浅田次郎の原作小説を舞台化。オールスタッフプロデュースの音楽劇『獅子吼(ししく)』開幕
浅田次郎の小説を和田憲明が舞台化する音楽劇『獅子吼』が10月21日(水)に開幕する。
「獅子吼」とは、釈迦が説法する様子を、獅子が吠える様子に例えた言葉だ。劇団温泉ドラゴンで才能を発揮するシライケイタが脚本を、極限まで追い詰められた登場人物たちが繰り広げる人間ドラマに定評のある和田憲明が演出を手掛ける今回の座組では、音楽を小澤時史が担当し、浅田次郎の切ない物語を音楽で包み込む。激しい瞋(いか)りを内に秘めた獅子と人間の、哀切と尊厳が胸に迫る。
戦争の足音が日増しに強くなる頃、東北地方のとある港町。そこにはかつて町の子どもたちを笑顔にしていた小さな動物園があった。そこで「決して瞋(いか)るな。瞋れば命を失う」 という父の訓えを守り、動物園で静かに暮らす老獅子。
檻の中で妻をめとり、子をもうけ、決して人間に瞋りを見せることなく安らかに生きていたが、戦火が近づき、市井の人々の食料は底をつき、動物たちに分け与える餌の余裕がなくなってゆく。子を奪われ、妻も亡くし、死を待つばかりの獅子の前に現れたのは、兵隊となり銃を抱えた、飼育員の草野だった——。
オールスタッフが浅田次郎の原作小説を舞台化するのは、『天切り松』『月のしずく』に続いて3作目。