VXON、日本プロジェクト始動をサプライズ発表 フィリピン単独公演『Kalawakan: The Evolution』大熱狂
Text:近藤加奈子
メンバー自らが作詞・作曲・プロデュースを手がける、フィリピン発の5人組ボーイズグループ・VXON(ビジョン)。2022年にデビューして以来、R&Bやヒップホップを軸にエレクトロやポップなど多彩なジャンルを融合させたサウンドと卓越したボーカル、シンクロ率の高いダンスパフォーマンスを武器に、フィリピンの次世代ミュージックシーンを牽引する存在として注目を集めている。
そんなP-POP界シーンの注目株である彼らが、6月27日、フィリピン・New Frontier Theaterで今年2度目となる単独コンサート『Kalawakan: The Evolution』を開催。満員の中、当日は日本プロジェクトもサプライズ発表され、会場は割れんばかりの歓声に包まれた。“Monsters of P-POP”の異名を持つVXONが魅せた熱狂の一夜をレポートする。
今か今かと待ちわびる熱気の中、宇宙を舞台にした壮大なSF映画のような映像が流れ、VIXIES(ヴィクシーズ/VXONのファンネーム)の期待は最高潮に。暗転したステージから5人が登場すると会場は大歓声に包まれた。そして、重低音に力強いラップとボーカルが合わさった「Sikretong Malupet」でコンサートをキックオフ。
5人の熱量がダイレクトに伝わるパフォーマンスに開始直後から爆発的な盛り上がりだ。続けて、VXONの代表曲「SSP」では怒りや痛みといった感情をエネルギッシュに表現。恐れず前に進むことを歌ったデビュー曲の「The Beast」はダンスブレイクやフォーメーションチェンジも多く、楽曲の真価をステージで発揮。かっこよさの中にも不穏さと鋭さが漂う構成でファンを熱狂させ、VXONの世界観をしっかりと印象付けていた。
最初のMCでは、想像以上の盛り上がりに5人は喜びをあらわに。オープニングでは、3曲連続でフルパフォーマンス&ダンスブレイクを披露したことからFRANZは「すごかったね! しかも3曲連続だよ? なんだか『ピリピナス・ゴット・タレント(※オーディション番組)』に出場したみたいだよね」と大興奮。するとPATRICKは、「オーディションを受けていると思われたかもね(笑)」と冗談を飛ばし、会場は大きな笑いに包まれる。
New Frontier Theaterは、2022年開催『第7回 Wish Music Awards』で彼らが「The Beast」を初めてステージでパフォーマンスした会場。
C13は「僕たちにとってすごく思い出深い場所なんだ。当時はまだ観客がいなかったのを覚えているよ」と振り返りつつも、「それが今ではたくさんのVIXIESが集まってくれる景色を見れるなんて本当に身の引き締まる思いだし、心があたたまるよ。みんな本当にありがとう」と感謝の気持ちを伝えた。
再びライブステージに戻ると、VXONらしいダークでセクシーな雰囲気から一転。ポップなメロディと切ない歌詞が交錯した「KNT」では、メンバー同士の掛け合いや恋愛の駆け引きを表現したコミカルな表情で客席に笑顔を咲かせる。
メンバーのソロステージではそれぞれの個性が際立つ構成となった。VXONのリーダーのC13は、大勢のダンサーを引き連れ、Kendrick Lamarの「Humble」と「DNA」を披露。序盤では上半身裸で女性ダンサーと色っぽいペアダンスを披露すると客席から悲鳴が続出する事態に。
彼が得意とする派手なスタントを取り入れたパフォーマンスでVIXIESを沸かせ、圧倒的なカリスマ性を見せつけた。
リードラッパーのSAMは、米R&Bシンガー・Usherの「Confessions Part II」をカバー。安定した歌唱力と表情管理で同曲をエモーショナルに表現しつつ、終盤では上半身裸になり、女性ダンサーとの艶やかなパフォーマンスを披露する場面も。リードラッパーでありながらも高い歌唱力や演技力も発揮し、オールラウンダーとしての素質を存分に見せつけた。
メインボーカルのFRANZは、Cup of Joeの「Multo」、Up Dharma Downの「Tadhana」をマッシュアップで披露。力強い声と優しい声を使い分けながら楽曲が持つ繊細な世界観を見事に表現。彼の持ち味である伸びやかな高音を目と耳でじっくりと味わえる贅沢なステージだった。
