HY主催の野外音楽フェス『HY SKY Fes 2025 & 前夜祭』 <DAY1> HY、LiSA、スターダスト☆レビューら8組が出演【オフィシャルレポート】
Photo:G-KEN / 根原奉也 / 仲本潤
HY主催の野外音楽フェス『HY SKY Fes 2025 & 前夜祭』が、2025年3月14日(金)より3日間にわたり、沖縄県総合運動公園多目的広場でスタートした。3月15日(土)DAY1には約1万人が来場し、HYを含む8組の豪華アーティストが舞台を盛り上げた。本レポートでは、『SKY Fes』の注目すべきポイントと、DAY1のステージレポートをお届けする。
今年で開催6回目を迎えた『SKY Fes』の特徴は、世界一クリーンなフェスを目指したさまざまな取り組みにある。HYが自ら手がけた廃材アートの装飾や、廃材を使用した楽器作りワークショップは例年注目ポイントとなっている。今年はさらに古着の回収をスタートさせ、ゴミをリユースする取り組みを積極的に行っている。会場内で出るゴミへのいくつかのアクションも、注目してほしいポイント。
『SKY Fes』では、各自ゴミの持ち帰りを呼びかけているため、全来場者にゴミ袋を配布している。
そのゴミ袋にはイラストが施されており、ただゴミ袋を渡されるより気分が上がるし、なによりかわいい。そんなゴミ袋にゴミを入れるのも、また楽しい思い出のひとつとなるだろう。また今年は前夜祭から雨が降り続けたため、ゴミ袋をレジャーシート代わりに活用したり、大事な荷物を入れて雨対策をする人が多くみられた。ゴミを集めるためのゴミ袋がさらにリユースされる形となり、ゴミ袋の用途が増した。
『SKY Fes』が目指す「世界一クリーンなFes」の意図を、来場者に近い距離でHYメンバーが直接伝えているのもポイントだ。会場内のゴミを拾ったり、廃材を使ったワークショップを開催したりと、ゴミに対するアクションをHYメンバー自らが示すことは、フェスのゴミ削減に大きな影響を与えている。特にワークショップは、作った楽器を使用しメンバーと参加者が一緒に「君のうた」を演奏する人気のコンテンツだ。いつもは舞台にいるメンバーの横にならび、ともに作業する時間はかけがえのないものだろう。
キャンプサイトは例年、早々に全券種が完売。雨からのスタートだったのにもかかわらず、濡れるのもかまわず朝から駆け回って遊んでいる子どもたちの姿を多く見かけた。雨の雫で情緒が出る夜もまた、雨天キャンプの醍醐味だ。
「地球と子どもたちの未来のために」をテーマに、今年も子どもたちが楽しめるコンテンツが満載に用意された。アスレチックで遊びながら豪華アーティストのライブを聴いたり、けん玉やお絵描きをしたりアクセサリーを作ったりと、子どもたちもそれぞれに楽しめる。大人がライブを楽しむだけでなく、大人も子どもも一緒に楽しめるのも、『SKY Fes』の特徴のひとつだ。
メインステージとは別に設けられたグリーンステージでは、MASA MAGICによるマジックパフォーマンスと、沖縄出身のお笑い芸人・ありんくりんによるステージに、多くの歓声と笑い声であふれる時間となった。
MASA MAGIC
ありんくりん
そしてHYにはもうひとつ、叶えたい思いがある。
それが「子どもたちのすてきなキッカケの場所をつくりたい」というもの。この思いを形にしたのが、2023年よりスタートした「With Children 企画」だ。現在「SKY Fesのドキュメンタリー映画制作」「こども新聞」「こどもカフェ」の3つのプロジェクトがある。沖縄県内の小中高生が参加するこれらのプロジェクトは、例年琉球新報にて募集を行っている。SKY Fesの舞台裏やこの2日間にかける大人の本気を間近で見られるチャンスなので、ぜひ多くの子どもたちに体験してほしい。完成した映像は、2025年5月に開催されるSKY Fes後夜祭で、上映・ストリーミング配信を行う予定だ。
<DAY1ステージレポート>雨が降るなかでのスタートだったため、10時の開場からゆっくりとしたペースで来場者が集まりだした。メインステージの出演アーティストはHYを含め8組。
