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魂を震わせた十明の歌声に鳴り止まぬ拍手 渋谷クアトロで魅せた圧倒的な存在感と純粋無垢な素顔をレポート!

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魂を震わせた十明の歌声に鳴り止まぬ拍手 渋谷クアトロで魅せた圧倒的な存在感と純粋無垢な素顔をレポート!

Photo:Yuuki Oishi



Photo:Yuuki OishiText:松木美歩
シンガーソングライター・十明が11月30日東京・渋谷クラブクアトロで『十明 QUATTRO TOUR 2025』を開催した。10月にリリースしたEP『1R+1』を提げて東名阪を巡り、ファイナルとなったこの日。ひとつの小さな部屋から繰り広げられる様々なストーリーが展開された今作をライブというリアルな空間で体感できる時間だ。

先ごろ最終回を迎えた月9ドラマ『絶対零度〜情報犯罪緊急捜査〜』の主題歌「GRAY」の反響も大きく、多くのオーディエンスが詰めかけた渋谷の夜。静かにステージに登場した十明はすでに彼女が持つ音楽の世界観に憑依していた。


暗転するとオルゴールの音色が会場を包み込み、おとぎ話の1ページに紛れ込んだようなSEから一曲目「Discord-disco」。野田洋次郎がプロデュースし、2ndデジタルシングルとしてリリースされたこの曲。普段みせる素朴で純粋無垢な姿とは裏腹に、妖艶で大人の空気を纏いジャジーに歌う十明。
憑依型とは聞いていたが、まさに十明が作り上げた変身のレシピ。ウッドベースが気持ちよく響きながら、十明のその変幻自在ぶりに一曲目から度肝を抜かれた。

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「みなさんこんにちは、十明です」短い挨拶にすでに最高潮の盛り上がりを見せるオーディエンスから歓声があがり、2曲目「蜘蛛の糸」へ。アンティークな雰囲気という表現がぴったりで時代を一気に昭和へと引き戻し、その哀愁に二十代とは思えない深みを曲が進むごとに感じていく。《だけど欲しがりません勝つまでは》恋愛に置き換えられたこの歌詞ひとつにも大人の品を感じながら、次の披露されたのは「君のヒーロー」。一変してメロディアスでポップなサウンドにオーディエンスも思い思いに身体を揺らしていく。

「改めまして十明です。こんなにたくさんの人が来てくれて、こんなにたくさんの人が私を知ってくれて会いに来てくれてるなんて、すごくうれしいです。
今日は十明という人間を少しでもお伝えできるライブにしたいと思います」そうMCで話した十明はひと言ひと言を丁寧にゆっくり紡いでいた。『1R+1』のリリースインタビューで彼女は「クアトロツアーでは、リアルな自分の姿を届けたいと思っていて、いつもより自分のことを話してみたい。MCは苦手なんですけど」と話していた。不安そうだけど一生懸命に、音楽だけでなく、自分自身をもっと知ってほしい。そんな想いを詰め込み今日という日を十明自身が特別な日に演出していく。MCにもそんな想いを感じられる瞬間がたくさんあった。

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「Dancing on the Mirror」では、白雪姫と女王をテーマに艶かしくも妖しく表現豊かに、裏拍で取るリズムが心地いい。さっきまでMCで必死に言葉を紡いでいた十明とはまったくの別人格が歌い上げるこのギャップがまた彼女の良さだ。
「蛹」では言葉を畳み掛けていくなかで息継ぎが緊張感を掻き立たせ、間髪入れずに「灰かぶり」へ。ハンドクラップに乗せてリズミカルに進んでいくこの曲だが、《愛されたい悲しみで満たしたこの身体があぁ重くなるガラスは刺さったまま》という歌詞が主軸にあって、なんともダークなグルーヴ感がまた最高なのである。

アコギを担ぎながらMCで語ったのは、次に披露される「ねばーえばーらんど」に繋がるエピソード。「友達が心の病になってしまったときに自分になにができるんだろうって。意味がなくてもやらなきゃいけない。少しでもなにかに繋がれば」と想いを吐露しながら、『1R+1』の最後に収録されている「ねばーえばーらんど」へ。まるで誰かの隣りで語りかけるような世界観。小さな部屋のワンルームで大切な誰かの想いを受けとめて紡ぐ言葉。
誰かを想う気持ちに寄り添ったあたたかな空間がここにも存在していた。

