2021年9月17日 12:30
トロント映画祭:ベン・フォスターの演技に大絶賛『The Survivor』
アウシュビッツ時代のシーンに、フォスターは、27kgも減量して挑んだ。肉体面はもちろんのこと、PTSD、罪悪感、恐怖を抱えるハリーの内面を、フォスターは、やりすぎになることなく、絶妙に表現している。
一方、レビンソンは、本編の前の挨拶ビデオで、「なぜこの映画を作ったのですかと昔からよく聞かれるが、答えらえないことが多い。でも、今作の場合は答えられる」と、自身の思い出を打ち明けている。レビンソンが小さな子供だった40年代、突然、家に祖母の兄か弟に当たる男性が泊まるようになった。男性は夜、寝ながらよくうめいていて、幼いレビンソンは奇妙に感じたそうだ。彼がホロコーストの生存者で、今でいうPTSDを抱えていたのだとわかったのは、それからずっと後になってからのことだったと、レビンソンはいう。レビンソンにとって、これはパーソナルな思いのある作品なのだ。
原作を書いたのは、ハフトの実の息子アレン・スコット・ハフト。ハンス・ジマーの音楽が、さらに胸をしめつける。アメリカでの公開が決まれば、アワードシーズンでの活躍が期待できそうである。
文=猿渡由紀
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