11時15分、オープニングアクトから『HY SKY Fes 2025』がスタートした。
オープニングアクトを務めたのは、3人の芸人ラッパーからなるグループ・THE安里1丁目ミラクルボーイズ。「HY SKY Fesは日本一、いや世界一と聞いております。一緒に盛り上がれるな〜?」の呼びかけに、オーディエンスが拍手で応える。まずは自身の紹介を含めた楽曲「THE安里1丁目ミラクルボーイズ」を披露。続いて沖縄県民のシンボルストリート・国際通りをテーマにした「奇跡の1マイル」で、ウチナーンチュ魂を見事に観客に焼き付けた。大サビでは「レッツ!ダンス!ウチナーンチュ レッツ!ダンス!ヤマトゥンチュ レッツ!ダンス!世界中」を高らかに叫び会場をひとつにし、SKY Fesの幕開けとしてぴったりの楽しいひとときとなった。
THE安里1丁目ミラクルボーイズ
カウントダウンから、「HY SKY Fes 2025 スタート!」の子どものアナウンスとともにHYのウェルカムライブがスタート。
メンバーの名前を叫ぶオーディエンス、それに応えるように手を振るメンバー。「SKY Fesにお集まりのみなさん、ハイサイ!HYです!」「みなさん、楽しむ準備はできてますか〜?」「みなさん、元気ですか〜?」の呼びかけに会場から大きな拍手が湧く。1曲目はSKY Fesのテーマソングである「SKY」を披露。“うれしいときも 悲しいときも”と静かに歌い出し、そして大きな掛け声とともに元気よく演奏をスタート。続いて「Ocean」を仲宗根とともに優しい声でテンポよく歌いあげた。「HY SKY Fes みなさん最後まで楽しんでいってね」の言葉で会場をしっかりと温め、ウェルカムライブが締めくくられた。
HY
HY
HY
HY
HY
1組目のアーティストはスリーピースロックバンド・BURNOUT SYNDROMES。“飛べ fly high!”の歌詞とアップテンポな音で勢いよくライブをスタートさせた。
「FLY HIGH!!」「BLIZZARD」「花一匁」の人気曲を続けて披露。「BLIZZARD」では津軽三味線の音色で圧倒的な存在感を放ち、続く「花一匁」では会場を一気にエモーショナルな雰囲気へと変えた。
BURNOUT SYNDROMES
音を奏でる技術の高さが際立つ彼らのステージに、徐々にオーディエンスが惹きつけられていく。さらに石川大裕(b&cho)の雨よけテントから飛び出してステージを自由に演奏する姿は、見ていてとても楽しくなる。MCでは「SKY Fesに出られてしにうれしいさ〜!」と沖縄独特の言い回しで叫び、オーディエンスは大盛り上がり。そして「今回はみなさんに聴いてほしくて、たくさん曲を持ってきました。最後まで楽しんでいってくれますか?」と人気アニメのオープニングテーマソング「ヒカリアレ」へとつなげた。
BURNOUT SYNDROMES
続いて雰囲気を一変し、おしゃれなサウンドから「BABEL」をスタート。
「PHOENIX」「Good Morning World!」を披露し、メッセージ性の強い歌詞と高い技術力、そしてハートフルなパフォーマンスが心に響き続ける40分となった。卒業式や入学式など環境の変化が多いこの季節に、多くの人がエールを受け取っただろう。
2組目のアーティストはスターダスト☆レビュー。根本 要(vo&g)のアカペラによる自己紹介からスタートし、圧倒的な歌唱力で一瞬にしてオーディエンスの心をつかんだ。そしてアカペラから始まる「AMAZING GRACE」で、さらに引き込んでいく4人。鳥肌もののコーラスを目の当たりにし、続く「夢伝説」では懐かしいメロディーに会場の大人たちが惹きつけられた。
スターダスト☆レビュー
「今夜だけきっと」はオーディエンスも一緒に大合唱。ある程度の年齢の人なら誰しもが耳にしたことがある歌い出しに、ハッとした人は多いのではないだろうか。そして「木蘭の涙」をピアノの優しいサウンドとともに魂を込めて歌い、会場が感動の渦に包まれる。素晴らしい名曲を生で聞けたことに、多くの人が幸せを感じたことだろう。会場内が静かに聴き入っていた。
