ジ・エンプティ『革命ツアー2024』サバシスターを迎えた初日・千葉LOOKは最高にフレンドリーな空間だった【オフィシャルレポート】
Photo:Ruriko Inagaki
11月8日、福岡県久留米市発のロックバンド、ジ・エンプティの『革命ツアー2024』は、彼ら未踏の地・千葉LOOKで幕を開けた。タイトルにもある通り、今回は10月30日にリリースした2nd EP『革命 e.p.』を引っ提げてのツアーで、彼らとこれからのロックバンドのライブシーンの中核を築き上げていくであろう盟友たちと全国12カ所を巡る対バンツアーである。
その記念すべき初日、『革命ツアー2024』の一音目を鳴らしたのは、今年メジャーデビューを果たし、猛スピードでロックシーンに名を轟かせているサバシスター。19時頃、既に熱気が充満する会場が暗転し、もはやファンの中ではお馴染みのSEとなっているビッケブランカの「Ca Va?」を背に、なち(vo&g)、るみなす(g&cho)、GK(ds&cho)、そしてサポートメンバーのサトウコウヘイ(b)が登場。
それぞれがセットにつくとSEが鳴り止み、それと同時にGKの力強いバスドラムの音を合図にメロコアのエッセンスを感じる骨太なバンドセッションから「覚悟を決めろ!」でライブがスタート!エンジン全開で轟音を掻き鳴らす4人の姿に観客も負けじと呼応し、のっけからダイバーが続出するなどいきなり盛り上がりが最高潮に達し、ライブでのフィジカルな強さを見せつけると、勢いそのままに「ジ・エンプティ、初日を任せてくれてありがとう!最高になって帰ろうぜ!」となちが高らかに発して、最新作『あの夜のはなし-EP』に収録の「作戦会議」へ。
同作のリリースツアー(『あの夜のはなしツアー』)を大盛況に終えたばかりというのもあってか、観客は既にこの曲の楽しみ方を心得ているかのようで、サビではものすごいシンガロングが巻き起こり、その流れを引き連れてパンキッシュなメロディに“22歳になりたくない”というだけのユルい歌詞を乗せた「22」を、そしてドライブ感が気持ちいいロックナンバーの「!」を間髪入れずにプレイ。
“仲間の歌”と枕詞を添えて投下されたこの曲は、この日、この場所では、これから長いツアーを走り抜けていくジ・エンプティへのファイトソングとして会場に響きわたり、さらに「ひとりぼっちと廊下の窓」、「マイベストラブ!」を丁寧に鳴らしていく。心の中にある葛藤を露わにしたナンバーと、懐古的で甘酸っぱいラブソングでエモーショナルな雰囲気に染め上げると観客は身体を自由に揺らして聴き入り、アグレッシブに体を前のめりにして楽しんでいた序盤とのコントラストが印象的だった。
再びのMCでは前回対バン時の打ち上げのエピソードなどを軽く披露し、2組の間柄にほっこりしているのも束の間、ライブは遂に終盤戦に。彼女たちの名が広まるきっかけとなった代表曲の「ジャージ」、そして音楽に関する闘志をツービートのメロディに乗せて歌う「ミュージック・プリズナー」などをノンストップでプレイし、ジワジワと会場のボルテージを上昇させていくと、その熱気は続くラストソングの「サバシスター’s THEME」で大爆発。ハンドマイクに持ち替えたなちが全身をフルに使って内に籠るエネルギーをフロアに向けて精一杯に放つと、観客もそれにすかさず思いっきりのシンガロングとクラウドサーフで反応し、大歓声に包まれる中でライブが終了。終始ジ・エンプティに対しての愛とエールを示しつつ、直近のツアーで培った確かなパワーを余すことなく見せつけてステージを後にした。
サバシスターの熱気が冷めやらぬ中、いよいよジ・エンプティが登場。彼らを待ち詫びてワクワクする観客のザワつきが会場を支配する中、暗転するといきなり「カントリー・ロード(耳をすませば)」が流れ出し、思ってもいなかった意外なSEの選曲にフロアで思わずクスっと笑いが起こりつつ、カワカミタイキ(ds)、クガケンノスケ(b)、トクナガシンノスケ(g)、ハルモトヒナ(vo)がひとりずつ登場。
ヒナが「今日まで我慢したいろんな気持ち、お互いぶつけて帰ろうぜ」と発し、最新作に収録されている「連れ出してやるぜ今夜」でライブがスタート。
ジ・エンプティがこれまでにリリースしてきた楽曲たちは青春パンクとカテゴライズされるであろう、真っすぐで、熱くて、ひねりのないものがほとんどであった。しかし、今作の『革命 e.p.』はそれだけではなく、もちろん彼らが今までに培ってきたパンクロックを核としながら、彼らのポップフィーリングをハッピーに昇華させたアッパーチューンや、スカを取り入れたナンバーなど多角的なアプローチを施した楽曲がパッケージされている一枚であり、その中でも特にチャレンジングなのがこの「連れ出してやるぜ今夜」である。
