『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』上演中 12年ぶりの共演、藤山直美と寺島しのぶがお互いを絶賛
2026年2月5日、東京・新橋演舞場にて、『お光とお紺~伊勢音頭 恋の絵双紙~』が開幕した。脚本家・演出家の小幡欣治が『油屋おこん』として1987年に舞台化し、森光子、草笛光子により初演、1998年には宮本信子、星由里子の顔合わせで上演された舞台を、新たな脚本、演出で上演する。初日前日に行われた囲み取材では、12年ぶりの共演が話題の藤山直美、寺島しのぶが、舞台への思い、作品の魅力について語った。
冒頭の挨拶で、「ふたりで仲良く頑張ります」(藤山)、「久しぶりに直美さんと共演、来てくださったお客さまに、“あー、楽しかったな”と言って劇場を出ていただけるよう、頑張っていきたいと思います」(寺島)と述べたふたり。初日を前に緊張していると藤山が打ち明けると、寺島はすかさず「嘘でしょ?していないでしょう?」と突っ込むが、藤山は「やっぱりしますよ。私は何もできませんが、ちゃんとまとまっていい舞台になればいいなと、ずっと願いながら舞台に立たせてもらっています。しのぶちゃんには頼り切っています」と、寺島への信頼を示す。
本作の題材となったのは、寛政8(1796)年に伊勢の歓楽街、古市の妓楼・油屋で実際に起こり、歌舞伎『伊勢音頭恋寝刃』のもとになった「油屋騒動」。
古市の若い医者が遊女・お紺を求め油屋で次々と人を斬ったという衝撃的な事件だ。遊女お紺を演じるのは藤山、お紺と人気を競う遊女お光を寺島が演じる。
囲み取材が行われたのはゲネプロ開始直前、ふたりの衣裳は、紀州熊野の貧しい村の娘時代のものだ。寺島演じるウメ、のちのお光は村一番のとびきりの美人で、古市に売られることに。藤山演じるトシ、のちのお紺も、彼女が古市に行くのならと一緒に売られていく。ウメは16歳、トシは18歳。「そこがね(笑)。16歳、という台詞を言うことに、日々、自分との戦いがあるんです。
でも直美さんはちょっと前まで8歳を演じられていた」と寺島が振ると、藤山は「ほぼ60歳、サバを読んでいました」と衝撃の告白。
日本を代表する喜劇役者の藤山と、俳優として国際的な評価も得る寺島というふたり。久しぶりの藤山との共演について、「直美さんは、直美さんです。本の捉え方、ここは出ていく、というところの出て行き方……もう、隠し持っている感じです。 たとえつまらなくなってしまったとしても、直美さんが全部、9回裏の逆転ホームランで持っていっちゃうんです。
そこが直美さんの破壊力だと思います」と寺島。
その藤山は、「喜劇というものは、ちゃんとしたお芝居が柱として通って、初めてそこから作ることができる。ここ笑ってもらうよ、爆笑を取るよ、というように作るものではないんです。今回の柱は寺島しのぶさん。もう本当に最高裁判所ですわ」とユーモアたっぷりに寺島を称えた。
「油屋騒動」を新たな視点で捉えなおし、お紺とお光との友情、神職の改革を志そうとする御師・福岡貢との恋模様を描き出す本作。あらためて観客へのメッセージを求められると、藤山は「いまの世の中、何やかやと忙しく、劇場に行くのは本当に大変という方も多いと思うのですが、もし来ていただいたら、入場料は頂戴しますけど、それ以上の喜びと楽しみがあり、ひとときの夢を見ていただける。昔した恋を思い出してもらえるようなお芝居ですから、どうぞ劇場までお越しください」とアピール。
それを受けて「全く同じです」と寺島が締めくくろうとすると、藤山は「なんやそれ。この人すぐ“Me too”って言いたがる」──。絶妙なテンポと味わいのふたりが繰り広げる舞台はぜひ劇場で。
取材・文:加藤智子
<公演情報>
舞台『お光とお紺 ~伊勢音頭 恋の絵双紙~』
作:小幡欣治
演出:浅香哲哉
出演:藤山直美寺島しのぶほか
2026年2月5日(木)~24日(火)
会場:東京・新橋演舞場
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チケット情報:
https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2665589(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2665589&afid=P66)
公式サイト:
https://www.shochiku.co.jp/play/schedules/detail/202602_enbujo/