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新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

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新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演


2026年1月20日、新国立劇場2026/2027シーズン舞踊ラインアップ説明会が行われた。注目される2026年10月の開幕を飾るのは、英国の振付家、アラスター・マリオットの振付による世界初演作品『街の灯』。チャールズ・チャップリンの傑作映画をバレエ化するという意欲的な取り組みだ。吉田都舞踊芸術監督が来シーズンの見どころ、上演作品、また新国立劇場バレエ団のダンサーたちへの思いを語った。

まずは吉田から以下のラインアップ詳細が紹介された。

新国立劇場バレエ団『街の灯』〈新国立劇場バレエ団委嘱作品・世界初演〉

2026年10月23日(金)〜11月1日 (日)オペラパレス 10回公演
振付:アラスター・マリオット
原作:チャールズ・チャップリン
音楽:チャールズ・チャップリンホセ・パディーヤ『La Violetera』
編曲:ティモシー・ブロック
美術・衣裳:ディック・バード
照明:エレン・ルーゲ

チャップリンが監督・脚本・製作・主演した1931年のサイレント映画をバレエ化、振付を手がけるのは、2022年に新国立劇場で吉田都演出による『ジゼル』の振付を担ったアラスター・マリオットだ。チャップリンのファンだというマリオットは、「その代表作をベースにしたバレエを創作したいと、ずっと考えていました。『街の灯』は哀愁に満ちた美しいロマンティックコメディです。
チャップリンは常に、映画のシーンを綿密に振付けられたダンスとして捉えていたので、この物語を脚色・発展させてバレエに仕立て上げることは、理にかなったことだと思いました。チャップリンが作曲したオリジナル楽曲を使用、編曲することをチャップリン財団から許可を得られたことは大変光栄です」とコメントを寄せた。吉田も「いろいろなメッセージが込められている作品。劇場にとって財産となる作品になるのではないか」と意欲を示す。

ロンドン公演凱旋企画
新国立劇場バレエ団『ジゼル』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ジゼル』福岡公演・兵庫公演Photo by Tristram Kenton
2026年11月14日(土)・15日(日) 福岡・福岡市民ホール
2027年1月23日(土)・24日(日) 兵庫・兵庫県立芸術文化センター
振付:ジャン・コラリ/ジュール・ペロー/マリウス・プティパ
演出:吉田都
ステージング・改訂振付:アラスター・マリオット
音楽:アドルフ・アダン
美術・衣裳:ディック・バード
照明:リック・フィッシャー

昨年7月に『ジゼル』を携えての初のロンドン公演を成功させた新国立劇場バレエ団。凱旋公演企画として福岡、兵庫での上演が実現する。海外公演の成果、ダンサーたちの成長を実感させてくれる公演となりそうだ。

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ジゼル』福岡公演・兵庫公演Photo by Tristram Kenton

新国立劇場「DANCE to the Future 2026」

2026年11月27日(金)〜29日(日)中劇場 4回公演

新国立劇場バレエ団のダンサーの中から振付家を育てるプロジェクト「NBJ Choreographic Group」で生まれた選りすぐりの作品を上演する。
アドバイザーを務めるのは、振付家の小㞍健太。今回はさらに、これまでにも数々の作品を発表してきたファースト・ソリスト木下嘉人に新作を委嘱、 “共鳴”をモチーフにダンサーたちの内なる強さを探るアンサンブル作品を手がける。

新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『くるみ割り人形』撮影:鹿摩隆司
2026年12月18日(金)〜2027年1月3日(日) オペラパレス 18回公演
振付:ウィル・タケット(レフ・イワーノフ原振付による)
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
編曲:マーティン・イェーツ
美術・衣裳:コリン・リッチモンド
編曲:マーティン・イェーツ
美術・衣裳:コリン・リッチモンド
照明:佐藤啓
映像:ダグラス・オコンネル
イリュージョン:クリス・フィッシャー
イリュージョン監修:リアルマジシャンRYOTA

2025年12月に新制作で上演したタケット版『くるみ割り人形』は、観客動員数3万人を超える話題作に。吉田は、「バレエ団が自信を持ってお届けできる作品になったのではないかと思います。これからバレエ団とともに成長、進化をしていく」と、より充実した舞台を予感させた。

