2022年4月20日 18:00
ナイーブで柔らかな狂気を秘めた注目のアーティスト、にしな。最新曲も披露したワンマンライブ『虎虎』東京公演をレポート
Photo:Kana Tarumi
緊張感という「歌」に耽溺した時間
東京・中野サンプラザのステージの上、ギターのハウリングノイズが響き渡る中、大きな拍手と共に登場したにしながギターを抱えて最初に歌い出したのは、2022年の幕開けと共に配信リリースされた新曲「スローモーション」だった。裏声と地声を巧みに使い分けながら、多彩な表情を見せる「にしな節」。唯一無二のその歌力×オルタナティヴなバンドサウンドのタッグに、早くもスタンディング状態で釘付けになっている大勢の観客の姿が見える。
青と赤のライトの下、マイクだけを手にしたにしなが歌った「夜になって」では、歌詞に綴られた息苦しさや悲しみが、エモーショナルなギターの音色と共にオーディエンスの胸の奥を直撃していく。
浮遊感あるR&B風サウンドとナイーブな歌声が甘く切なく溶け合う「centi」、「夜間飛行」と、チル系チューンを続けた後は、アコースティックギター片手に「モモ」を披露。歌うにしなひとりを照らすピンスポットの中、儚い声で弾き語られる言葉と情景に、場内の誰もが食い入るように聴き入っている。
「緊張感がありました…。弾き語りだとなんか、呼吸しちゃいけないのかなと」