スターダスト☆レビュー
そして「トワイライト・アヴェニュー」、続いて「オラが鎮守の村祭り」でリズミカルな歌詞とサンバミュージックで会場を一気に明るく楽しい雰囲気に導いた。最後の楽曲は「と・つ・ぜ・ん Fall In Love」。序盤で感動を生み、終わりは明るく楽しく、スターダスト☆レビューならではのエンターテイメントに徹したステージに魅せつけられた40分となった。
すっかり晴れて気温が上がったスタンディングエリアに多くの人が詰めかけ、大きな拍手とともに登場したのはCHEMISTRY。「Here I am」「Floatin’」を続けて披露。そしてそのまま歌い出したのは、彼らのデビュー曲にして人気曲となった「PIECES OF A DREAM」だ。20年以上も経っているとは思わせない歌唱力と色褪せない歌詞、そして大人になった彼らの色気に一気に惹きつけられる。
CHEMISTRY
「You Go Your Way」では声質の異なるふたりの歌声がまさに「音楽的化学反応」を起こし、美しいメロディーとなって響き渡った。そして「Get Together Again」「ユメノツヅキ」「Let’s Get Together Now」を続けて披露。最後は「ララララララララ ラララララ〜ラ」を会場中で大合唱し、この日最高潮の盛り上がりをみせステージを終えた。CHEMISTRYとは、こういうことだったのかとはっきりと感じられた、圧巻のステージだった。
CHEMISTRY
CHEMISTRY
バンドメンバーの登場でオーディエンスが沸き立つなか現れたのは、LiSA。「LiSAです。よろしく!」とかわいらしく挨拶したかと思えば、すぐさま「Rising Hope」で勢いのあるライブをスタートさせた。続けて「だってアタシのヒーロー。」をアップテンポに披露。
LiSA
MCでは「2025年初のライブをこのSKY Fesで迎えられて、ほんとにほんとにとてもうれしいです。ありがとうございます」と語った。幼少期を沖縄で過ごしたというLiSA。「沖縄のいろんな景色を思い出しながら、今日はこのステージで歌わせていただきます。大好きなオレンジ色の空を想って」と、鍵盤ハーモニカを手にもち歌い出したのは、「オレンジサイダー」。
LiSA
そしてピアノソロからイントロに入ったのは、あの有名曲「炎」だ。大きな喝采を浴び、力強く歌いあげた。続いて「QUEEN」「crossing field」ですっかりあたたまった会場は、「紅蓮華」でさらに興奮をさそう。最後は「Crow Song」で会場に一体感を生み、力強いパフォーマンスを終えた。ロックの女王に徹したLiSAの40分のステージを、大人も子どもも一緒に楽しむ時間となった。
この日の最高人数がどんどん前から詰まっていき、オーディエンスが待ち望むなか登場したのは、ダンス&ボーカルグループのGENERATIONS。「AGEHA」「Diamonds」「Hard Knock Days」を3曲続けて披露し、圧倒的なダンスパフォーマンスと存在感で会場を魅了した。特にパフォーマーによるソロダンスは大盛り上がり。
GENERATIONS
MCでは一人ひとりが挨拶をし、最後は片寄涼太が「こういった形で沖縄に帰ってこられてすごくうれしいです。この場所で音楽をとおしてひとつになっていけたらいいなと思います」と言葉を添えて、グループが現在手がけるプロジェクトについて紹介した。メンバーひとりずつGENERATIONSの楽曲をプロデュースし、毎月1曲配信していくというもの。その企画から生まれた曲「True or Doubt」「気づいたことは」を2曲続けて披露。
GENERATIONS
