映画『スペシャルズ』佐久間大介インタビュー「ダンスって好きにならないとうまくならないんです」
Snow Manの佐久間大介が、伝説の元殺し屋で児童養護施設の職員という異色の主人公を演じ、そのダンスの才能を遺憾なく発揮している映画『スペシャルズ』が公開を迎える。過去に『マッチング』、『ナイトフラワー』でタッグを組み、佐久間が「映像でのお芝居の楽しさのきっかけをくれた、僕にとっての恩師のひとり」と語る内田英治監督の完全オリジナル脚本となる本作で、満を持して映画単独初主演を飾る。ダンスあり、ガンアクションあり、笑いあり、男たちの友情あり! まさにスペシャルな本作にどう挑んだのか? 佐久間に話を聞いた。
――今回、映画単独初主演ということで、現場で“座長”として意識されたことなどはありましたか?
僕の中では(『マッチング』で共演した)土屋太鳳ちゃんが座長のイメージだったんですよ。僕にとって、一番近くにいた座長で、すごく強くて、僕は彼女のことを“令和のジャンヌ・ダルク”と呼んでいるくらい(笑)、本当にちゃんと旗を振って「みんな行くよ!」と先頭に立ってくれて、みんながその背中を見て付いていくというタイプの方だったんです。それを参考にしようかなと思ったんですけど、自分はそのタイプじゃないっていうのはわかっていたので「じゃあ、自分の中の座長って何だろう?」って考えたときに、“調和”かなと思いました。 Snow Manの中でも僕は調和を一番大事にしていて「みんなで楽しかったら良くない?」みたいなことを一番にしているので「座長なんだけど、みんな座長でよくない?」みたいな(笑)、「みんな主役じゃん?」くらいの感覚で「みんなで楽しかったらいいか」っていう。
――「孤高のプロの殺し屋たちが集結する」という設定だけあって、集まったキャスト陣も椎名桔平さん、中本悠太さん(NCT)、青柳翔さん、小沢仁志さんという、豪華かつ、なかなか強面な面々でした。
最初の顔合わせが一番印象的だったんですけど、怖いじゃないですか?みんな(笑)。翔くんも、桔平さんも、小沢さんも怖いじゃないすか(笑)? 「どうやって仲良くなるかな?」って考えたんですけど、小沢のアニキがすごく気さくでフレンドリーな方でしたね。小沢のアニキが「踊れねぇよ!」とか言ってくれて、ムードメーカーとしていろいろやってくださったんです。また、桔平さんに突っ込むっていうのも、最初はできなかったんですよね(苦笑)。怒っちゃうかな?とか、加減がわかんないじゃないですか。正直はじめは「怖いな」と思って。でも、小沢のアニキが桔平さんをイジって、それに対して椎名さんからもやりとりがあって、「あぁ、こういうことも許してくれるんだ」と探ることができました。それは小沢のアニキのおかげです。
――ダンスの存在が、劇中だけでなく実際にキャスト陣を一致団結させる要素になった部分もあったのでは?
やっぱり一体感が生まれますよね。練習して取り組むってことで、作品の中でも一体感がすごく生まれていたし、現実の役者のみなさんとも、事前にダンスの練習をしたり、みんなで確認し合ったり。撮影の前にダンスから入ったのはすごく良かったなと思います。仲間意識がちゃんとできたから、より一丸となって撮影本番を迎えたからこそスペシャルズ(※劇中で殺し屋たちが組むダンスチーム)に説得力が生まれたんじゃないかと思います。
――内田監督の存在について「映像でのお芝居の楽しさのきっかけをくれた恩師の1人」とおっしゃっていますが、過去に『マッチング』、『ナイトフラワー』でご一緒されて、具体的にどういう部分で演技の面白さや深みを教わったと感じるのでしょうか?
まず『マッチング』のときに「この役が俺に来るんだ!?」ということにびっくりしたし、「面白いな、その感性」と監督自身に惹かれたんですよね。演技の部分でも、それまで舞台やドラマに出ていましたが、ドラマの演技って、舞台寄りで激しい印象があって。デカい声を出したり、ちょっとコメディ寄りだったり。でも映画はよりリアルだから「こんな声小っちゃくて大丈夫なの?」っていう部分でも内田監督は「全然、大丈夫!」と言ってくださって。
「太鳳ちゃんも聞き取れないぐらいの声量なんだけど、大丈夫か?」と思う瞬間もありましたが、でも監督が「これでいい」ってOK出してるということを信頼するべきなんだなと思いました。また、やっている中で「映画って嘘をつけないんだよ」という話をいつもされていたんです。「観客は映画館で大スクリーンとデカい音響で映画の世界に集中するじゃん?だから嘘をつくとすぐバレるんだよ」という話を聞いて、より面白いなと感じていました。「本物でいたい」と思うからこそ、そこは試されているなと思ってワクワクしたし、実際に出来上がった作品を観て、実感もしました。それで「もっと映画に出たいな」って。そういう意味で、映像演技での楽しさを教えてくれたのは内田監督だな、と自覚しました。
――自分の演技をスクリーンで観たときに「自分ってこんな表情をするんだ?」とか「こんなふうになっていたんだ?」みたいな驚きはあったんですか?
