【ライブレポート】SPARK!!SOUND!!SHOW!!、15周年イヤーの幕を開ける東京ワンマン「メロウでグッドなメロディの曲は一切やりません」
写真:Taka"nekoze photo"
タナカユーキ(Vo/Gt)とチヨ(Ba/Cho)を中心に大阪で活動をスタートし、今年結成15周年を迎えたSPARK!!SOUND!!SHOW!!。アニバーサリーイヤーとして今年はさまざまなライブ企画が予定されているが、その第1弾となる『15th Anniversary Show~ONE MAN Series~』が4月16日渋谷WWWで開催された。
パンク、ハードコア、エレクトロからポップスが混じり合ったエクストリームなサウンドと楽しむことに振り切ったエネルギッシュでエンターテインメントな4人のステージは、まさに“SPARK!!SOUND!!SHOW!!”としか形容のしようがない。そのスサシというバンドの面白さを見せるライブとなった。
15周年を幕開けるワンマンライブは東京と大阪(5月6日梅田Shangri-la)で開催となる。それぞれでセットリストを変え、アニバーサリーイヤーならではの集大成的なものになるのは間違いないが、レポートする東京公演に関して言えば、攻めに攻めた内容となった。
15年のドラマやバンドが歩んできた道のりを見せるというよりも、頭から祭りのフルパワーで始まり、その高揚感を天井知らずで上げていく。メンバー4人と観客とが一体となって会場を揺さぶって、音楽やライブというもののエネルギーを存分に味わうステージだ。
登場からまさに無敵状態とでもいう空気をビシバシ放ち、「SKIMMING ME!!」「YELLOW」で早速シンガロングとダンスを巻き起こしていった4人。凶暴なデジタルビートが炸裂する「TOKYO MURDER」では、イチロー(Ds/Cho/169)がドラムセットからステージ最前線へと飛び出して観客を煽り、チヨ、タクマ(Gt/Syn/Cho)もまたステージ両サイドから身を乗り出してフロアを熱していく。
ステージとフロアの境目も関係なしでぶつかり合っていくが、まだまだライブは序盤。バンドも観客もこんなにフルスロットルでいって最後までもつのか?と思うが、両者ともに加減は完全無視。むしろその激しく刺激的なサウンドで体力をチャージしているようだ。
高音のシンセに重厚なギターリフとビートで興奮を引っ張り上げていく「南無」では、観客が待ってましたと大きくジャンプし、タナカユーキはそのフロアのうねりに飛び込んでクラウドサーフでフロアを回遊しながら歌う。スタートから一息で、気づけば熱狂のど真ん中にいる感じだ。
ようやくブレスを入れるように観客に挨拶し「来てくれてありがとう」というタナカユーキ。
またチヨは「攻め攻めのセットリストなので、僕らも頑張るからみなさんも頑張って」と告げると、タナカユーキが「今日は全部が仕上がった状態だ」とバンドが最高のコンディションであることを付け加えた。
2015年の1st EP『Chemical X』収録のファンキーでアグレッシヴな「ドツク」で始まった中盤は、新旧混じり合った曲で観客のテンションを指揮していく。サブスクには上がっていないレア曲「サイコインターネットマジック」や、16年目に突入したSPARK!!SOUND!!SHOW!!の最新型である極上にキャッチーなミクスチャーロック、新曲の「霊障サーキュレーション」で豪快に観客を揺さぶると、ここからはさらにSPARK!!SOUND!!SHOW!!の真骨頂。
目潰しのライトがビカビカと点滅するなか前のめりのビートと掛け合うボーカルで加速する「GODSPEED」で恍惚感を生み出すと、「感電!」でさらなる興奮の向こう側へとアクセルを踏みこんでいく。ブルータルなビートを背にフロントの3人は楽器を置いて声を上げ、会場内に旋風を巻き起こすこの曲。セットリスト上では「感電!」を2連打する予定だったが、イチローのタイミングが遅れ2発目はなしに(その雪辱をアンコールで晴らした)。しかしながら観客もこの辺で一休みする時間も必要だっただろう。
後半へと折り返すMCでタナカユーキは、「SPARK!!SOUND!!SHOW!!を知ってくれている人なら、我々がいいメロディで万人に届く歌を歌っていることもご存知ですよね」と観客に語りかける。
ここらへんでバンドの一面でもある歌心ある曲をじっくりと聴かせてくれるのかと思いきや、「メロウでグッドなメロディの曲は一切やりません」と宣言し、後半もアクセルを踏み続けた。
「SCAR」から始まり、もはや笑っちゃうくらいに激しさを増したアンサンブルを奏で、アクロバティックに暴れていく。「STEAL!!」から「DEATHTRUCTION」へと怒涛の勢いで興奮を駆け上がっていって大きなシンガロングを起こしたかと思うと、ヒリヒリとした緊張感が漂うなかタナカユーキのモノローグでSPARK!!SOUND!!SHOW!!というバンドの反骨精神、無二の音楽や空間を作り上げていく内なる思いを一気に爆発させる「MARS」から、バンドで最初に作ったという「スサシのマーチ」へとなだれ込む。
結成からメンバーの変遷はあるが、その核は1ミリもブレることなく、その異端にして極上にポップな“CHAOS POP”を丹念に磨き上げてきていることを、全身で伝えていく並びだ。さらに「BRUSH UP」や「しあわせになる」で、観客と一体となって歌い、踊る。
また、この後のワンマンでの大阪公演に続き、7月からは『15th Anniversary Show~QUATTRO Series~ おどれしゃれこうべ』と題して東名阪の対バンライブが始まるほか、さまざまな企画を予定していることもアナウンスし、アニバーサリーイヤーは始まったばかりだということを告げたSPARK!!SOUND!!SHOW!!。
観客のスマホのライトに照らされ歌った「good sleep」に続いてこの日のライブを締めくくったのは、「ソウルナンバー」。会場みんなの顔が見えるようにフロアのライトが灯ったなか観客と掛け合うようにして歌ったこの曲には、バンドとここにいるみんなとでこの先の未来の景色を描いていきたいという思いを新たにするエネルギーで満ちていた。
充実感と共に、まだまだここから道の世界が始まっていく興奮とが入り混じった、15周年がスタートした。
文:吉羽さおり写真:Taka"nekoze photo"
<公演情報>
SPARK!!SOUND!!SHOW!! Pre“15th Anniversary Show~ONE MAN Series~”
2024年4月16日 渋谷WWW