若者たちの繊細な心情が絡み合う、恩田陸原作の音楽劇『夜のピクニック』開幕
恩田陸の代表作を原作に、2016年に初演された音楽劇『夜のピクニック』が本日10月1日(木)に開幕する。
物語の軸となるのは、高校生活最後に行われる「歩行祭」なる学校行事だ。高校3年生全員が、24時間たっぷりかけて、各自のペースで70kmを歩ききるという伝統の催し。恩田自身が青春を過ごした茨城県立水戸第一高校で、実在の行事である。誰とどこをどのように歩き、どんな思い出を獲得して帰るか。大人にとってはささやかでも、彼らにとっては切実なあれこれが、細やかに描かれて読者を魅了した。
音楽劇『夜のピクニック』舞台稽古より(撮影:刑部アツシ)
水戸で芽生えたこの物語の、舞台化に取り組んだのが水戸芸術館ACM劇場だ。初演当時、同劇場の演劇部門芸術監督を務めた高橋知伽江が脚本を手掛け、映画にとどまらず舞台作品も多く手掛ける深作健太が演出を担当。ミュージシャンとしても華やかな活躍を見せる扇谷研人の音楽で、みずみずしくも力強い音楽劇に仕上がった。
音楽劇『夜のピクニック』舞台稽古より(撮影:刑部アツシ)
とある目論見を胸に秘めながら、「歩く会」に参加しようとしている甲田貴子。その視界の端には常に、クラスメイトの西脇融がいた。