【ライブレポート】今年注目のオルタナバンドCVLTE 熱狂の初ワンマンライブで2022年本格始動!本公演でHAL(Dr)が正式加入!
(Photo:Yuto Fukada)
札幌発のオルタナバンド、CVLTE(カルト)は海外のポスト・ハードコア、ヒップホップ、トラップ・ミュージック、R&Bなど多彩なジャンルに影響を受けた音楽性により、新世代のロックを掲げた前途洋々たるニューフェイスである。先日発表された、Spotifyが2022年に躍進を期待するネクストブレイクアーティスト「RADAR: Early Noise 2022」にも選出されるなど注目を集めはじめている。
そんな彼らが『CVLTE pre.“RITUAL vol.1”』と題した初のワンマン公演をSHIBUYA WWWで開催した。チケットはソールド・アウト。なお本公演は全編撮影OK / 投稿OKとなっており、左手はスマホで録画、右手は音楽に合わせてノリまくるデジタルネイティブな若い客層が目に付いた。海外のライブでは一般的な光景だが、ここ日本ではまだ珍しいケースだろう。衣服を着るように、グローバルな感覚を当たり前のように身につけたCVLTEはパフォーマンス面でも“SNS映え”する演出を施していた。
SEが流れると、ステージ背面のスクリーンに炎が浮かび上がり、まずはHAL(Dr)が激しいドラミングを披露。
そこにaviel kaei(Vo)、Takuya(G)、Fuji(B)が姿を見せ、「bloodbath.」で本編は始まった。ショウ・アップされた幕開けに驚きながら、曲が始まればバンドが放つダーク・ファンタジーな世界にグイグイ引き込まれていく。
次の「robbers.」に入ると、オートチューンをかけたボーカルは抑揚豊かなメロディを突きつけ、首を縦に振る観客をあちこちで見かけた。また、スクリーンには幾何学模様のカラフルな映像が流れ、聴覚と視覚の両方に訴える空間作りも実に凝っている。ビジュアルと連動した演奏も彼らの音楽を語る上で不可分の要素なのだ。
aviel kaei(Vo)
HAL(Dr)
そして、鮮烈なインパクトを与えたMVを流す中で「heartbreak.」をプレイ。サビ・パートで観客を上下に手を振り、楽曲に感情移入していた。R&B調の大人びた歌メロで聴かせる「paradise.」を経て、次は「lullaby.」へ。
ムーディーな曲調から一気にロック・モードにシフトすると、フロアでジャンプする人たちも増えていった。
会場をしっかり温めた後は、昨年12月13日に配信リリースした5曲入り最新EP『HEDONIST』収録曲を披露する。浮遊感に富む歌メロがクセになる「amen.」を皮切りに、「eat acid,see god.」では福岡発の次世代ラウド系バンド、PaleduskのKaito(Vo)がゲスト参加。ヘビーかつキャッチーな曲調で焚きつけると、その流れでKaitoをフィーチャーした「ritual.」、「save you.」と繋げ、漆黒のカーニバルで会場を沸騰させていた。
Kaito(Paledusk)
同期でアコギを入れた「falling apart.」、エレクトロコアの圧倒的な高揚感を叩きつける「happy.」を挟み、再び最新EPの残り3曲を立て続けにプレイ。胸をすく爽快なメロディが心地いい「hedonist.」はライブでも抜群に映え、踊り出したくなるパーティ感を演出。メロウなダイナミズムに酔う「dancing in the rain.」を挟み、「kuromi.」では第二弾ゲストとして4s4kiが登場。aviel kaeiと仲睦まじく肩を組んで共に歌い上げる場面もあり、アッパーな熱気を解き放っていた。
4s4ki×aviel kaei
「すごく感動してる、自分たちの音楽がこんなに届くなんて。本当にありがとう!」とaviel kaeiは満杯のフロアに感謝の言葉を述べ、グランジ/オルタナ調の土臭いギターを合図に「hennessy state of mind.」が始まり、いよいよショウは佳境に突入。続いて哀切なメロディに彩られたバラード調の「memories.」、アクティブなロック・チューン「needed you.」、スタジアム / アリーナ級のスケール感を誇る「wasted times.」と、幅広い曲調で観客を揺らし続け、本編は終了。
Fuji(B)
「自分が作る曲に絶対の自信はあるけど、人に曲を愛してもらえるかはわからなくて怯えていたけど・・・この景色、耐えれん」とaviel kaeiは今日の盛り上がりに言葉を詰まらせていた。さらに「新しい家族を迎えていいですか?」と語ると、正式メンバーにHALを迎えることを発表し、場内には大きな拍手が鳴り響いていた。
そして、アンコール一発目にしてラストは新曲「run.」を投下。ラップとメロディを自在に行き来するCVLTEらしい曲調で、日本語で熱く訴えるパートも印象的であった。その上、曲が終わる頃にはメンバー全員がステージ袖に消えてしまい、スクリーンにバンドロゴが浮かび上がってライブの終止符を打つ。
まるで一遍の映画を観終えたようなエンディングにも胸を突かれる思いであった。
aviel kaei(Vo)
HAL(Dr)
約80分に及ぶ初のワンマンを通して、自分たちの世界観を余すところなく魅せつけたCVLTE。ビジュアル、サウンドに対する飽くなきこだわりと、豊かな曲調を巧みにコントールし、圧倒的なメロディ・ラインで聴く者をねじ伏せる彼ら。その高濃度のエモーションはジャンルの垣根を超えて、不特定多数の音楽リスナーに刺さるポテンシャルを秘めている。
そして、本公演の模様がCVLTEのYouTubeチャンネルにて1月31日21時から期間限定で公開されることが発表された。チケット即日完売のCVLTE初のワンマンライブを是非この機会に目に焼き付けてほしい。
2022年は間違いなく、CVLTEが大きく飛躍する年になるだろう。
Text:荒金良介 / Photo:Yuto Fukada
<公演情報>
CVLTE pre.“RITUAL vol.1”supported by The Orchard Japan
1月15日(土) 東京・SHIBUYA WWW