五輪に選ばれなかった競技を描く、ゴジゲンの新作『ポポリンピック』
ゴジゲン第16回公演『ポポリンピック』が、福岡、東京、札幌、京都の4都市ツアーを行っている。
何とも不思議な語感の『ポポリンピック』。そのタイトルから連想される通り、今作はオリンピック/パラリンピックが主題に組み込まれている。これまでどうしようもない男たちのどうにもならない日常を描いてきたゴジゲンからすると、オリンピックなんて世界一の祭典は最も対極の位置にあるようだけれど、そこをきちんと自分たちの視点で切り取り、自分たちの体温にちょうどフィットする温度で育んでいるところが、いかにもゴジゲンらしい。
彼らが着目したのは、東京オリンピックの追加種目にエントリーされながら、最終的に候補から漏れた競技の選手たち。その中でも誰もが一度は親しんだことのあるボウリングにフィーチャーし、オリンピックの舞台に立つことを夢見ながら、やがて迷走し、暴走していく天才ボウリングプレイヤーの姿を、松居大悟らしいコミカルなタッチで描いていく。
そう考えると、題材こそ変化球だが、根底に流れているものは今までと何も変わらない。ゴジゲンはこれまで一貫して日の当たらない場所で生きている人々の不器用な生き様を、松居の優しく温かな眼差しですくいとってきた。