indigo la End、『15th Anniversary Live Special series#1「夜凪」』 15年の歴史を振り返るようなメモリアルな1日【オフィシャルレポート】
Photo:鳥居洋介
indigo la End(以下、インディゴ)が、『15th Anniversary Live Special series#1 「夜凪」』を2月24日東京ガーデンシアターで開催した。今年結成15周年を迎えたインディゴは、1年に渡って特別なライブを展開していく予定で、この日がその第一弾。1月29日にリリースされたニュー・アルバム『MOLTING AND DANCING』からの楽曲も交えつつ、15年の歴史を振り返るようなメモリアルな1日となった。
川谷絵音、長田カーティス、後鳥亮介、佐藤栄太郎がそれぞれバンドについて語った映像が流れ、サポートコーラスのえつことささみおも含めたメンバー6人がステージに登場すると、ライブは「レナは朝を奪ったみたいだ」からスタート。インディーズ時代の2012年にリリースされた2枚目のミニ・アルバム『渚にて』の収録曲であり、当時出演した『スペースシャワー列伝』の映像と現在を対比してスクリーンに映し出す演出が、バンドの長い歴史を感じさせる。同じくインディーズ時代の楽曲である「大停電の夜に」も、ポストロック/シューゲイザー譲りのオルタナティヴなアプローチながら、メロディーの美しさは当時も今も変わりがない。
そこから一気に時間を進めて、『MOLTING AND DANCING』の一曲目を飾る「ナハト」が演奏されたが、長田によるアルペジオを基調としたこの曲は初期のインディゴを今にアップデートしたような雰囲気があり、確かな連続性が感じられる。「10年ぶりくらいにやる曲」として披露された、変拍子が特徴の「スプーンで乾杯」や、「ダビングシーン」、「夜明けの街でサヨナラを」など、バンドの初期の楽曲に、新作からの「BOYFRIEND」を交えながら演奏していき、「ターニングポイントになった曲をやります」と話して披露されたのは、国内ストリーミング再生1億回を突破している「名前は片想い」。
後鳥のリードで場内が手拍子に包まれる光景は、幅広い層のオーディエンスにリーチするようになった現在のインディゴならではだと言えるだろう。
その後もバンドの歴史を振り返りながらライブを進めていき、「栄太郎と一緒に初めて作った曲」という「雫に恋して」では、再びスクリーンに当時のライブ映像が映し出される。『スペースシャワー列伝』の頃にはまだメンバーではなかった、若き日の佐藤の姿を確認すると、「この曲がなかったら、ガーデンシアターには立ててなかった」という話から、「夏夜のマジック」へ。2番のAメロで川谷と後鳥が向かい合うシーンも、今ではすっかりおなじみだ。「レコーディング前からライブでやり始めて、すごく気に入ってる曲」として演奏された「煙恋」ではステージ上にスモークが立ち込め、幻想的な空間を作り出していた。
ストーリー性のある曲展開が印象的な「アリスは突然に」、「15年間ずっと、痛みについて音楽を作ってきた」と話して披露された「通り恋」、長田がアコギを爪弾く「華にブルー」を続けると、「初めてちゃんと作ったバラード。こういう曲ができるなら、バンドも続くかもと思った」と話し、1stミニ・アルバム『さようなら、素晴らしい世界』に収録の「夜の公園」を披露。アウトロのシューゲイザー的な展開がやはり初期のバンドの雰囲気を感じさせる。
ここから再びインディーズ時代の楽曲が続き、日本武道館公演で1曲目に演奏された「sweet spider」は、indigo la Endというバンド名がスピッツの『インディゴ地平線』からつけられたことを改めて思い出させた。
「白いマフラー」を挟んで披露された「盲目だった」は、新作からの曲ながら美しいシューゲイズサウンドがやはり初期譲り。「しんみりする話は特になくて、15年続けてよかったです。こうやって15年間の曲をやってみて、いい曲をいっぱい作ってきたなっていう自負もあるし、続けてきたからこういう景色が見れてるんだと思います」と話して、オーディエンスに感謝を告げると、ラストに演奏されたのもインディーズ時代の楽曲「彼女の相談」。〈外に出たら贈り物 空から降ってくるのに〉〈晴れのち雨時々雪の模様 慌てふためいた白髪の人〉と歌われる、今の季節にぴったりの曲調で、ラララのコーラスと共に本編が締め括られた。
アンコールではゲストに、にしなが迎え入れられ、この日のライブのタイトルにもなっている「夜凪」を初披露。インディゴがステージにフィーチャリングゲストを迎えることは15年の歴史で初めてで、非常に貴重な機会となったが、川谷とにしなはすでに5年以上の付き合いがあり、オクターブの上下で共に歌う姿からは、お互いに対する確かな信頼が感じられた。曲の後半からはステージ上に雪のような大量の紙吹雪が舞い、さらに曲終わりの〈冬が終わるからバイバイ〉という歌詞に合わせるように、照明が白からピンクに変化して、紙吹雪が雪から桜に変わるような演出も実にドラマチックだった。
にしなが「15周年おめでとうございます!」という言葉を残してステージを去ると、星空のような照明と共に「抱きしめて」が披露され、佐藤が力強い4つ打ちのキックを踏み鳴らし始める。「長くバンドをやってますけど、ここから20周年、25周年、30周年とやっていこうと思います」と話して、この日最後に披露されたのは新境地のダンスナンバー「雨が踊るから」。メジャーデビュー作『あの街レコード』に収録された「夜明けの街でサヨナラを」をオマージュして、〈夜明けの街であなたに会うために〉と歌うこの曲で貴重な一夜を終え、4月からは『15th Anniversary Special Series #2 ONEMAN TOUR 2025 「藍のすべて」』がスタート。15年目のindio la Endが、あなたの住むあの街へと会いに行く。
Text:金子厚武Photo:鳥居洋介
<公演情報>
indigo la End『15th Anniversary Live Special series#1「夜凪」』
2月24日(月・祝) 東京ガーデンシアター