恒例の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」上演中 出演の雀右衛門、松緑、亀蔵、巳之助らが語る金丸座ならではの魅力
(c)松竹
香川県琴平町の旧金毘羅大芝居、通称金丸座では、2026年4月10日より第三十九回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が上演中だ。現存する日本最古の本格的芝居小屋での恒例の歌舞伎公演、今年は中村雀右衛門、尾上松緑、坂東亀蔵、坂東巳之助、坂東新悟が登場。第一部では『傾城反魂香』土佐将監閑居の場、通称「吃又」と『身替座禅』、第二部では『妹背山婦女庭訓』三笠山御殿と『鷺娘』を上演し、連日客席を沸かせている。開幕前日に行われた囲み取材では、出演者たちが公演への思いを語った。
旧金毘羅大芝居(金丸座)外観(c)松竹
旧金毘羅大芝居(金丸座)内観(c)松竹
囲み取材の冒頭、「襲名から10年という節目の年に来させていただき、ありがたい」と喜びを明かしたのは、今回が10回目の出演となる雀右衛門。平均して約4年に一度のペースでの出演は、「オリンピックと一緒ですねと話していたのですが、今回は、お客さまに“金メダルだね”と言われるようないいお芝居を勤めさせていただきたい」という。第二部『妹背山婦女庭訓』でお三輪を演じるが、「若い娘のピュアで一途な気持ちがお客さまに通じれば」。また映画『国宝』のブームで初めて歌舞伎の魅力に触れた人々に向けて、「金丸座のように近くで観ると、より一層、歌舞伎っていいんだなと思っていただけるのでは」とアピールした。
中村雀右衛門(c)松竹
9年ぶり4回目のこんぴら歌舞伎出演となる松緑は、「またここに帰ってくることができました。密度がとても濃い劇場で、時には悲しみ、時には怒り、時には笑いを、劇場の隅々まで届けられる。昨日お稽古させていただき、またこの劇場で芝居ができるんだと嬉しく思いました」。第一部『身替座禅』では山蔭右京を勤めるが、「お殿さまが浮気をし、奥さまに焼きもちを焼かれるというストーリーで、とてもチャーミングな役です。お客さまが笑って許してくれるような右京を」。第二部『妹背山婦女庭訓』で演じる漁師鱶七実は金輪五郎今国については、「鱶七は何事にも動じない、私の理想に近い男。劇場からはみ出るぐらいの迫力が出るよう勤めたい」と述べた。
尾上松緑(c)松竹
こんぴら歌舞伎初登場の巳之助は、「これを機に、しっかりと巳之助の名前、顔を覚えていただけるよう勤めさせていただきたい」と意気込む。
金丸座の魅力については、「染みついた時間の流れが、入った瞬間に感じられる。昔ながらの造りですので、昨日は思いきり頭をぶつけました。日本人の平均身長の変化、昔ながらのものが残っているなということを痛みとともに感じました」と笑いを巻き起こす。『身替座禅』の太郎冠者、『傾城反魂香』の又平を演じる。
坂東巳之助(c)松竹
11年ぶり3回目の出演となる亀蔵は三演目で三役を勤める。そのひとつ、『身替座禅』奥方玉の井は「旦那さまが大好きで、いろいろ世話をしたい。四六時中それなので、旦那さまはちょっと嫌になってどこかに行ってしまう。そこを根本に、大事に演じたい」と、16年ぶりの女方に意欲。
「江戸時代にタイムスリップした気持ちでお芝居ができる。とても貴重な経験に、気が引き締まる思いです」とも。
坂東亀蔵(c)松竹
新悟は9年ぶり2回目の出演。第一部『傾城反魂香』で又平を支える女房おとくを、第二部では『鷺娘』に取り組む。「『鷺娘』にはいろんな演出がありますが、今回はなるべく古風に楽しんでいただける演出に。華やかな芸、魅力が詰まった踊りです」とその魅力を紹介。登場シーンではセリが使われるが、金丸座のセリは人力。動かすのは、琴平町商工会の青年会の人々だ。
「人力ならではの雰囲気を感じていただけると嬉しいですね」。
坂東新悟(c)松竹
なお、開演前に劇場の入り口で観客を呼び込み、公演を盛り上げる“木戸芸者”も、青年会の若者たちが担う。雀右衛門は「本当にありがたいこと。町の方たちが一体となって応援してくださり、劇場の中にも熱がこもっていくことになろうかと思います」と感謝の気持ちを伝えた。
金刀比羅宮成功祈願祭お練り(町廻り)より(c)松竹
その後、大勢の見物客が迎える町内で行われたお練りには、市川男寅、嵐橘三郎も参加。『傾城反魂香』土佐修理之助でこんぴら歌舞伎初登場を果たす男寅は、実は2020年に出演が決まっていたが、コロナ禍で公演自体が中止に。セレモニーの場での挨拶では、「念願叶い、6年越しでございます。一生懸命勤めたいと思います」と熱意を明かす。
12年ぶり7回目の橘三郎は1988年が初出演。「初めて伺ったときは『俊寛』の敵役、瀬尾太郎兼康でしたが、客席のそのあたりで女性の方が“憎らしいわね”とおっしゃった!そのように観てくださるのが楽しみで、今回も伺いました」。
市川男寅(c)松竹
嵐橘三郎(c)松竹
こんぴら歌舞伎だからこその魅力がぎゅっと詰まった公演は4月26日(日)まで。今年も多くの観客に、江戸の芝居小屋の風情と歌舞伎の楽しさを届ける。
<公演情報>
第三十九回「四国こんぴら歌舞伎大芝居」
【演目】
■第一部11:00~
一、『傾城反魂香(けいせいはんごんこう)土佐将監閑居の場』
二、『新古演劇十種の内 身替座禅(みがわりざぜん)』
■第二部15:00~
一、『妹背山婦女庭訓(いもせやまおんなていきん)三笠山御殿』
二、『鷺娘(さぎむすめ)』
2026年4月10日(金)~26日(日)
会場:香川・旧金毘羅大芝居(金丸座)
公式サイト:
https://www.konpirakabuki.jp/schedule/