Rol3ert、次なるステージへ加速する2回目のワンマンライブ『katachi』【オフィシャルレポート】
Photo:中野敬久
「ひとりで曲を作って出して、そうしたら600人も集まってくれて、サポートしてくれるチームがいて、バンドがいて……」
最後の曲、「dream」と題された未発表曲を歌い始める前、Rol3ertは人で埋め尽くされたフロアを見渡して、感慨深げにそう口にした。本格始動から1年あまり、これが2回目のワンマンライブ。そう書くとそのキャリアはまだまだ駆け出しのように思えるが、実際にはこの一年、彼は歩みを止めることなく前へと進み続けてきた。2月27日東京・渋谷WWWXで繰り広げられたライブ『katachi』は、その歩みを未来へと繋いでいくような、とてもワクワクするものだった。
鍵盤の弾き語りでの「meaning」からライブは始まった。スポットライトがステージに落ちる中、Rol3ertの透き通るようなファルセットが響き渡る。そうしてたったひとりで幕を開けたステージは、続いてバンドメンバーが登場して鳴らされた「sweet tear」を皮切りに、どんどんその世界を広げていった。「Nerd」では明るいライトがステージとフロアを照らし出す。
Rol3ertはハンドマイクでオーディエンスとコミュニケーションを取りながら、その場にいる全員を巻き込むようにパフォーマンス。曲を終えて彼が言う「あざまーす」というラフな挨拶も含めて、そこはかとなく緊張感の漂っていた場内が、曲を追うごとに少しずつほぐれていくのがわかる。
Rol3ertの曲は歌詞が基本的に英語で書かれているというのもあるし、音楽的にもとても洗練されている。だがライブを観ればわかるように、その本質はとてもフレンドリーというか、リスナーやオーディエンスととても「近い」ものだ。彼の声に宿るニュアンス、彼が歌いながらフロアに向ける表情、リズムに合わせて体を揺らす動き、そのすべてから、もしかしたら言葉以上に豊かに伝わってくるものがある。そんなRol3ertらしいパフォーマンスはもちろんこの日も健在。セットリストにはライブでやってきているものもそうでないものも含めて未発表曲がたくさん含まれていて、Rol3ert自身も「知らない曲ばかりだと思いますけど」と断っていたが、そんなの関係ないくらいに、彼の歌とメロディはとても雄弁だった。そして何より、その未発表曲がどれもすばらしかった。
昨年からライブで育ててきたという「kodoku」も、海を越えたコライトによって生まれたというアッパーなダンスチューン「with you」も、Rol3ertがギターを弾いて歌う姿がとても新鮮だったヘヴィなオルタナティブロック「Realized」も。曲ごとにまったく異なる顔を見せる振れ幅は、改めてRol3ertというアーティストのポテンシャルを教えてくれるようだったし、初めて耳にするはずの曲なのにRol3ertが歌い始めた瞬間になぜかすでに知っていたような気がするのは、多彩な音楽性の中にも、彼にしか生み出せない色のようなものがしっかりと根付いていることの証だろう。
もちろん、素晴らしかったのは新曲ばかりではない。音源とは一味違う力強さを感じさせた「frozen」も、「リハでやって盛り上がった」とのことで急遽披露されたプリンス「Purple Rain」のカバーから「say my name」の流れも、Rol3ert自身がビデオカメラを手にフロアやバンドメンバーを撮影しながら歌った「savior」も、ライブのクライマックスを鮮やかに描き出した「(how could i be)honest?」や「HOPE」で生まれた一体感も、ライブならではの開放感とエネルギーを帯びて、その魅力を存分に発揮していた。
カバーを含めて全15曲、1時間ちょっと。体感的にはあっという間に終わってしまったライブだが、最後に彼が言った「また会いましょう」という言葉のとおり、この物語には続きがある。この日のライブ中に、次のワンマンライブの開催がアナウンスされたのだ。11月6日(金)に大阪・BIG CAT、そして11月12日(木)に東京・Spotify O-EAST。
約8カ月後、Rol3ertはさらに大きな場所で、多くの人を巻き込んで最高のステージを作り出してくれることだろう。ちょうど2月25日に公開されたばかりの『JAPAN Heatseekers Songs』チャートで「savior」が首位を獲得するなど、ますます注目を集める彼の今後のアクションから目が離せない。
◼︎Rol3ert プロフィール
2005年にアメリカにて生まれ、2歳から日本で育ち、2025年1月から本格的にソロアーティストとして活動をスタート。
これまでリリースした楽曲は、どれも歌詞は主に英語を用いて世界中の人へコミュニケーションを投げかけながら、日本語やJ-POP由来のメロディを交えることで音楽的なオリジナリティを発揮している。Instagramに投稿するカバー動画は世界中でバイラルし(400万再生を超えるものも!)、オリジナル曲は世界各国のプレイリストに入る状況で、すでに日本だけでなく韓国、台湾、タイ、インドネシア、フィリピン、アメリカ、ブラジルなどのリスナーやSNSフォロワーが多い。音楽業界内の評価も高く、本格活動から約7か月ながらすでに『FUJI ROCK FESTIVAL’25』や『SWEET LOVE SHOWER』などのフェスにも出演を果たした。最新曲「savior」は世界22カ国のNew Music Fridayに選出されるなど、“グローバル音楽シーンに挑む日本発の新たな才能”として注目を集めている。
<公演概要>
Rol3ert『katachi』
2月27日(金) 渋谷WWWX