昨年の結成20周年ツアーでは、代表作『サマータイムマシン・ブルース』とその続編となる新作『サマータイムマシン・ワンスモア』を交互に上演し、11都市で2万4千人以上を動員するというお祭りモードな1年をおくったヨーロッパ企画。現在ツアー中の新作『ギョエー!旧校舎の77不思議』は、“オカルト青春コメディ”と銘打ち、タイトルにある通り“旧校舎の77不思議”が展開される。
「僕はそもそも理系でして、怪異や怪現象へは懐疑的ですし、そういうことが身に降りかかったことや、ましてや霊的なものに憑りつかれたことなど一度とてありません」と言う作・演出の上田誠だが、確かに彼らのこれまでの作品は、トリッキーだったりSFチックだったりするポップなコメディで、オカルトという素材自体が意外。さらに近年は、物語性よりも何らかの目新しさに重点を置いた“企画性コメディ”で、特殊な劇構造や大がかりな仕掛けの舞台を展開してきたが、ここに来て初めての恐怖もの。
77つの“ギョエー!”なネタと青春コメディを、彼らが得意とするアンサンブルでどう劇空間に織り込んでいくのか。21年目にしてヨーロッパ企画が踏み込む新境地に、怖いもの見たさ的な好奇心でいっぱいだ。