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演
『くるみ割り人形』撮影:鹿摩隆司

新国立劇場バレエ団『ラ・シルフィード』/『精確さによる目眩くスリル』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ラ・シルフィード』撮影:瀬戸秀美
新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『精確さによる目眩くスリル』撮影:鹿摩隆司
2027年2月19日(金)〜23日(火・祝) オペラパレス 6回公演
『ラ・シルフィード』
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル
音楽:ヘルマン・ルーベンシュキョル
美術・衣裳:ピーター・カザレット
照明:立田雄士
『精確さによる目眩くスリル』
振付・美術:ウィリアム・フォーサイス
音楽:フランツ・シューベルト
衣裳:スティーヴン・ギャロウェイ
照明:タニア・ルール

妖精の儚い恋を描いたロマンティック・バレエの名作『ラ・シルフィード』は11年ぶりの上演となり、初めて取り組むダンサーも多いそう。「皆にブルノンヴィル・スタイルを学んでもらいたい」と吉田。昨年3月に新国立劇場バレエ団が初めて上演して話題となった、現代バレエの巨匠、フォーサイスによる『精確さによる目眩くスリル』とのダブルビル。


新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ラ・シルフィード』撮影:瀬戸秀美

ドラマティック・バレエの傑作『ロメオとジュリエット』がオペラパレスに帰ってくる



小㞍健太新作〈新国立劇場委嘱作品・世界初演〉

2027年2月26日(金)〜28日(日) 小劇場 4回公演
振付・演出・コンセプト:小㞍健太
出演:渡辺レイ、鳴海令那、小㞍健太、新国立劇場バレエ団ダンサー ほか

「NBJ Choreographic Group」でアドバイザーを務める小㞍は、横浜赤レンガ倉庫1号館振付家制度での2年間の創作活動を経験、さらなる飛躍が期待されている。この委嘱作品では、小㞍や渡辺レイ、鳴海令那ら外部ダンサーとともに新国立劇場バレエ団からも数名のダンサーが出演、刺激的なコラボレーションとなりそう。

新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ホフマン物語』撮影:鹿摩隆司
2027年3月18日(木)〜22日(月・休) オペラパレス 6回公演
振付:ピーター・ダレル
音楽:ジャック・オッフェンバック
編曲:ジョン・ランチベリー
美術:川口直次
衣裳:前田文子
照明:沢田祐二

英国出身の振付家ダレルによる本作は、ドイツ・ロマン主義の作家E.T.A.ホフマンによる3つの物語をモチーフとし、人生で巡り合った3つの恋を回想する、詩人ホフマンの幻想的なバレエ。2024年に続いての再演となるが、吉田は本作の上演を実現させた大原永子前芸術監督による指導に期待を寄せる。

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ホフマン物語』撮影:鹿摩隆司

新国立劇場バレエ団『ロメオとジュリエット』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ロメオとジュリエット』撮影:鹿摩隆司
2027年5月1日(土)〜5月9日(日) オペラパレス 10回公演
振付:ケネス・マクミラン
音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
美術・衣裳:ニコラス・ジョージアディス
照明:沢田祐二

英国を代表する振付家、マクミランによる演劇的バレエの傑作。新国立劇場では2001年以来たびたび上演を手がけてきたが、吉田は「今回、初めて英国ロイヤル・オペラハウスのプロダクションをお借りできることになりました」と笑顔。歴代ダンサーたちが踊り継いできたドラマティック・バレエに、いまのダンサーたちがどう向き合うのか、注目を。

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ロメオとジュリエット』撮影:鹿摩隆司

新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ドン・キホーテ』撮影:鹿摩隆司
2027年6月5日(土)〜6月13日(日) オペラパレス 10回公演
振付:マリウス・プティパ/アレクサンドル・ゴルスキー
改訂振付:アレクセイ・ファジェーチェフ
音楽:レオン・ミンクス
美術・衣裳:ヴャチェスラフ・オークネフ
照明:梶孝三

スペインを舞台に繰り広げられるエネルギッシュかつ楽しさにあふれた古典バレエは、新国立劇場バレエ団伝統のレパートリー。
2023年の上演時にも5組の主役カップルの競演が実現したが、吉田は「またチャレンジングなキャスティングができるのではないかと思っています」とコメント。多彩なキャラクターが活躍するだけに、新たな才能との出会いにも期待。

