シド、ライブ活動再開 結成20周年幕開けライブのオフィシャルレポート到着
Photo:今元秀明
マオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Ba)、ゆうや(Ds)という不動のメンバーで、今年バンド結成20周年を迎えたシド。彼らが、そのアニバーサリーイヤーのスタートアップとなる公演『ID-S限定SID LIVE 2023 〜Re:Dreamer〜』を2023年1月21日(土)、22日(日) の2日間にわたって東京・LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)にて開催した。
2021年11月よりマオの治療と調整のため、ライブ活動を休止していたシドは、この公演をもってライブ活動を再開。まずはその姿を常に傍で支えてくれていたファンに最初に届けたいという思いから、オフィシャルメンバーズクラブ“ID-S”の会員限定で行われた2days公演は、両日ともチケットは完売。そんなプレミアムなシド20周年の幕開けを飾ったライブから、ここでは2日目の模様をレポートする。
場内が暗転すると波音とともに、静かにライブは開幕。ステージ上のカーテン越しに立奏スタンドにセットしたベースでメロディーを奏でる明希が映し出されると、次に透明感ある音色でギターを重ねるShinji、そこにビートを加えるゆうやのシルエットが次々と映し出され、最後にマオが最新曲「海辺」を歌い出したところでカーテンが上がり、4人のシドが目の前に現れる。オープニングから彼ららしいドラマチックな演出でバンドのライブ再開の合図をファンに届けると、盛大な拍手が広がり、冒頭から場内は感動的な空気に包まれる。
花びらのように紫色のライトが咲くなか“令和歌謡”バンドの根底にある懐かしいバラード「紫陽花」、さらにはテクニカルな演奏力を誇る彼らがジャズとロックを融合させて作ったシド流のフュージョンソング「KILL TIME」を続けてアクト。
「こんばんは、シドです」と挨拶したマオは、この2days公演でシドが20周年イヤーに突入したことを嬉しそうに報告。「ときにはつまずきながらもここまで走ってこられたのはID-Sのお陰。今日は感謝の気持ちを込めていろんな曲を届けます」と伝え、始まったのはインディーズ時代からいまも根強い人気を誇る「ミルク」。タメをアクセントに入れたゆうやのドラミングが際立ったこの曲では、胸を締め付ける切ないメロディーを、マオがファルセットを多用した歌唱で届け、観客を魅了。
マオ(Vo)
そうして、ここまで1年2カ月待たせたファンを陽だまりのような温もりで優しく包み込むように「hug」を届けたあとは、妖艶な大人シドワールドへと誘い込むように「刺と猫」へと流れ込む。曲が始まると、フロントに出てきた明希は色気ダダ漏れのパフォーマンスとプレイでファンを悩殺。ジャジーなサウンドとシドが放つセクシーさが交錯するなか、スキャットボイスでアンサンブルに絡んでいたマオが最後、“愛してるぅ〜〜”と吐息混じりの歌声で、色っぽくこの曲を締めくくる。
このあとはゆうや、明希、Shinjiが各々異なったスタイルでソロ・パフォーマンスを繰り出し、場内が存分に温まってきたところにマオが加わり、始まったのは「涙雨」。シドのなかでは比較的新しめのバラードだが、スケール感あるロックバラードのなかでは随一。主題となるフレーズをShinjiが骨太のギターで奏でると、たちまち迫力満点のスタジアムサウンドがステージから立ち上がる。舞台上ではそのサウンドに合わせてゆうやの後方から炎が何本も吹き出し、パワフルでエモーショナルなシドを見せていった。
そして、このあとはメンバーのMCコーナーへ。「1年以上ぶりのライブですけど、どうですか?久しぶりの4人の姿は」と会場に話しかけた明希は、この日集まったID-Sのみんなに感謝の気持ちを伝えて話を締めくくり「今日のルックスが一番好きです」といって、ヒゲを生やし、メガネをかけてダンディーな姿へとイメチェンしたShinjiへとバトンをタッチ。