ビジュアル兼リードボーカルのVINCEは、The Weekndの「The Hills」をカバー。
椅子に深く腰掛けて登場したVINCEは王子のような甘いマスクと優しい歌声でVIXIESの心を鷲掴みに。そして、椅子から立ち上がると180センチの長身で周囲を圧倒。ステージでさらに輝きを増す姿に目が離せない。
メインダンサーのPATRICKは、Michael Jacksonの「Thriller x Smooth Criminal x Dangerous」をダンスカバー。真っ赤なジャケット姿で棺桶から現れると、大量のゾンビダンサーズと群舞を披露。体を前方に倒しながらも倒れないゼログラビティやムーンウォークと、Michaelを象徴するパフォーマンスでVIXIESを歓喜の渦へと巻き込む。
再びVXONのステージにカムバック。フィリピン語で「すごく暑い(熱い)」を意味するサマーソング「Sh*t sobrang init」では、南国らしい開放感全開。
トロピカルなムード漂うグルーブサウンドで肩の力を抜きつつ、色っぽいパフォーマンスで高揚感を煽り、歌唱後も幸せな余韻が抜けなかった。
この日はサブスク未解禁の新曲「Malayo Pa, Malayo Na」も披露。日本語にすると「目的地まではまだ遠い(長い道のりがある)けれど、すでに随分と遠くまで歩んできた(大きく成長した)」という意味を持つフィリピンで人気のフレーズで、心を鼓舞するミディアムナンバーだ。メンバーは自分たちの状況と歌詞を重ねるように歌い、温かく感動的なムードで満たされていく。
ライブの終盤では、ロックとヒップホップが融合した「Tabi-tabi」をドロップ。真っ赤なテーブルでダイナミックなステージを展開し、彼らの持つ魅力を惜しみなく見せ続ける。ダークなサウンドに乗せた力強いラップとパフォーマンスはまさにVXONの真骨頂で、曲が進むにつれメンバーとVIXIESの熱量も上昇。会場はこの日一番の盛り上がりへ。
また会場のスクリーンでは「WHAT’S NEXT VXON」というテロップと共に日本の街が映されたティザー映像もサプライズ公開。「MABUHAY こんにちは SOON」と日本プロジェクトを控えていることを予告し、驚きの声が飛び交った。
エンディングの挨拶ではメンバーが感謝の思いを伝えた。
「(目が潤んでいることを指摘され)コンタクトレンズのせいで目が痛いだけだよ。レーシック手術を受けたばかりだからさ。あと、今回もコンサートが開催できて本当に感謝しています。1年に2回もコンサートができるアーティストはそんなにいないし、みんなの愛、努力、応援があったから実現できたんだ。僕たちは本当に恵まれている。
ありがとう」(FRANZ)
「いつかこのステージに立ちたいとずっと夢見ていたし、自分がこの場所に立つ姿を想像していたんだ。でも、ここに来るまでたくさんの苦難に直面した。どん底を味わった時もあったし、『もう無理なんじゃないか』と思ったこともあった。それでも神様とこの4人を信じた。そして、僕たちを信じてくれた人たちがいたから、思いが実現した。だからみんなも決して信じることをやめないで。自分を信じれば、その未来に辿り着けるはずだから」(C13)
「以前はVIXIESが20人しかいない状況だったんです。だから今日来てくれたVIXIESには心から『ありがとう』って言いたい。ここに来るまで諦めそうになった瞬間もたくさんあったけど、僕たちは夢を追いかけることを選んだ。そして今、こんなにたくさんの人がついてきてくれている。さらに多くの人が増えてくれることを願っています」(PATRICK)
「ただ伝えたいんだ。僕たちを信じ、サポートしてくれるすべての人に『ありがとう』って。その愛に感謝します」(VINCE)
「先が見えなかった僕たちをここまで信じ続けてくれたすべての人に感謝します。たくさんの困難が生じても、ここにいるVIXIESは僕たちを見捨てなかった。本当にありがとうございます」(SAM)
またMCのラストでは彼らの新たなファミリーとして「ぴあ」を紹介。今回の公演は、彼らの新たな可能性を示す一夜となり、日本活動への期待を大きく膨らませた。VXONは日本ではどんな景色を見せてくれるのか、ますます目が離せない!
<公演概要>
VXON 単独コンサート『Kalawakan: The Evolution』
6月27日 フィリピン・New Frontier Theater