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

『ドン・キホーテ』撮影:鹿摩隆司

新国立劇場こどものためのバレエ劇場 2027
『竜宮 りゅうぐう~亀の姫と季(とき)の庭~』

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

こどものためのバレエ劇場 2027『竜宮 りゅうぐう』撮影:鹿摩隆司
2027年7月24日(土)〜7月27日(火) オペラパレス 8回公演
演出・振付・美術・衣裳:森山開次
音楽:松本淳一
照明:櫛田晃代
映像:ムーチョ村松
音響:仲田竜太

独特の色彩感覚と世界観をもって子どもも大人も楽しめる作品を手がけてきた振付家、森山開次に委嘱、2020年に世界初演された。モチーフは御伽草子「浦島太郎」。豪華絢爛な竜宮城での愉快な海の生き物たちの踊りに、亀の姫と太郎の美しいパ・ド・ドゥなど、御伽草子の世界とバレエを見事に融合させた舞台だ。

新国立劇場が2026/2027シーズン舞踊ラインアップを発表 開幕作品はチャップリン映画のバレエ化を世界初演

こどものためのバレエ劇場 2027『竜宮 りゅうぐう』撮影:鹿摩隆司

伊藤郁女『喧嘩(仲直り)』〈新国立劇場委嘱作品・世界初演〉

2027年8月6日(金)〜8月8日(日) 小劇場 4回公演
振付・演出:伊藤郁女

フランスを拠点に振付家・ダンサーとして活躍し、2023年にはストラスブール・グランテスト国立演劇センター「TJP」のディレクターに就任した伊藤郁女による新作。2025年12月に新国立劇場で伊藤のソロ作品『ロボット、私の永遠の愛』が上演されたときのことを、吉田は「大変興味深く、監督として素晴らしい仕事をされていて、刺激を受けました」と振り返り、新作に大いに期待を寄せる。

開場30周年が近づき、ダンサーの層は厚くなってきている


続いて吉田は、「新国デジタルシアター」として2024年9月から2025年3月に実施した『アラジン』の公演映像の無料配信が世界中で70万回再生を記録したことに触れ、新国立劇場バレエ団の世界へのアピールのひとつの形として、映像配信を継続していきたいとアピール。
また、バレエを学ぶ小中学生を招待する「バレエみらいシート」などの子どもを対象としたさまざまな試みについても引き続き実施していきたいと熱意を見せる。さらに、「開場30周年が近づいてきて、ダンサーの層は厚くなってきています。若手にもどんどんチャレンジしてもらいたいですし、ベテランのダンサーたちに、いま踊ってほしいものもある。全員をハッピーに、ということは難しいですが、ダンサーたちのことを考えてレパートリーを選んでいます」と締め括った。

また劇場側からは、運営に関わる事項として、チケット料金の改訂の説明も。チケット料金は各ランクで値上げとなるが、近年の物価高騰や劇場を取り巻く環境の変化の中で、技術的な質の確保、公演を継続していくための基盤を守るための判断だという。

その後記者からは多岐にわたる質問が寄せられたが、注目されたのは新作の『街の灯』について。バレエ化に踏み切ったその経緯について問われると、振付家マリオットの提案でスタートしたプロジェクトであることが明かされた。
いまのダンサーたちがこの作品に携わることについても、熱い思いを語る。

「この 5、6年、演じるということ、表現を重視してやってきましたが、だんだん実を結んできているなと感じています。特に昨年のロンドン公演は、あの環境の中でダンサーたちが本当にみるみる変わっていくのが見えました。自分たちがやっているのは間違いじゃない、進んでいる道は正しいんだ、と実感し、それぞれに自分に自信を持って舞台に立てている。今シーズン、そう感じています。このタイミングでチャップリンの『街の灯』に出会えるのは、いいタイミングだと思っています」(吉田)

2026年5月、東京・上野の東京文化会館が大規模改修工事により3年間の休館に入り、外部団体の新国立劇場の使用機会が増えると見込まれるが、そんな中でも新国立劇場バレエ団の公演回数は以前とほぼ変わらないという。舞台稽古の期間を詰めるなどの工夫で、なるべく他団体にも劇場を使ってもらえるようにしたいという吉田。「こういう状況になったら、助け合っていかなくてはいけない。
できる限りのことはしたいと思っています」とコメントした。

取材・文:加藤智子

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