【ライブレポート】the dadadadys、対バンツアーファイナルでキュウソと競演「今日のライブ、よく目に焼きつけておけよ!」
Photo:小杉歩
tetoからthe dadadadysに改名したのが2022年1月。改名後は全国9カ所に及ぶ初のワンマンツアー「the dadadadys TOUR 2022」を開催。それを終えると、今回は6公演にわたる対バンツアー「the dadadadys TOUR 2022」を9月に決行。そのファイナル公演は川崎CLUB CITTA’で行われ、今日の対バンはキュウソネコカミである。
「MEGA SHAKE IT!」で始まると、中盤のキラキラしたシンセパートでは観客を巻き込んでダンスに興じる。「ツアーファイナルですよ。最初から盛り上がらなくてどうするんだー!」とヨコタ シンノスケ(Key/Vo)が煽り、「ビビった」で観客をジャンプさせ、序盤からアッパーな曲調で焚きつけまくる。
キュウソネコカミ
ヤマサキ セイヤ(Vo/Gt)
「極上のキュウソをぶつけます! the dadadadys大好きで、ライブも楽しみにしてますよ!」とヤマサキ セイヤ(Vo/Gt)はエールを送ると、「住環境」、「サギグラファー」と矢継ぎ早に放つ。
後者ではフォトセッションタイムを挟み、観客にスマホで写真を撮らせたりと、自由奔放なキュウソ・ワールドを展開した。
ヨコタ シンノスケ(Key/Vo)
ソゴウ タイスケ(Ds)
「小池、リハから全開で痛快。あいつ好きやな。あいつらの音楽が続いて嬉しい」とthe dadadadysへの思いを告げるヤマサキ。後半は「The band」をプレイし、「自分がかっこいいと思うところに居続けようじゃないか!」と曲中に訴え、ラストは「お願いシェンロン」で盛大に締め括った。
the dadadadys
そして、yucco(Ds)の激しいドラミングを合図に小池貞利(Vo/Gt)、山岡錬(Gt)、佐藤健一郎(Ba)、サポートのヨウヘイギマ(Gt)のメンバー5人が現れ、the dadadadysは「超々超絶絶頂絶好最高潮」でショウを開始。ささくれ立ったバンド・アンサンブルにキャッチーなコーラスが被さり、小池は身振り手振りの激しいアクションと共に熱唱する。
小池貞利(Vo/Gt)
「We are the dadadadys! もしもし聞こえてますか? 川崎」と観客に呼びかけると、「もしもし?もしもさぁ」を披露。
演奏はますます加速し、ワイルドな疾走感で駆け抜けると、フロアからは無数の拳が突き上がる。カオスな勢いを突き詰める一方、随所で美しいメロディが顔を出し、そのコントラストに引き込まれていった。
山岡錬(Gt)
「キュウソネコカミ、出てくれてありがとう! セイヤさんは少年っぽくて、それでも俺と話すときは兄貴で、そして今日はパワフルなライブをしてくださって・・・」と感謝の言葉を述べる小池。それから「しぇけなべいべー」に入ると、川崎CLUB CITTA’に設置された巨大なミラーボールが回り、「体を揺らしていこうー!」と言った後は「青二才」をプレイ。ミドルテンポのドリーミーな曲調は、ライブの流れにいいアクセントをもたらす。また、yuccoのコーラスも華やかで、女性メンバーがいる強味が活きていた。
ヨウヘイギマ(Gt)
そして、小池のみステージ袖に消えると、メンバー4人によるスペシャルセッションに突入。それぞれのソロパートを織り込み、各自のプレイヤビリティの高さを存分に魅せつけた後、新曲「にんにんにんじゃ」を披露。
リズムを重視した曲調にキャッチーなサビが乗り、フロアの反応も上々である。一度聴いたら耳から離れない親密なナンバーだ。
佐藤健一郎(Ba)
その後は荒々しいパンキッシュさで迫る「PUXXY WOMAN」を挟み、再びここで小池を含むセッションタイムに入る。以前と比べて、ショウの魅せ方も一本調子に陥らない工夫を凝らし、観客をいい意味で裏切る構成も良かった。哀愁漂う「waiting for us.」を経て、teto時代の「9月になること」、「Pain Pain Pain」と畳み掛けると、場内の温度は一気に上昇。バンドもギアをグッと上げるようにエモーショナルな演奏を叩きつけていった。
yucco(Ds)
ここで再び新曲「k.a.i.k.a.n」を織り込み、捲し立てるヴォーカルを筆頭に緩急溢れるサウンドで魅了。曲名通り、内側から突き上げてくる衝動力は凄まじい限りである。
本編は残り3曲となり、「このツアーで一番伝えたい曲!」と言った後、「らぶりありてぃ」を投下。メランコリーなギターをイントロに、一語一句をしっかり伝える歌声に心を掻き毟られる思いだった。また、愛くるしいポップさも兼ね備え、楽曲の良さにグイグイ引き込まれてしまった。その流れで「恋」、「ROSSOMAN」と繋ぎ、ありったけの感情を放出するスパークぶりにただただ圧倒。
演奏を終えると、アンコールを求めるクラップは鳴り止まない。バンドが姿を見せると、teto時代の「トリーバーチの靴」、「拝啓」と性急なナンバーが続き、一枚岩と化したバンドアンサンブルに鳥肌が立つほどの興奮を覚えた。
本来であればこの2曲で終わりの予定だったものの、またしても観客はクラップで再々登場を待ち続ける。「嬉しいんだけど、ムチャさせないでね」と小池は少し毒づくと、最後に「手」を披露。
ここに集まった観客全員を明るく照らしつけるメロディが素晴らしく、「今日のライブ、よく目に焼きつけておけよ!」と曲中に叫ぶ小池の言葉には自信がみなぎっていた。
今年改名し、ツアーを積み重ね、これこそがthe dadadadysだ!というものが固まってきたのではないか。今日プレイした新曲も聴き応えのある楽曲ばかりであり、バンドのエンジンがフル回転していることを肌で感じるツアーファイナルであった。12月には東名阪に及ぶワンマンツアーを控えているthe dadadadys。脂が乗りまくっているバンドの姿を一人でも多くの人に観てもらいたい。ブッ飛ばされること間違いナシだ。
Text:荒金良介Photo:小杉歩
<公演情報>
the dadadadys TOUR 2022
9月30日(金) 川崎CLUB CITTA’