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続く「僕だけが愛」もアコギの音色を色濃く残しながら、やさしく寄り添うように、語りかけるように歌う。神聖で透き通る声が会場全体を包み込み、狂愛な感情がなんとも言えない感情を生んでいく。そして、「月並」ではまた一変し、可愛らしい歌声で等身大のリアルな恋心を綴る。こういうシンプルさにこそ十明の表現力の幅広さを感じることが彼女の底知れぬ魅力だ。そして、国際ファッション専門職大学のCMソングとして話題となった「NEW ERA」。《誰かの選んだ靴じゃ遠くへは行けない》という歌詞が印象的で、自分らしさを力強く描いた、新しい時代を象徴するこの曲の言葉一つひとつにも頷きながら聴きいるオーディエンスの姿が印象的だった。
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後半に差し掛かったところで披露された「メイデン」では、アグレッシブなバンドサウンドが印象的で、思春期の少女の危うさや焦燥感を表現しながらも軽やかにメロディアスに表現していく。
「クズ男撃退サークル」では待ってましたという期待感をオーディエンスから感じながら、Aメロの可愛らしさからのその先の芯の強さをライブではさらに強く感じさせてくれて、《おのれ!愚かなる者たち》の歌詞にぐさりと胸を突く感情を覚えた。「ねぇねぇ先輩」では、バンドメンバーそれぞれを〇〇先輩と称えながら紹介していき、「ボーカルは十明先輩です」と自身もその枠に入れながら紹介していく様がなんとも微笑ましく、「革命」ではハンドクラップでさらなる盛り上がりを見せライブは終盤へ。

魂を震わせた十明の歌声に鳴り止まぬ拍手 渋谷クアトロで魅せた圧倒的な存在感と純粋無垢な素顔をレポート!


「みなさんのこと覚えてます。一人ひとりのことを覚えています。今日はありがとうございました」と挨拶したあとに披露された本編ラストナンバー「GRAY」。今回はこの曲への期待値が大きかったかと思うが、息を呑むような静寂のなかで流れるイントロが一瞬で空気を一変させる。儚くも力強い歌声が一気にその世界観に引き込んでいき、ドラマの世界線と同じ緊張感を持ちながらも、あたたかく包み込む歌声が様々な感情を昇華させていく最高のエンディングだった。終わったあとの余韻が強烈でその場に立ち尽くしてしまった。


魂を震わせた十明の歌声に鳴り止まぬ拍手 渋谷クアトロで魅せた圧倒的な存在感と純粋無垢な素顔をレポート!


アンコールでは来春から弾き語りツアー『十明のすもーるわーるどつあー2026』を開催することを発表。今回のテーマにもなった素の十明をもっと知ってもらうために全国を巡るツアーになるという。「こんなふうに自分を見せたいと思えたのはみなさんのおかげです。本当にありがとうございました」と感謝の気持ちを伝え、アコギでの弾き語りから始まったアンコール「魚服記」。静かに無垢に、清らかなのに少し枯れた歌声が少ない音数のなかで力強く響き渡る。そして今日のラストナンバー「夜明けのあなたへ」へと繋がり、『十明 QUATTRO TOUR 2025』は幕を閉じた。期待値を大きく上回り完成度の高い大成功のライブを見せてくれた十明。MCでは不安そうなのに歌い始めると憑依するこのギャップ、ぜひ次のライブでも彼女が描き出す世界観を体感してほしい。


<公演概要>
『十明 QUATTRO TOUR 2025』
11月30日 東京・渋谷CLUB QUATTRO

【Setlist】 01.Discord-disco 02.蜘蛛の糸 03.君のヒーロー
04.Dancing on the Mirror 05.蛹
06.灰かぶり 07.ねばーえばーらんど
08.僕だけが愛 09.月並
10. NEW ERA 11.メイデン
12.クズ男撃退サークル
13.ねぇねぇ先輩
14.革命
15.GRAY EN1.魚服記 EN2.夜明けのあなたへ
<ライブ情報> 『十明のすもーるわーるどつあー2026』
3月14日(土) 東京・三軒茶屋GrapeFruitMoon 3月20日(金) 兵庫・KOBE QUILT 3月21日(土) 広島・LIVE café Jive 3月28日(土) 新潟・ジョイアミーア
3月29日(日) 石川・金沢もっきりや 4月4日(土) 福岡・fragile (旧: 大名スクエアガーデン) 4月5日(日) 熊本・熊本NAVARO 4月11日(土) 愛知・名古屋Live & Lounge Vio 4月12日(日) 岡山・城下公会堂 4月19日(日) 北海道・札幌くう 4月25日(土) 大阪・iiie 4月26日(日) 香川・SUMUS cafe 4月29日(水) 宮城・仙台retro Back Page 5月9日(土) 静岡・LIFE TIME 5月19日(火) 東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASURE 【チケット料金】 全席自由 :4,200円 (ドリンク代別・整理番号付) 全席指定 :4,700円 (ドリンク代別) ※SHIBUYA PLEASURE PLEASUREのみ
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