南紫音/ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会 弦とピアノの丁丁発止を見逃すな!
“これぞベートーヴェン・イヤー”というコンサートが目白押しの年末。またまた超強力な企画が開催される。
南紫音(ヴァイオリン)と清水和音(ピアノ)によるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会だ(12月4日、5日、6日/サントリーホール ブルーローズ)。この作品群が画期的なことはピアノにある。当代一のピアノの達人であったベートーヴェンは、単なるヴァイオリンの伴奏とは全く異なる、ヴァイオリンとピアノが対等に渡り合うヴァイオリン・ソナタを作り上げたのだ。もちろんヴァイオリンが奏でるメロディの美しさや切なさはそのままに、更にピアノがそれに呼応する流れは、“1粒で2度美味しい”音世界。まさにベートーヴェンならではの作品だ。
ベートーヴェンが遺した全10曲のヴァイオリン・ソナタを3日間に分けて全曲演奏する今回の試みはまさにベートーヴェン・イヤーならでは。
大音楽家の深化の過程を辿るという意味においても価値がある。そして注目は演奏者だ。2005年の「ロン=ティボー国際音楽コンクール」ヴァイオリン部門第2位に輝く俊英、南紫音(みなみしおん)のヴァイオリンと、1981年の「ロン=ティボー国際音楽コンクール」