2023年8月8日 19:00
伊藤英明「舞台はずっと怖いと思ってきた」 アーサー・ミラー作『橋からの眺め』で13年ぶりに舞台に立つ
を作っていかなければならない
──では今回は、その怖さを克服しようと思われたと。何かきっかけがあったんですか。
いろんなことが重なっています。40代になって結婚して子どもが生まれて、自分の人生にも変化がありましたし。なかでも大きかったのは、ずっとお世話になった前の事務所の社長が亡くなったことでした。伊藤英明を作ってくれたのはその社長で、社長が僕の絶対的な自信になっていましたから、その方が亡くなってどうしたらいいかわからなくなったんです。だったら今度は、自分自身で「伊藤英明」を作っていかなければならない。そう考えるようになった時期にいろんな人と出会って、役者として自分は何をすべきかということに気づいていったんですね。
例えば、映画『レジェンド&バタフライ』(23年)でご一緒した木村拓哉さんからは、木村さんがいろんな人を笑顔にして、いろんな人の人生にタッチするのを見ていて、もしかしたら俳優ってそのためにいるのかもしれないと思わされました。僕もそういう仕事に就いているんだから、照れたり恥ずかしがったりしている場合じゃない。改めて考えると、それまでは自分のためにだけ頑張ってきた部分が多かった気がするけれども、僕も人の気持ちを揺さぶる演技をして、その人の人生に力を与えられるような俳優になりたい、そう思うようになったんです。