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カンヌ国際映画祭コンペ上映で大絶賛! 是枝裕和監督の『箱の中の羊』──綾瀬はるか、大悟がヒューマノイドの息子を迎える夫婦の機微を熱演【おとなの映画ガイド】

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カンヌ国際映画祭コンペ上映で大絶賛! 是枝裕和監督の『箱の中の羊』──綾瀬はるか、大悟がヒューマノイドの息子を迎える夫婦の機微を熱演【おとなの映画ガイド】

(C)2026 フジテレビジョン・ギャガ・東宝・AOI Pro.



第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で上映され、世界中から熱い視線を浴びている是枝裕和監督の最新作『箱の中の羊』が、いよいよ5月29日(金)に全国公開される。カンヌで最高賞パルムドールを獲得した『万引き家族』から8年、監督自身のオリジナル脚本による久々の日本映画だ。主演の綾瀬はるかと千鳥の大悟が夫婦役を演じるという意外な組み合わせ。ヒューマノイドを巡るストーリーだが、監督の永遠のテーマといえる家族の物語である。

『箱の中の羊』




時代は、遠くない未来。というか、あっという間にやって来そうな未来。ひとり息子の翔(かける)を2年前に亡くした建築家の音々(おとね)と工務店を営む健介の夫婦のもとに、息子の姿をした最新型ヒューマノイドがやってくる。ある機関がテスト的に実施している無償のサービスだ。


受け入れは音々の方が積極的で、それに押される形で健介は承知した。到着したヒューマノイドに、音々は躊躇なく「おかえり」と声をかけるが、健介は取扱説明書を読み、充電装置を手にすると、つい「ルンバやん」と呟いてしまう。そんな温度差のあるふたり。

カンヌ国際映画祭コンペ上映で大絶賛! 是枝裕和監督の『箱の中の羊』──綾瀬はるか、大悟がヒューマノイドの息子を迎える夫婦の機微を熱演【おとなの映画ガイド】


オリジナル脚本を書いた是枝監督の着想のきっかけは、死者をAIとして蘇らすビジネスが中国で人気だという記事や、亡くなった歌手をCGで生成して新曲を歌わせるといったテレビの企画について、違和感を感じたことだったという。

カンヌ国際映画祭コンペ上映で大絶賛! 是枝裕和監督の『箱の中の羊』──綾瀬はるか、大悟がヒューマノイドの息子を迎える夫婦の機微を熱演【おとなの映画ガイド】


そこから調べはじめ、ストーリーを作った。「今までの作品でも大切な人の死からどう立ち直るかというグリーフワークをくり返し描いてきましたが、今回は亡くなった子どもがヒューマノイドとして現実的に夫婦のもとに戻ってきます。すると、過去の思い出に加えて、ヒューマノイドと一緒に未来を作ることができる、その辺が面白いなと思いました」。

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生きていたときと同じ姿で再び自分たちの前に現れた息子。
プログラミングされた記憶ではあるが、これまでずっと一緒にいたかのように感じることもある。実は機械なんだ、と思わされるときもある。夫婦それぞれに受け入れ方がちがう。最初は「おれはお前のお父さんじゃない。おじさんでいい」といっていた健介の態度に微妙な変化が現れる。そして、ヒューマノイドの翔にも……。

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内省する妻、直感的で行動的な夫、その対比が妙味。音々を演じる綾瀬はるかは、是枝監督とは『海街diary』以来のタッグ。
対する夫役の大悟は、役者経験はあるものの、大抜擢だ。「“人間味”ですね。最近の若い男の子が失っているような、ちょっと人間臭い感じがいい」というのがキャスティングのポイントとか。

子役は、200名以上のオーディションから選ばれた桒木里夢(くわきりむ)が翔を演じるほか、是枝作品『怪物』にも出演していた柊木陽太、『ふつうの子ども』で朴訥とした主人公の少年を演じた嶋田鉄太など。さらに、清野菜名、寛一郎、余貴美子、田中泯ら、実力派たちが脇を固めている。

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すみずみまで心配りがされていることに驚く。家族の物語の脇で展開する様々なエピソードや、モノ、セリフ……。例えば、建築家である音々が手がける個人宅の施主夫婦(角田晃広・野呂佳代)とのやりとり。
自宅を仕事場にしている音々が作る建築模型。翔の好きだった江ノ電とか……。重要なモチーフとして使われる樹も、何かの暗喩のようだ。

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劇中、ヒューマノイドの皮膚の下を見せるシーンがあって、『鉄腕アトム』を思い出す人もいると思う。飛雄という息子を亡くした天才科学者・天馬博士が作ったスーパーロボット。10万馬力の活躍につい目が行ってしまったが、アトムは孤独で、悩める存在だった。この作品の翔クンもまた、複雑な一面をみせてくれる。

カンヌ国際映画祭コンペ上映で大絶賛! 是枝裕和監督の『箱の中の羊』──綾瀬はるか、大悟がヒューマノイドの息子を迎える夫婦の機微を熱演【おとなの映画ガイド】


現代の寓話とでもいえる内容だが、なかでもタイトルが最大のメタファーだ。
サン=テグジュペリの『星の王子さま』からとられている。「目に見えない繋がりや目に見えないものの大切さを描きたい」そんな監督の思いを表している。観終わって、いろいろ想像力をかきたてられる、ジャンルの枠を超えた映画です。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

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【ぴあ水先案内から】

笠井信輔さん(フリーアナウンサー)
「……「ザッツ是枝ワールド」であり、集大成的傑作……」

笠井信輔さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/article/pilotage/473933/index.html)

渡辺祥子さん(映画評論家)
「……もしもこの子がかわいくなかったらどうなっただろう、なんてことを考えた……」

渡辺祥子さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/article/pilotage/474126/index.html)

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