くらし情報『興奮と切なさが入り混じる、イプセンの不条理の旅 舞台『ロスメルスホルム』開幕』

興奮と切なさが入り混じる、イプセンの不条理の旅 舞台『ロスメルスホルム』開幕

『ロスメルスホルム』 撮影:田中亜紀

撮影:田中亜紀



10月28日(土) 愛知・穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホールにて、森田剛主演舞台『ロスメルスホルム』が開幕。ここではそのレポートとスタッフ・キャストの開幕コメントをお届けする。

イプセンの戯曲『ロスメルスホルム』に立ち込める不穏な求心力、その源はタイトルが意味する“ロスメルの館”にほかならない。1880年代のノルウェー南部、200年の伝統と格式に縛られた大邸宅に暮らすのは、当主のヨハネス・ロスメル(森田剛)と家政婦のヘルセット(梅沢昌代)、そして下宿人のレベッカ(三浦透子)だ。牧師であったが信仰を捨て、古い体質から脱しようとしているロスメルに、“進歩主義の同志”として寄り添うレベッカ。だが館を訪れる人々によって、二人の同志の繋がりは揺らぎ始める。舞台となる居間、下手の壁には歴代当主のいくつもの肖像画が飾られ、上手に設けられているのは大窓だ。窓からは水車小屋へと渡る橋が見える設定で、かつてロスメルの妻ベアーテはその橋から身を投げたのだった。
演出の栗山民也は、ロスメル家に伸し掛かる200年の重圧、死を連想させるひんやりとした水の気配を劇空間にふんだんに漂わせて、複雑に、曖昧に絡み合う人々の心理、言葉の裏に隠された真意を探る、“人間の不条理”に惑う深淵なドラマを打ち立てた。

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