音楽からもそのあたりのたくましさが感じられます。
●今回の『第九』公演実施に当たり、ソーシャルディスタンス等での工夫や苦労は。
もちろん、ステージ上の距離や客席との距離もガイドラインに則っています。こればかりは自分たちで判断できないので辛い部分もありますが、今回の会場(東京オペラシティコンサートホール)は幸いにしてステージが大きいので対応もしやすいですね。さらには我々BCJの小規模な編成についてはそれほど大きな問題ではありません。とても『第九』を演奏するオーケストラとは思えない規模です。合唱団も30人ぐらいしかいませんので、普通のシンフォニーオーケストラでは考えられない小ささだと思います。ということは大音量は出ません。
古楽器の響きなので巨大な響きを期待されて来られてもちょっと困ります。ただし、編成が小さいからと言って音が小さいわけではありません。特に音圧は編成の大きさには関係ありません。普段の『第九』とは少し違う価値を聞き取ってもらえればと思います。
コロナの時代だからこそ、『第九』を聴いて元気をだしてほしいという気持ちももちろんあるという。しかし、本質的には、ベートーヴェンが個人に語りかけてくる音楽の強さや力を感じ取ってもらえることが嬉しいと語られた。