歴史に包まれたギター店のドキュメンタリー 『カーマイン・ストリート・ギター』に流れる贅沢な時間
(C)MMXVIII Sphinx Productions.
ニューヨークのマンハッタン、グリニッジ・ヴィレッジにあるカーマイン通りのギター専門店。そこでは昔気質のギター職人リック・ケリーと、リックの母親ドロシー、そしてパンキッシュな見た目の弟子シンディが働いている。本作『カーマイン・ストリート・ギター』は、まるで時間から切り離されたようなギター店の一週間を追ったドキュメンタリーだ。
そんな古い店を象徴するように、リックは携帯電話もパソコンも持たず、昔ながらの方法でギターを製作し続ける。その材料は、ニューヨークの建物が壊されるときに出る、ヴィンテージな建材。ニューヨークの街の歴史が、ギターの中に生き続けているのだ。
このギター店、ルー・リードやボブ・ディラン、パティ・スミスなど、超大御所ミュージシャンも愛用しているという。本作では、一週間という短い取材期間にもかかわらず、ビル・フリゼール、マーク・リーボウ、チャーリー・セクストン、パティ・スミス・バンドのレニー・ケイなど有名どころが来店。
店でギターを選んだり、リックと世間話や昔話に興じ、ギターの試し弾きをする。
世間の喧噪や慌ただしさから解放された店内の空間は、ニューヨークの歴史が薫ってくるギターや、その音色に囲まれて贅沢でゆったりとした時間がただよっている。