横浜流星×吉岡里帆が語る“信じられる人の条件”「大切なのは相手の領域に土足で踏み込まないこと」
(撮影:堺優史)
人を信じるとは、どういうことだろうか。もしかしたら目の前にいる人は、嘘をついているかもしれない。何か意図を持って近づいてきているのかもしれない。あるいは殺人犯かもしれない。
自分が見ているものは、相手のほんの一面かもしれない。それでも、なぜ信じるなんて言えるのだろうか。
映画『正体』は、殺人罪で死刑判決を受けた青年・鏑木による343日間の逃亡劇だ。鏑木は行く先々で名前と顔を変えながら、息を潜めるようにして暮らしていた。
鏑木はなぜ脱走したのか。鏑木は本当に罪を犯したのか。過酷な逃亡劇の果てにあるのは、それでもこの世界を信じたいという一筋の希望の光だ。
主人公・鏑木を演じるのは、横浜流星。鏑木が潜伏先で出会うキーパーソンの一人・沙耶香に扮するのは吉岡里帆。映画づくりを通じて深い信頼で結ばれた二人に聞いた「あなたはこの世界を信じたいですか」の答えとは――。
役として生きるだけでは見えないものがある
――横浜さんは、近年枷を負った役どころに果敢に取り組み続けています。こうした役を演じていると、やはり役に侵食されるようなところはありますか。
横浜もともと自分は器用な人間じゃないので、私生活でも作品だったり役について極力考えていたいタイプではありました。