松尾スズキの“部活”第1弾『命、ギガ長ス』が開幕
昨年12月に大人計画が旗揚げ30周年を記念してイベント『30祭』を大々的に行ったのは記憶に新しいが、31年目に主宰の松尾スズキが起こした行動は劇団ならぬ“演劇部”の設立だった。「思いかえせば、学生演劇をやっていた頃が一番楽しかったのではないか?」という「自戒のような」思いから、その名は「東京成人演劇部」。部員は松尾のみで、7月4日(木)にザ・スズナリで開幕する第1弾『命、ギガ長ス』は、相手役に安藤玉恵を迎えて贈る二人芝居だ。
認知症を抱える母とアルコール依存症でニートの息子。ドキュメンタリー作家とゼミの教授。松尾自身が「演劇をやっていなかったら、東京に来ていなかったらなっていたかもしれない自分を投影させた」作品になるという。
大人計画はいまや、日本でも指折りの劇団だ。その主宰たる松尾が突然ちいさな芝居をやることと、ザ・スズナリという劇場から思い出すのは2012年の一人芝居『生きちゃってどうすんだ』だ。
転換を繰り返す歌手やゾンビ役者など、クセのある人物を代わる代わる松尾が一人で演じきり、「スズちゃん」という一人の男の人生を浮かび上がらせるという趣向だった。突飛な設定やファンタジックな展開もありはしたが、これもやはり松尾自身が投影されていたものだったのだと思う。「生きちゃってどうすんだ」とつぶやいてから7年、「命、ギガ長ス」とやはり人生の長さを憂う松尾。その作品はどう変化しているのだろう。
一人芝居は単発であったが、今回は新たなプロジェクトのスタートだ。“演劇部”と言いつつ、全国5都市をまわり、台湾での上演も決定している。56歳の松尾スズキが、こうして新たな挑戦をする姿を、喜んで享受したい。
松尾スズキプロデュース 東京成人演劇部vol.1『命、ギガ長ス』は、7月4日(木)から21日(日)までザ・スズナリにて上演した後、富山、大阪、北九州、宮城、札幌、そして台湾で公演を行う。
文:釣木文恵
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