2022年7月29日 12:00
「発明したものを、実用化したい」上田誠が語る『あんなに優しかったゴーレム』再演
だけど先日ちょっとだけ稽古をしてみたら、改めてプリミティブなコメディだと思いました。舞台があって、そこでヨーロッパ企画の人たちが、ひとつの出来事についてあれこれ喋ったり、ぶつかりあったり、つかみあったりしている。それをはたから見ると、とても滑稽に見える。そういうコメディの原形質のような作品だなって。だから今回は「シンプルにつくっていく」というものになりそうです。でも「シンプルにつくるんです」っていうのは………大丈夫ですかね?
――え、なんでですか(笑)。
僕はずっと盛ってきた人間なので。いま緊張してるんですよ。
『九十九龍城』とか『ギョエー! 旧校舎の77不思議』(‘19年)とかは、盛ることによって孔雀のように大きく見せてきたし……。
――(笑)
「シンプルにいくんですよ」と言うのが非常に怖いんですけど。でもやっぱりそこに面白さが濃縮している作品なので、今回はそれを徹底的にやるっていうところですね。
――シンプルと言うのが怖い理由に興味があります。
これは自分で気を付けていることなのですが、僕は放っておくと、すごくシンプルなというか、コンセプチュアルなものをつくりがちなんです。