渡辺えり、42年ぶりの『少女仮面』に挑む。オフィス3◯◯特別公演『少女仮面』
6月11日(水) から22日(日)、東京・下北沢ザ・スズナリにてオフィス3◯◯特別公演『少女仮面』が上演される。唐十郎の戯曲の中でも傑作との呼び声高く、いまだにさまざまな劇団によって上演され続けている『少女仮面』。1969年、鈴木忠志が主宰する早稲田小劇場に書き下ろされたもの。
かつて宝塚で男役スターとして一斉を風靡した春日野八千代。彼女は「肉体」という名の謎の地下喫茶を経営していた。彼女は自身に服従するボーイたちとともに『嵐が丘』のヒースクリッフ役を稽古し続け、相手役・キャサリンが登場するのを待ち続けている。そこに宝塚の娘役に憧れる自称16歳の少女・貝と老婆のふたりが現れる。春日野は貝に永遠の処女・キャサリンの役を振る……。
演劇そのものを題材とし、肉体と精神をひたすら見つめる今作。そこには演劇の儚さと強さが描かれている。時を越えて繰り返し上演されるのは必然なのかもしれない。
42年前、パルコ劇場プロデュースの『少女仮面』で春日野八千代役を演じた渡辺えり。当時は唐十郎はもとより、美術家の朝倉摂、李礼仙らの助言を受けながらの演技だったという。渡辺が70歳を迎えた今年、自身に多大な影響を与えた唐の追悼として、また自己の原点を探り、平和への祈りと永遠の舞台への夢のため、今作を上演することに。生涯をかけて演劇に打ち込み続け、今回42年ぶりの八千代役を演じる渡辺自身と、作中でひたすら舞台の稽古を繰り返す春日野八千代が重なるようだ。思い入れのある演目、役柄に渡辺が施す新演出がどんなものになるかが大きな見どころだろう。
作中では、小室等作曲の劇中歌が三味線、チェロ、バイオリンの生演奏で奏でられるという。
少女・貝はトリプルキャストで、黒島結菜、夢乃、鈴木楓加が務める。また、八千代が満州で出会ったあこがれの人、「甘粕大尉」を、竹中直人、尾上松也、中村獅童、稲荷卓央、和田琢磨、安奈淳の豪華キャストが日替わりで演じるのも見逃せない。
文:釣木文恵
<公演情報>
『少女仮面』
作:唐十郎
演出:渡辺えり
出演:渡辺えり大鶴佐助土屋佑壱吉田裕貴福本雄樹新内多賀太夫岡野一平宮下浩行黒島結菜/夢乃/鈴木楓加(トリプルキャスト)川村毅
春可直子小見美幸山田華子椎木美月岩崎環佐藤舞希子
日替わりゲスト(「甘粕大尉」役で出演)
・6月13日(金) 14:00公演:竹中直人
・6月14日(土) 14:00公演:尾上松也
・6月15日(日) 14:00公演:中村獅童
・6月16日(月) 19:00・17日(火) 14:00/19:00公演:稲荷卓央
・6月18日(水)・19日(木)・20日(金) 19:00公演:和田琢磨
・6月21日(土) 14:00/19:00公演:安奈淳
2025年6月11日(水)~6月22日(日)
会場:東京・ザ・スズナリ
チケット情報:
https://w.pia.jp/t/office300/(https://t.pia.jp/pia/event/event.do?eventBundleCd=b2558751&afid=P66)
公式サイト:
https://office300.co.jp/