2021年12月14日 12:00
ふたりを運ぶいくつもの物語。『ストーリー・オブ・マイ・ライフ』2ペアで開幕
同じ戯曲、楽曲でありながら、それぞれのチームの色彩がハッキリとしたものになったと思います」とコメントしていたように、各ペアの違いはこの作品の面白さも教えてくれた。
平方元基
【田代&平方ペア】は2度目ということもあり、お芝居のひとつひとつ、楽曲の一曲一曲から、ふたりの記憶が滴るほどだったのが印象的。一つひとつの思い出がまぶしく、なんだかんだ言いながらも田代アルヴィンに巻き込まれるのが楽しそうな平方トーマスや、田代アルヴィンのコロコロ変わる表情、相手を見つめる目に宿るもの、歌っていないほうの人物の表情、心が重なった時のハーモニーの素晴らしさ……挙げていくときりがないが、ふたりの感情が鮮やかに客席に流れ込んでくるようだった。
田代万里生
【太田&牧島ペア】は、牧島がこのようなミュージカル作品に初挑戦であることや、幼馴染を演じるには年齢が離れていることなどが、いい意味で、役の関係性に影響しているように感じた。牧島の必死さは、牧島トーマスが「ベストセラー作家」として大成しながらも必死で作品や社会生活と向き合う姿を際立たせ、そうなると太田アルヴィンも、そんな彼の親友として器が広がり、牧島トーマスをやさしく受け止めているように見えた。