市川海老蔵が特別公演で襲名前最後の『勧進帳』を披露
や、弁慶が豪快に花道を駆け抜ける「飛び六方」など、みどころ満載で最初から最後まで飽きることがない。能の『安宅』を基につくられているため、舞台は能楽堂を模し、背景は鏡板さながら松の大樹。「松羽目物(まつばめもの)」と呼ばれる様式美にも注目だ。囃子方がひな壇に揃って演奏する音楽も格調高く、心地よい。弁慶を演じる海老蔵は、これが海老蔵として最後の『勧進帳』となる。富樫は市川右團次。義経は中村児太郎が初役で勤める。
その児太郎が天女の役の『羽衣』も能の同名作を舞踊化した作品で、駿河の国(今の静岡県)三保の松原に残る羽衣伝説が題材だ。
浜辺の松に掛けられた美しい羽衣を見つけた猟師がこれを家宝に持ち帰ろうとすると、持主である天女が姿を現し返してほしいと願う。返してもらった羽衣を身にまとって優雅に舞う天女の幻想的な美しさ、能につながる幽玄な世界を、成長目覚ましい若手女方の児太郎がどこまで表現できるか楽しみだ。
巡業先は、1月31日(金)から2月2日(日)まで名古屋・御園座、2月8日(土)・9日(日)に石川県こまつ芸術劇場 うらら 大ホール、2月10日(月)に石川・金沢歌劇座、2月14日(金)から23日(日・祝)