5ヶ月ぶりの歌舞伎座公演『八月花形歌舞伎』が開幕、初の四部制で『連獅子』『棒しばり』ほか上演
まだかまだかと首を長くして待っていた歌舞伎ファンの皆様、ついに本日から歌舞伎座が再開される。3月以来、配信や無観客上演など、様々な試みを続けてきた歌舞伎俳優たちだが、ようやく歌舞伎座の舞台に立てる。彼らの喜びもひとしおだろう。
今回、新型コロナウィイルス感染予防のための厳重な対策の下、各部とも総入れ替え制の4部制となる。出演者や演奏者など関係者の人数を減らしての上演となり、客席も通常より約1000席分を減らす。花道付近や桟敷席は販売せず、市松模様のように前後左右に空間を置いた座席となる。
第一部は『連獅子』。能の「石橋」を基にした松羽目物と呼ばれるジャンルの中でも迫力ある舞踊だ。
文殊菩薩が住むといわれる霊地清涼山。そのふもとの石橋に、狂言師の右近と左近が手獅子を携えて現れ、石橋の由来を踊る。また文殊菩薩の遣いである霊獣の獅子が、仔獅子を谷底へ蹴落とし、自力で這い上がってきた仔だけを育てるという故事を踊って見せる。やがて満開の牡丹の花の中、親獅子と仔獅子の精が現れる。前半は親子の獅子の厳しくも温かい情愛を描き、ユーモラスな宗教論争がくり広げられる間狂言「宗論」を挟んで、後半は獅子の精が豪快かつ華麗な毛振りを見せる。