼は、1910年前後には色と形そのものによって内面的な響きを表す抽象絵画へ到達。ミュンヘンでは「青騎士」を結成し、理論書『芸術における精神的なもの』で抽象芸術の理念を提示した。第一次世界大戦後は革命後のロシアで美術教育に携わるが、やがてドイツのバウハウスで教鞭をとり、幾何学的な形態と明快な色彩による構成的抽象を追究する。しかしナチスによるバウハウス閉鎖後はパリ郊外に移り、曲線的で有機的な形態を用いた晩年作を制作、77年の生涯を閉じた。
ワシリー・カンディンスキー《尖端》 1920年カンヴァス,油彩 110.0×91.5㎝公益財団法人大原芸術財団大原美術館蔵
抽象画というと、理論的で難解、というイメージを持ちがちだ。しかし、目に見えるものではなく、心の震えをそのまま「いろ」「かたち」「リズム」で表現するカンディンスキーの抽象画は、「理知」のタガをはめなければならないほどのロマンティシズムに満ちている。
ワシリー・カンディンスキー《商人たちの到着》 1905年カンヴァス,テンペラ92.5×135.0㎝宮城県美術館蔵
宮城美術館が所蔵する初期の代表作《商人たちの到着》をはじめ、日本各地のカンディンスキー・コレクションが集結する同展では、彼自身「童話のような」と呼んだ、抽象画の力と輝きを見ることができる。
また水墨画や草書など東洋の美学に通じるカンディンスキーの芸術は、1910年代という早い時期から日本の美術作家や美学者たちを魅了した。同展では、最新の研究をふまえて、日本におけるカンディディスキー受容の様相も紹介される。
<開催情報>
『カンディンスキー 世界は鳴りひびく―日本のコレクションでたどる画業と反響 ―』
会期:2026年7月19日(日)〜2026年9月3日(木)
会場:宇都宮美術館
時間:9:30~17:00(入館は~16:30)
休館日:月曜、7月21日(火)(※ただし7月20日は開館)
料金:一般1200円、高大生1000円、小中生800円
公式サイト:
https://u-moa.jp/