2022年5月20日 11:00
「1年=525600分を愛で数えよう」 『レント』フェアウェルツアー“大千秋楽”にむけ上演中
撮影:ヒダキトモコ
その生き様を綴ったネットフリックス映画、 『チック、 チック…ブーン!』のヒットも記憶に新しいブロードウェイの作詞作曲家、 ジョナサン・ラーソン(1960~1996)。 映画で描かれた焦燥の日々の後、 彼が1996年に生み落として熱狂的な支持を受け、 以来世界中で繰り返し上演されているミュージカルが『RENT』だ。 20世紀末のニューヨークで、 貧困、 エイズ、 同性愛といった生きづらさを抱えながらも、 今この瞬間を懸命に生きようとする若者たちの物語。 初演から25周年を記念し、 昨年アメリカで立ち上がった「フェアウェルツアー」カンパニーが5月18日、 ツアー最終地となる日本に上陸した。
繰り返し上演されている作品において、 何よりも物を言うのはキャストの温度だ。 物語と音楽の素晴らしさはとっくに立証されている中で、 どれだけ「かの有名な作品を紹介します」ではなく、 「これが俺たちの作品だ!」という熱量を醸せるか――。 客席がまだ明るい中でカンパニーが静かに登場し、 暗くなると同時に一斉に踊り出した瞬間、 彼らならば大丈夫だと直感した。 長く続いたツアーの最終地であり、 またその前の20周年記念ツアーがコロナ禍により道半ばで終わってしまったことも影響しているのだろう、 とにかく「この舞台にすべてを懸ける!」