キーラン・カルキンが圧倒的な魅力を放つ『リアル・ペイン~心の旅~』
映画・音楽・舞台など各ジャンルのエンタメ通=水先案内人が、いまみるべき公演を紹介します。
【水先案内人 高松啓二のおススメ】
早口で内気なデヴィッドと、誰とでもコミュニケーションを取れるが、ちょっと心が痛んでいる従兄弟のベンジーは、亡くなったユダヤ人である祖母の母国ポーランド第二次大戦史跡ツアーに参加する。ワルシャワ・ゲットー記念碑やワルシャワ蜂起記念碑の史跡巡りは、最初こそ軽快な観光気分だが、ルブリンの強制収容所に近づくと雰囲気は一変し、ユダヤ人へのナチスの蛮行が迫ってくる感じになる。
ツアー参加者とデヴィッドとベンジーの絡みが軸となる。特にベンジー役のキーラン・カルキンは複雑なキャラクターを演じ、圧倒的な魅力を放っている。全編、ショパン(ポーランド出身)の静かな調べとユーモアが絶妙に融合し、不思議な後味を残す。
監督、主演(デヴィッド役)のジェシー・アイゼンバーグは、ユダヤ人とポーランドにこだわり、その作家性はユダヤ人とニューヨークにこだわったウディ・アレンを思わせる。ちなみにアイゼンバーグは過去にウディの『カフェ・ソサエティ』に主演したことがある。
ウディ・アレンの本名はアレン・スチュアート・コニグズバーグ。