そこは、もともと自分のことを俯瞰で見られるので、動きであったり、表情であったりが「こういう感じになっているだろうな」と自分の中では的を射ていたという感じでした。
ただ、監督に現場で「3日寝てない目をして」とか言われたんですよ。
内田監督って、すごく目の表現を大事にされるんです。僕だけでなく、いろんな役者さんにもディレクションするときに、目の話をしてるし、表現として目が伝えることって情報が多かったりするので、例えば何かしゃべっているときに目線がブレちゃったら「そこに意味が出ちゃう」とか。ちょっとウルウルしたり、目が乾燥しちゃったときも「そこに意味が出ちゃう」ということをおっしゃっていて、そういう細かいところまで意識していたんだなっていうのは自分の演技をスクリーンで観て、学びになった部分でした。
踊っているときは「一番うまい!」と思って踊っています
――本作を含めて、内田監督の作品で佐久間さんが演じるキャラクターは、葛藤や過去の心の傷を抱えているなど、パブリックイメージとの差が大きいことが多いかと思います。その際の演技では、自分の内側から感情を取り出して表現されているんですか?それとも、自分にはないものを新たにつくって表現されているんでしょうか?
真逆のキャラなので、想像しやすいんですよね、すごく。だから最初の頃は、想像で作っていたんですけど、監督に「もっと演技うまくなりたいです」という相談をしたときに、ワークショップを開いてくださったんです。ワークショップと言っても、演技をするのではなく、演技というものの起源やどういう演技や表現があるのか?ということを教えてもらう会だったんですけど。そのときに感情の持っていき方の話になって、自分にないものから生み、つくり出すのもありなんだけど、やっぱり自分が経験したことを出したほうが説得力があるということを教えてもらいました。
それ以降は、キャラクターと自分の気持ちのフォーカスの置き換えを意識するようになりましたね。――佐久間さん自身、小さい頃から続けてきたダンスが本作の重要な要素となっているので、佐久間さんのダンスに対する思いなどもお伺いできればと思います。これまでダンスをしてきて、転機であったり、忘れられない瞬間などはありますか?
僕、小学2年生からダンスをやっているんですけど、小学3年生の頃かな?足を骨折して、ダンスができなくなったんですよ。そのとき「やめようかな…」と思ったんです。子どもの頃の習い事って基本、やめたくなるじゃないですか(笑)。そんなときに、ダンスの発表会があって、それを見学しに行ったんですが、(踊っている子たちが)めちゃくちゃ楽しそうで、初めて自分から「これに出たい!」って言ったらしくて、親からすごく印象残っていると言われました。それが転機だったんじゃないかなと思いますね。
いま思えば、そこからめちゃくちゃ「ステージに出たい」って気持ちが出てきたし、もともとダンスは好きだったし、上手だったんですよ。
基本的に僕の年齢で上級クラスにいる子はあまりいなかったんですけど、そこからすぐに(上級クラスに)入れましたね。よりダンスを好きになって意欲が出て、うまくなったんだと思います。
――ダンスで挫折を味わったり、悔しい思いをしたことは?
ミスったときは悔しいですよね、やっぱり。振り付けが飛んだり、急に位置がわからなくなることは、たまにあるんですよ。それから、僕はタップダンスだけは習ったことなかったんですよ。それ以外のダンスはほとんどやったことあるんですけど、タップダンスだけは当時やったことなくて、タップダンスの選抜に唯一残れなかったんです。ほとんどのダンスでは選抜に残るんですけど。それでバレーボールの仕事に出られなかったことがあって、あれは悔しかったですね。
――そういう時はどうやって気持ちを立て直すんですか? ひとりで練習に取り組んだり?
「自分にも苦手なものがあるんだな」と思って納得しました。そこから(練習を)することも特になく…。もちろん、(やらなければならない)機会があれば練習はするんですけど、得意じゃないこともあるから「そこはいっか」みたいな感じですね。「俺、(別の)あれが上手いしいっか!」みたいな感じで切り替えます(笑)。
――いまはもう、活動の中でダンスは仕事の一部でもあると思いますが、ご自身にとってダンスはどういうもので、どのような思いで取り組まれているんでしょうか?
ダンスって好きにならないとうまくならないんですよ。僕は自分のダンスがすごく好きですし、基本的に踊っているときは「一番うまい!」と思って踊っています。「誰よりも上手いな」と思って(笑)。
取材・文:黒豆直樹
『スペシャルズ』
3月6日(金)公開
(C)2026「スペシャルズ」フィルムパートナーズ