2024年1月26日 17:00
人種差別が批判されてきた米警察の歴史と今を見つめる【サンダンス映画祭レポート】
パンデミックの真っ最中に起きた「Black Lives Matter」は、罪のない黒人に対する警察の暴力に抗議をするものだった。何も悪いことをしていないのに、ただ車を運転していて警察に止められるということは、アメリカに住む多くの黒人が経験することだ。
サンダンス映画祭でプレミアされた『Power』は、アメリカの警察がどう生まれたかという始まりから、「Black Lives Matter」の引き金になったジョージ・フロイド殺害事件が起きる現代までの歩みを、大量のアーカイブ映像と識者のコメントで振り返るもの。
そんな中で明かされるのは、警察の発祥には、資産を持つ者が、資産を持たない者、あるいは資産と考えられる者(奴隷)を危険な存在と感じたことが大きく関わっているということ。アイルランドから移民が押し寄せてくるようになった頃にニューヨークの警察が形作られたことも、それを物語る。
市民権運動が盛り上がり、不平等是正への声が高まっても、警察はそれを自然な流れとはとらえずに、ただ抑え込もうとしてきた。映画に出てくる数多くの暴力の映像は、見ていて強く心が痛む。こんなことが許されていいのかと疑問に思うが、警察がどこまでやっていいのかは、連邦、州、地方行政、どのレベルでも厳密には決められておらず、警察自身に委ねられている事実を、映画は指摘。