そして彼ら自身が大好きだという、沖縄のアーティスト「ORANGE RANGE」の楽曲「花」をカバー。歌にあわせてみんなで体を揺らし、大合唱のパフォーマンスとなった。そして続くのは「Y.M.C.A.」。サポートダンサーで出演したEXPGの生徒と共にポップにカッコよくカバーされた名曲で盛り上がりを最高潮にし、最後は「to the STAGE」を披露。みんなでタオルを振って踊って一緒に盛り上がる時間があっという間に終わってしまい、名残惜しく感じた人は多いだろう。ステージが終わり暗転した舞台を前に、余韻だけがその場に残っているのを感じた。とても素晴らしいパフォーマンスだった。
DAY1のトリを飾るのは、HYの音楽の先輩であり、ともに沖縄の音楽を盛り上げてきたかりゆし58。「SKY Fesの初日のトリを努めてもらえないでしょうかってお願いしたら、『もちろん!僕たちに任せて。みんなを喜ばせてあげるからねー』って言ってたよ。みんなも聞きたいよね?」との新里の呼び込みからメンバーが登場。指笛が鳴り響くなか「ナナ」を披露。
かりゆし58
そして「沖縄の音楽仲間、HYが大事に大事に育ててきたイベントなので、だからこそかりゆし58の最初の一歩になった曲を歌いたいんです。あなたに聞いてもらいたいんです。HYに届いたらいいな」の言葉をはなち、「恋人よ」につなげた。続く「JUMP UP!!」で「スイ!スイ!スイ!スイ!イーヤーサーサー!」の掛け声とともに、会場中がジャンプし大盛り上がりをみせた。
かりゆし58v
MCでは、「女の人が笑っていたら世界がよくなります。今日はそんな1日でありますように。人生で1番泣かせてしまった女性の歌、歌います」と、彼らの代表曲であり、沖縄の人から愛され続けている名曲「アンマー」を歌いだす。会場が歌詞に歌に耳を傾けはじめ、みんなが静かに聴き入っていた。続いて応援歌といわれている楽曲「まっとーばー」、"隣にいる身近な人にメッセージを贈ろう!"のメッセージを込めた「手と手」を披露。最後の楽曲「証」で“結んだ心は離れない”と何度も歌い、余韻を残し舞台を去っていった。
大きな喝采に応えて、「沖縄の音楽よろしくお願いします!」と再度舞台に登場。「本気で大人が遊んでいる姿をみた子どもは、未来の見え方が変わると思います。大人になるのが楽しみになると思います。彼らが早く大人になりたいぜーっていうような光景を彼らにみせてやりましょう!あと一曲やります!」と高らかに叫び、歌い出したのは名曲「オワリはじまり」だ。“もうすぐ今日が終わる やり残したことはないかい”の歌詞に、DAY1の終わりへの名残惜しさと、1日はあっという間だから大切にしなければならないというメッセージを受け取った。サビはもちろんみんなで大合唱。とても心がポカポカして、大切な人を抱きしめてあげたいという気持ちになり、DAY1最後のライブが終わった。
かりゆし58
例年雨予報に悩まされる『SKY Fes』もなんとか晴れるのが恒例であった。しかし今年は前夜祭・DAY1スタートまで雨が降ったり止んだりが続き、雨予報が90%の時間もあった。今回ばかりは雨のなかのフェスになるだろうと思っていたが、1組目のアーティスト・BURNOUT SYNDROMESが、最高のジャンプで上昇気流を起こして雲を取り払おうと提案したのがきっかけとなったのか......彼らがオーディエンスの最高のジャンプを引き起こし、その後本当に雲が去り晴れ間がさしたのだ。ラストのかりゆし58まで雨は降ることなく、最後の最後にシトシトと降り出したとき、誰もが「SKY Fesってもってるな」と思ったことだろう。ひとえに、世界一クリーンなフェスをめざした『SKY Fes』だからこその展開だ。さまざまな奇跡と楽しみを運ぶ『SKY Fes』。ぜひ一度足を運んでほしい。
Text:五十嵐梨花Photo:G-KEN / 根原奉也 / 仲本潤
<公演情報>
『HY SKY Fes 2025 & 前夜祭』
沖縄県総合運動公園 多目的広場
【DAY1】 2025年3月15日(土)
出演者:HY / THE安里1丁目ミラクルボーイズ(オープニングアクト)/ BURNOUT SYNDROMES / スターダスト☆レビュー / CHEMISTRY / LiSA / GENERATIONS / かりゆし58(※HY以外出演順※敬称略)