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驚異の興行記録を次々と打ち立てた、フランス映画の大注目作!『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』──【おとなの映画ガイド】

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驚異の興行記録を次々と打ち立てた、フランス映画の大注目作!『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』──【おとなの映画ガイド】

(C)2024 CINE NOMINE - M6 FILMS - AUVERGNE-RHONE-ALPES CINEMA - SAME PLAYER - KABO FILMS - ECHO STUDIO - BNP PARIBAS PICTURES - IMPACT FILM



昨年フランスで、公開初日の動員数が映画史上歴代2位、その後7週間No.1がつづき、1080万人を記録したという『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』が、いよいよ12月26日(金)に日本で公開される。宝石泥棒の親子が、知的障がいのある人たちのサマーキャンプに紛れ込んで引き起こす、すったもんだ。人気コメディアン・俳優のアルデュスが監督し、出演もした作品なのだが、その描き方は、ずばり「あけすけで、率直で、正直」。さまざまな事情を決して包み隠さず笑い飛ばしてしまう大らかさがある。それを観ているうちに涙腺崩壊の感動につながるのだから、本当に不思議な映画だ。

『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』




英語のタイトルがついているけれど、フランス語の原題もほぼ同じ。「サムシング・エクストラ」は日本語に直訳すると「何か特別なもの」。お金とか、高価な宝石とはちょっとちがうもの……というくらいの意味でしょうか。


驚異の興行記録を次々と打ち立てた、フランス映画の大注目作!『サムシング・エクストラ! やさしい泥棒のゆかいな逃避行』──【おとなの映画ガイド】


白昼堂々、仮面をかぶって宝石店を襲撃し、誰も傷つけることなく宝石を盗み取った親子の泥棒。着ていた服とマスクを脱ぎ捨て、別の服に着替え、何食わぬ顔で逃走。たまたま、道ででくわした、サマーキャンプに向かう知的障がい者のグループにまぎれこみ、警察の追跡をかわすことに。

グループは、障がい者施設の入所者10人と引率の支援員3人。たまたま、遅刻している新しいメンバーを集合場所で待っているところに、デカい荷物を背負ったふたりが慌てた様子で来たものだから、キャンプへ行く障がい者と介護者だと間違えたのだ。泥棒親子を連れた一行は、リゾート地の別荘で、予定通りバカンスを過ごすのだが……。
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泥棒の息子パウロを演じているのは、フランスで人気のコメディアン、アルテュス。この作品では監督と脚本も担当している。
実は、舞台で、知的障がいのある“大きなお調子者”シルヴァンというキャラクターを演じて、大成功を収めている。パウロは、遅刻した新メンバーのフリをすることになるのだが、その名前は“シルヴァン”。おそらくフランスではこの名だけで、どっとウケただろう。

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アルテュスと、父親役のクロヴィス・コルニアック、介護員役のアリス・ベライディ、マルク・リゾ、セリーヌ・グルサールらは俳優だが、メインの入所者たちはすべてオーディションで選ばれたシロウトばかり。ところが、彼らが、名演技を披露している。

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募集はインスタグラムで、特に条件は設けず、どんな障がいも排除せず、ただ“個性”がある人を探したという。その後、選ばれたキャストのキャラクターが最大限活きるように、あて書きでセリフを作っていった。

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例えば、物語の中でも比較的目立つアルノーは、フランスの国民的歌手・ダリダの大ファンで、腕に彼女のタトゥーをいれているほどなのだが、それがちょっとした小道具になっていたり。
奇抜なコスプレをするのが趣味のボリスは、自前の衣裳でさまざまな姿をみせてくれる。入所メンバーそれぞれの個性が強烈で、そのテンポに目が追い付かないほどだ。

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「障がいそのものがテーマではないんです。この映画はあくまでサマーキャンプの物語で、そこで生まれる日常の瞬間を描いています。ただ、その物語が、普段スクリーンで見かけることの少ない人たちによって紡がれ、演じられることで、何倍も力強くなるんです」と監督はいう。

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押しつけがましさもなく、人間の描き方は、あけすけで、率直で、正直。フランス人の大好きな夏のバカンスが舞台で、実はクリスマスムービー、という要素もある。でも、もっと、この映画には、人の心を温める“何か特別なもの”が確実に存在している。
それがフランス人の7人に1人が観たってほど大ヒットした理由なのだろう。

文=坂口英明(ぴあ編集部)

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【ぴあ水先案内から】

夏目深雪さん(著述・編集業)
「……センシティブな題材の映画は作りにくい現代でも、パワーでそれを突破してしまう、フランス映画の底力を感じさせる粋なコメディ」

夏目深雪さんの水先案内をもっと見る(https://lp.p.pia.jp/article/pilotage/444374/index.html)

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