BUMP OF CHICKENが2年8カ月ぶりに有観客ライブ開催、結成25周年を3万人と祝福
Photo:立脇卓
BUMP OF CHICKENが、有観客ライブ『BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11』の振替公演を開催。そのうち初日公演のオフィシャルレポートが到着した。
彼らにとって有観客ライブは、2019年に行われたライブツアー『BUMP OF CHICKEN TOUR 2019 aurora ark』以来、実に2年8カ月ぶり。本来ならば、2月10日と11日という結成26周年記念日前夜と記念日当日に行われるはずだった2デイズのライブだが、新型コロナウイルスの感染拡大状況を踏まえ、一旦延期。状況が落ち着いてきた7月2日と3日にメンバーの地元である千葉県の幕張メッセで開催された。
藤原基央(Vo)、増川弘明(G)、直井由文(B)、升秀夫(Ds)の4人が登場すると、興奮に満ち溢れた大きな拍手が巻き起こる。粒子がきらめくような神秘的なイントロが聴こえ、オーディエンスが腕につけたPIXMOBが光り、1万5千人の拳が一斉に上がる。1曲目は「アカシア」だ。
藤原の声はとても伸びやか。バンドの演奏はとてもタイトで呼吸が合っていて、この日にみっちりと照準を合わせてきたことがわかる。藤原が間奏で「やっと会えた」と口にする。さらに場内の空気が熱を帯びる。
藤原基央(Vo)
続いて、陰影の深いアンサンブルが貫くハードなロックナンバー「Hello,world!」のアンサンブルに突入。藤原は歌詞の一部を《ハロー どうも 君はここ》に変えて歌い、たくさんの聴き手と再会できたことへの喜びをさらに溢れさせる。
その後3月にApple Musicが提供する空間オーディオ対応で再レコーディングしたことも記憶に新しい代表曲「天体観測」を披露。増川が嬉しそうに歌詞を口ずさみ、藤原が歌う隣でチャマ(直井)が誇らしげに右手を掲げ、オーディエンスとの一体感をさらに高める。
20年以上もの間、何度となく繰り広げられてきた光景だが、2022年7月2日という日に老若男女幅広い層で埋まった幕張メッセで熱狂を持って迎え入れられている様を見ると、「天体観測」という楽曲、引いてはBUMP OF CHICKENの楽曲の普遍性の高さに改めて驚嘆してしまう。
直井由文(B)
藤原が口を開く。「世の中がこういう状況になっちゃう前に、我々のライブで君たちが歌ってくれていた部分があるよね。そこはそのままにしておきたいと思います」。ライブができない時期を経て、こうやってライブができる状況は戻ってきたが、BUMPのライブでも欠かせないコミュニケーションのひとつである大きな声を出してのコール&レスポンスはまだできない状況だ。オーディエンスの悶々とした気持ちを藤原の言葉がすっと安心感に変える。
「なないろ」「宇宙飛行士への手紙」「arrows」「Small world」「銀河鉄道」──。時期もサウンドアプローチもバラバラの楽曲を演奏し、26年間で培った頼もしい振れ幅を見せつけていく。
ファーストアルバム『FLAME VEIN』に収録されている最初期の楽曲「リトルブレイバー」も演奏された。シングル曲、アルバム曲、カップリング曲関係なく、様々な時期の様々なアプローチの楽曲で構成されたセットリストからは、「この大切な日に届けたい曲は何か?」という非常にピュアな思いを感じた。
楽曲はいつか君たちの耳に届くんだっていう未来を、君たちが25年かけて僕に教えてくれました
アンコールではまず、最新曲「クロノスタシス」を披露。シンセとギターを軸にした隙間の多いやわらかいタッチのエレクトリックサウンドで、またひとつBUMPサウンドが更新された楽曲だ。藤原が『クロノスタシス』や『Small world』より前に書いた世の中に出していない曲をやります」と言って、未発表曲「木漏れ日と一緒に」を演奏するという嬉しいサプライズもあった。
そして、藤原が17歳の時に書いた「BUMP OF CHICKENのテーマ」で締め括られるというスペシャルな流れ。《へなちょこバンドのライブにいこう》というフレーズから始まり、《あぁ 僕らは君をベッドから引きずり出して 手を繋ぐため 魔法をかけた へなちょこの4人組》というフレーズで終わるバンドのテーマソングだ。
増川弘明(G)
この曲が生まれてから26年が経ち、“君”の数は格段と増えたが、その“魔法”の効力は少しも衰えないまま、輝きを増し続けている。
ステージ上の4人と満員のオーディエンスが一緒くたになって音楽を楽しむ様は、音楽によって生まれた“繋がり”を確かに証明していた。
升秀夫(Ds)
「ありがとう!」と叫びながら手を振って増川、チャマ、升がステージを去った後、ひとり残った藤原は、ステージに誇らしげに掲示されたBUMP OF CHICKENのエンブレムに目線を送りつつ、「絶対みんなに、この看板に、こいつの誕生日に出席してもらいたかったんだ」と、26年間守り続けてきた大切な看板への想いと感謝の気持ちを口にした。「僕はひとりでスタジオで曲を書いてるわけですけど、その曲はいつか君たちの耳に届くんだっていう未来を、君たちが25年かけて僕に教えてくれました。それは25年やってきた中での大切な宝物みたいな経験値です。本当にどうもありがとう。これからもよろしくお願いします」。熱のこもった長い長い拍手が送られ、ライブは幕を閉じた。
また、2日間のライブ終演後の7月3日夜、ショートムービープラットフォーム「TikTok」で公式アカウントが開設された。
公式アカウントでの記念すべき1投稿目は、幕張メッセで開催された本公演の映像となっており、当日のライブの模様を垣間見ることができる。
併せて、BUMP OF CHICKENがこれまでリリースした全楽曲が7月3日より解禁(※既配信楽曲含む)となった。これにより、バンドの代表曲である「天体観測」をはじめとした数々のヒットシングルを含む、BUMP OF CHICKENがこれまでリリースしてきた全楽曲を使い、動画が投稿できるようになった。TikTokアプリ内の楽曲ページでは、今回のライブ開催・公式アカウント開設・楽曲解禁を記念し、BUMP OF CHICKENの楽曲のみを厳選した「BUMP OF CHICKENプレイリスト」が展開されている。
さらに、Hulu独占で本公演の後日配信が8月14日18時より行われることが決定した。
Photo:横山マサト / 立脇卓
<公演情報>
『BUMP OF CHICKEN LIVE 2022 Silver Jubilee at Makuhari Messe 02/10-11』振替公演
7月2日(土)・3日(日) 千葉・幕張メッセ