2021年9月15日 12:00
「愛は祝福であり、呪いでもある」リサ・ジョイ監督が語る映画『レミニセンス』
街の半分は水没しており、人々は記憶に潜入する際は水の入ったポッドに横たわる。水はすべてを浸し、包み込む。
「水にはとてもロマンティックなイメージを持っているんです。水は自然であり、強く、そして流れるものである。柔らかいけど危険にもなり得るし、すべてを飲み込んでしまうことができる。また、望む形に形を変えることができる。その複雑性を美しいとも、怖いとも思うのです。
私たちは思い出を忘れまいと必死になるけど、そこにも何かがある気がします。
誰かの思い出に必死ですがるし、脳裏に描いた通りの人物のまま思い出に留めようとする。でも時間というのは水のようなもの。その流れを止めることはできない。記憶からディテールが洗い流されるのを止めることはできない。かつて愛した人やモノを奪っていくことを止めることすら、私たちにはできない。自然の力だし、止められない。悲しみがあればそれを洗い流してくれるけど、大切な瞬間だって洗い流してしまう。そこには美しさもあると思う」
私たちは誰かを愛し、幸福な時間を過ごす。
でも、そんな想いや記憶もいつかは水のように流れて消えてしまう。本作は水や記憶を用いながら、愛や人生のドラマを描き出していく。