60年代の高度経済成長期、“華麗なる一族”も翻弄された金融再編成のうねり
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WOWOW開局30周年を記念し製作された『連続ドラマW 華麗なる一族』が現在、放送&配信中だ。原作は国民的作家・山崎豊子の同名小説『華麗なる一族』(新潮文庫刊)。富と権力獲得の手段として、関西の政財界で閨閥(けいばつ)を張り巡らす阪神銀行の頭取・万俵大介(中井貴一)を中心に、一族の繁栄と崩壊を全12話でドラマチックに描きあげる。
舞台となるのは1960年代、大阪万博を間近に控えた日本の高度経済成長期。大介が、水面下で進む“金融再編成”の動きを察知したことから物語が動き出す。金融再編成とは、大蔵省(現在の財務省)が預金高上位の銀行に下位の銀行を吸収させ、大きい銀行を作ろうとする政策のこと。
大介が頭取を務める阪神銀行は業界ランキング10位。上位銀行に飲み込まれまいと、自行の生き残りに動き出すことを決意すると、預金残高を上げ、自らが大銀行を吸収合併しようと画策する。「小が大を食う合併もありうるということだ」という大介の言葉には、ピンチさえも利用する底知れぬ男の野望がにじみ出ている。
翻弄されるのは銀行員に留まらず、官僚や政治家、さらに長男・鉄平(向井理)が専務を務める阪神特殊製鋼の技術者たちといったさまざまな人々。