ステージの後方からの白い光が4人のシルエットを浮かび上がらせるとともに、“連れ出してやるぜ今夜/気が済むまでつきあうよ”とスローなバラード調で始まるこの曲は、進むにつれてツービートに展開したり、ミドルテンポで優しく聴かせたり、ポエトリーで心の内の想いを言葉数多く訴えかけたりと、一曲の中でコロコロと表情が移り変わっていくのが特徴的なのだが、ジ・エンプティが持つ普遍的な明るくエネルギッシュなパワーでこの楽曲を力強く情感たっぷりに鳴らすと、観客はすぐさまシンガロングとクラップでその表情豊かな曲に見事に応答。徐々に会場が熱を帯びて盛り上がりを見せた中、間髪入れずに「千葉LOOKを揺らせ!」と叫んで、ライブ定番曲である「さよなら涙」、「MY SWEETIE」へ!激動するパンキッシュなふたつのナンバーを掻き鳴らし、テンションが上がったケンノスケがベースを抱えたままフロアにダイブする!さらにその勢いに追い打ちをかけるように「神様からの贈物」、「おやすみレイディ」を畳みかけると、衝動のままに突き動かされた観客が自由に暴れ回り、息をするのが苦しくなるくらいの熱気がムンムンと充満して、超満員の会場はこれ以上ないくらいの興奮状態に。
そんなカオティックな雰囲気から一息ついて、ヒナがMCで「今日の朝、メルカリで欲しい別珍っていうのを見つけたから今日の夜に買おうと思ってて。さっきリハでサバシスターが「ジャージ」をやっていて、それを聴きながら“まさか売れてないよな”と思って楽屋戻って確認したら買われていた(笑)」とまさかのエピソードを披露すると、そのままサバシスターの「ジャージ」をワンフレーズカバー!“可愛かったあの別珍は1万6千円もしたし”と歌詞をアレンジして歌うと会場は大盛り上がりを見せ、その流れで今ツアーのタイトル曲である「革命」へ!ユニークに浮遊するようなギターサウンドがポップなメロディを織りなすこの曲で、再びフロアのボルテージが上昇すると、続く「バチコイ」では「サバシスターとスカダンスしたくねえか?」とヒナが言って、なんとステージになちとるみなすが登場し、ふたりはメロディに合わせて全力のツーステを披露(笑)。続く「笑っておくれよ」でも同様のダンスを見せつけ、能天気にはしゃぐふたりに呼応したフロアも笑いながら同じように踊りまくって最高にフレンドリーな空間になった。
そしてライブは後半に差し掛かかり、「またどこかでサバシスターと対バンできるときはみんながフロアにおってほしい」と優しく観客に訴えかけ、「思い出は甘いままで」、「銀河高速に乗って」、「グッバイ青春」を連続でゆったりと鳴らしていく。大切な人や場所に想いを馳せる歌詞をどこか懐かしさを覚えるようなメロディラインに乗せて丁寧に歌い上げ、観客は身体の力を抜いてラフに揺れながら深く聴き入り、ジ・エンプティの曲が孕むハートフルで心をふっと軽くしてくれるような包容力に胸が熱くなった。
そしてライブはいよいよラストスパート!壮大かつポップなロックアンセムの「今宵はベイビー」で再びシンガロングを煽り、会場に強烈な一体感が生まれると、その盛り上がりにブーストをかけるように2度目の「おやすみレイディ」を、さらにジ・エンプティの初期ナンバーの「テイクミーアウト」をエネルギッシュにプレイし、ファンのコールに呼ばれて登場したアンコールで“君のため/明日を生きるため/僕らはずっと音を鳴らす”と高らかに歌う、ザ・青春パンクソングの「空っぽの唄」を盛大に掻き鳴らしてこの日のライブが終了した。
一秒たりとも観客から目を逸らすことなく真っすぐに、実直にメッセージを伝え続けたジ・エンプティ。常にフロアと一緒にライブを作り上げる前のめりな姿勢に幸福感を覚えるとともに、リリースされて間もない『革命 e.p.』がツアー初日でこれだけの声量でシンガロングされるという光景を目の当たりにして、このツアーが終わるころにはどんな進化を遂げ、どんな革命を起こしてくれるのか、期待せずにはいられない圧巻の幕開けだった。
Text:佐藤梨帆(Talking Rock!)
Photo:齋藤タカヒロ(サバシスター)、Ruriko Inagaki(ジ・エンプティ)
<公演情報>
『革命ツアー2024』
11月8日 千葉・千葉LOOK
出演:ジ・エンプティ/サバシスター