『手塚治虫 ブラック・ジャック展』そごう美術館で 500点以上の直筆原稿や横浜会場限定“カミカイ(神回)”の展示も
という根本的な問いにまで至る数多くのテーマから紡ぎ出された。手塚自身が医師免許をもつ医学博士であり、自分がもし医者になるならこんな医者になってみたいという理想の姿を描いたのがこの作品とも言われており、作中の治療法や病気に関しては創作も多いものの、臓器や手術法のリアルな描写や患者に対する接し方、生命に対する哲学的な眼差しなどは、多くのファンに感銘を与えるとともに、現役医師たちからも今なおリスペクトを受けている。

ピノコ©Tezuka Productions
ほぼ毎週一話完結の連載は、230話にわたって続き、連載終了後も読み切りとして13話が描かれた。同展は、全243話のうち、200話以上のエピソードの直筆原稿が500点以上展示されるという圧巻の展観。貴重な生原稿に加え、手塚の情熱と執念が感じられる当時の資料や、同作誕生の秘密を解き明かす関係者の証言映像なども多数展示され、様々な角度から作品の魅力が紹介される。なかでも「カミカイ(神回)」とされる回の紹介コーナーでは、巡回展の全会場共通の2作品に加え、横浜会場限定となる『おばあちゃん』の全ページ展示もある。昔からのファンも新しいファンも、改めて『ブラック・ジャック』の魅力を堪能できる展覧会となっている。