ODD Foot Works、3年ぶりのアルバム『ODD FOOT WORKS 2』を提げたライブで魅せた圧倒的なグルーヴ!衝撃的かつ充実の一夜をレポート
Photo:Chiaki Machida
Text:高木”JET”晋一郎Photo:Chiaki Machida
ラッパーのPecori、ギターの有元キイチ、ベースの榎元駿で構成される3ピースバンドODD Foot Works。春には自身で「株式会社ODD Foot Works」を立ち上げ、9月10日には約3年ぶりとなる4枚目のアルバム『ODD FOOT WORKS 2』をリリース。セルフタイトルを冠した二度目のデビュー作とも言える作品は、彼らが根源的に持つマージナルでオルタナティブな感覚を、しっかりとビルドアップした音像として組み上げ、シーンにODDの存在感を改めて提示した。またメンバーごとの活動に目を移せば、PecoriはNumber_iの2nd フル・アルバム 『No.II』のほぼすべての楽曲のリリックを手掛け、有元は三浦透子のEP『condominium』 のプロデュース、榎元は所属するバンド1inamillionでのリリースやTempalayでのサポートなど、それぞれのフィールドでもその才能を明らかにしてきた。
その彼らが、東阪でのライブツアー『ODD inc. presents TOUR ” ODD FOOT WORKS 2 ”』を、12月17日に大阪Music Club JANUS、 23日に東京CLUB QUATTROで開催した。本稿では東京公演の模様をレポートする。
会場の明かりが落ちると、真っ暗なステージにPecori、有元、榎元、そしてサポートドラムの箱木駿が登場。ライブは有元の鮮烈なギターが印象的な「龍」からスタートした。
そしてレッド・ツェッペリン「移民の歌」を思わせるようなハードなブリッジから「Taida A La Mode」と、アルバム『ODD FOOT WORKS 2』収録曲を連続で披露。「東京よろしくお願いします。ODD Foot Worksです」というPecoriのコールに大きな歓声があがる。そのままキラーチューン「KAMISAMA」に展開し、フックでの合唱と、観客が高々と上げる手によって、会場の熱気はさらに高まっていった。
「みんな元気でしたか?2025年最後のライブなんですけど、どうすか?ODDの年末ライブは恒例と言えば恒例なんですけど、今年も来てくれてありがとうございます。
この一年はいろいろあったと思いますけど、今日来てくれたみんなに拍手。今日最高のパフォーマンスをする俺達ODDにも拍手。みんな盛り上がって帰れますか?」とPecoriが観客に呼びかけ、そのまま「Bebop Kagefumi」へ。Pecoriは「年の終わりにはODDをみんな見に来てんだろ!」というリリックを挟み込み、この日の特別さを表現した。「NEASE」では裏打ちのビート感を榎元と箱木のリズム隊が強調し、観客もそのバックビートに体を揺らしながら、落ちサビでは大きな合唱が起き、そこからはこの楽曲の楽しみ方が広がっていることを感じさせられた。
「NO NAME DANCE」「燃えろよ桜」に続き、2019年のクリスマス・イブにリリースされた「Angel」へ。この季節のライブでしか披露されない楽曲であり、ODDのディスコグラフィの中でも変わり種ともいえる、ダークメルヘンとも言えるようなサウンド感が会場に広がっていく。「スマホのライトを掲げてくれ」というPecoriの言葉に、観客がライトでステージを照らす「GIRAGIRA NEON」へ。
そしてアシッドベースが響くブリッジから「テレコになって」につながり、ダンサブルなグルーヴが途切れず連続していく。
公開となった「龍」のMV撮影についての余談的なパートが展開。「NO NAME DANCE」や「Johnny&Ayako」など、収録曲の多くがMV制作されているが、「もう一曲MV出すので楽しみにしてください」というアナウンスに拍手があがる。「踊れてますか、みんな。いいライブは早いよね。もう後半戦です。年末もODDも早い。一瞬で終わっちゃうので目に焼き付けて帰ってください」というMCから、箱木のドラムソロに続き「Johnny & Ayako」「Occult Freestyle」へと展開。
そして原曲にあるアグレッシブさがより強調されたパフォーマンスで表現された「WA WA WA」、有元のボーカルと榎元のベースのセッションから始まり、ミニマルな構成に様々な要素が絡み合っていくことでドラマティックに変化していく「この曲」へと展開。Pecoriのタイトなラップと有元のエモーショナルなボーカルとの対比が印象的な「iPhone3000」、複雑なリズム隊の掛け合いとそのリズムに楔を打つようなラップ、そしてメロディアスなボーカルというアンサンブルが、ライブバージョンでより渾然一体となった「台詞」、ODDのクラシックである「JELLY FISH」への展開は、圧倒的なグルーヴが生み出されており、この後半の音のうねりと会場の熱気は、ライブバンドとしてのODDの強度の高さをサウンドとパフォーマンスで証明した。
「ありがとうございました。ODD Foot Worksでした」という言葉を残しステージを降りるODDの三人と箱木。会場の明かりが灯っても観客席からの手拍子が鳴り止まなかったことからも、現在のODDがいかに充実した状態であるか、そしていかに観客がこの日のライブを楽しんだかを心底感じさせられた。ステージには榎元が再びあがり、「アンコールなくてすみません。来年末はLIQUIDROOMでやります。また来年会いましょう。
乾杯!」という挨拶で終了した。
『ODD FOOT WORKS 2』では作品性の進化はもちろん、鳴りや間といった「構築物」としての強さをアルバムに落とし込んでいたが、それをライブではよりタフでファットな形として再表現し、そのバリエーションの豊かさと現在進行系の成長をみせたODD Foot Works。彼らの来年以降の動きはどのようなものになるのか、心から楽しみにさせられた、バンドとしての進化と地力の強さを見せつけた、衝撃的かつ充実の一夜はこうして幕を閉じた。
<公演概要>
『ODD inc. presents TOUR ” ODD FOOT WORKS 2 ”』
12月23日 東京・渋谷CLUB QUATTRO