2023年6月16日 18:00
いよいよ完成が迫る「未完の大聖堂」を通してガウディの建築思想を読み解く 『ガウディとサグラダ・ファミリア展』開幕
彼の代名詞とも言える、破砕タイル手法や、独特の装飾技法は土地の歴史をたどり、作り出したものだ。
アントニ・ガウディ/制作:ジャウマ・プジョールの息子《グエル公園、破砕タイル被覆ピース》1904年頃ガウディ記念講座、ETSAB(バルセロナ・デザイン美術館寄託)
またガウディは「自然」を観察し、有機的な形の源泉としていく。彼のデザインした椅子などもまた、自然由来の曲線をモチーフにしたものだ。
アントニ・ガウディ《カサ・ビセンス、鉄柵の棕櫚の模型》1886年頃サグラダ・ファミリア聖堂蔵
3点ともアントニ・ガウディ 左《カサ・バッリョ、椅子》(複製)1984〜85年中《カサ・バッリョ、ベンチ》(複製)1984〜85年右《カサ・バッリョ、スツール》(複製)1984〜85年いずれも西武文理大学蔵
そして、彼の建築において欠かすことができない「幾何学」。ガウディが多用する曲線は、独自の理論に基づいた形だ。ガウディは糸と重りを使った「逆さ吊り実験」で、建物の合理的な形を探し出し、上下反転させた建物を創り上げた。実現には至らなかったが、1908年に設計を依頼されたとされる、ニューヨークに建設される予定だった巨大ホテルも、逆さ吊り実験で導き出されたフォルムであったという。