Shinjiは「昔はみんなが“俺が、俺が”だった会話も、いまは(ステージに上がる前に)エレベーターの中で“Shinちゃん、今日カッコいいね”とかいったりして、ほのぼのしてるんです。かといって、なぁなぁではなくて」と、20年間に起きたメンバー間の変化について打ち明け「今日のこの瞬間が素敵な思い出の1ページになったらいいなと思ってます」と告げた。
Shinji(Gt)
続いてバトンを渡されたゆうやは、安定の大声で挨拶を届けたあと、1年以上ぶりのライブでドキドキしたりワクワクしたり泣いたり温かい気持ちになったりと感情が忙しいなか「いまボーッとしているのは最大の癒しであり、リラックス」なのだと解説。「この後も好きに楽しんでいってください」と伝えた。マオはシドの前にやっていたバンド時代、この会場の入り口でバイトが終わった後にビラ配りをしていた当時のことを振り返り、その頃敵対していたバンドに在籍していたShinjiともよく会っていたエピソードなどを披露してファンを喜ばせた。
マオ「みんなの夢をのせて俺は歌う」
そうして「いけるかー!いけるかー!」と観客を煽り立て、ここからの後半戦は、しっとりした楽曲やテクニカルなプレイで魅せていった前半から大きくモードチェンジ。シドのライブのキラーチューンを惜しげもなく連発していく。
ステージ後方のカーテンが上がり、会場の背景がむき出しになった中で「ANNIVERSARY」が始まると、客席は一斉に手を頭上に伸ばして前後に振り、明希とマオとShinjiは勢いよく前に飛び出し、舞台を縦横無尽に動き出す。「明希と恋しようか〜」とメンバーの名前を織り込んだおきまりの曲紹介から、「夏恋」へと突入すると、シドのポップネスがキラキラと会場いっぱいに炸裂。ステージとID-Sならではの一体感ある勢いは、もはや誰にも止められない。
明希(Ba)
たまらず、マオが「いやぁ〜、盛り上がってきたね。シドは盛り上がる曲もいっぱいあるから楽しいね」と上機嫌な表情で観客に語りかける。「もっと、もっと飛ばしていけるかー!」と叫んで、“ウォラ〜”と巻き舌でシャウトを入れた後はタイトなビートにのせて攻撃的な「CANDY」でフロアを攻めまくり、観客はそれにヘドバンで応戦。続けて、歌始まりのロックチューン「delete」を繰り出し、場内の興奮をさらに高めていったところに、「結婚しよう」という曲紹介から「プロポーズ」へ。舞台上で炎がバンバン上がり続けるなか、客席は全員一丸となって拳を振り上げ、ヘドバンで大盛り上がり。カオスがうずめくようなエネルギッシュな狂騒空間を作り上げたところで本編は終了した。
ゆうや(Ds)
本編の熱狂がまだ残るなか、この日集まったファン、さらには過去の自分たちを愛おしむように“溢れた涙の数だけ僕たちはまた色を纏う”と「君色の朝」を届けて始まったアンコール。このあとは「Dear Tokyo」を投下し、爆発的な勢いで場内の高揚感を高めていった彼ら。
そうして、マオが「お前らと俺たち、すべてのみんなの夢をのっけて20周年。準備はいいか?俺は歌うぞ!」と決意を叫んだあと、ゴールド×シルバーのテープがキラキラ場内に降り注ぐなか、最後に「Re:Dreamer」をパフォーマンス。シド20周年イヤーの幕開けにふさわしい、祝祭感あふれる感動的なフィナーレでこの日のライブを締めくくった。
終演後、最後に舞台に残ったマオは「いよいよ20周年が始まりました。次は全国各地、シドとして会いに行けるのが嬉しくて。最高のツアーにしようと思うので、みんな待っててください」というメッセージに続けて、生声で「愛してます!」という言葉を残し、ステージを後にした。
シドはこのあと、3月29日(水) に20周年アニバーサリーBOXをリリース。そして、4月1日(土) からスタートする全国ツアー『SID 20th Anniversary TOUR 2023 「海辺」』は“声出し解禁”で行うことを1日目のライブのなかで発表。
さらに、このツアー終了後は、7月から『SID EVENT TOUR 2023』の開催も決定しているシド。ここからシドが、20周年イヤーを華々しく、ノンストップで駆け巡る。
Text:東條祥恵Photo:今元秀明
<公演情報>
シド『ID-S限定 SID LIVE 2023 〜Re:Dreamer〜』
1月22日(日) LINE CUBE SHIBUYA