科学者たちの夢と現実 劇団青年座『ズベズダー荒野より宙(そら)へ』開幕
9月10日よりシアタートラムにて劇団青年座『ズベズダー荒野より宙(そら)へ』が幕を開ける。昨年の公演予定がコロナの影響で延期となり、満を持しての上演だが、奇しくも今年は人類初の宇宙有人飛行からちょうど60年。その偉業を達成したのはソ連のガガーリンだ。
「ズベズダ」とはロシア語で星を意味するという。第二次世界大戦の頃、ドイツ人科学者を多数拉致していたソ連。なかでもロケット研究者たちは湖の中の島に強制収容され、ナチスドイツの先進技術を活用してロケット開発を進めたのだという。50年代から激化したソ連ととアメリカの宇宙開発競争の中で、ソ連のロケット開発に携わった人々の姿を描く。
脚本はKAAT神奈川芸術劇場で12日まで上演中の『湊横濱荒狗挽歌〜新粧、三人吉三。
』でも脚本を手がけたパラドックス定数の野木萌葱。現実を下敷きにしたドラマティックな展開を、過不足のないキュッと締まった巧みな会話で紡ぐことを得意とする脚本家だ。その脚本を受け止める演出は黒岩亮。野木作品は今回で3度目となる。
稽古風景や公開されているPVからは、舞台上に惑星の軌道を思わせる幾重もの円が描かれている様子が垣間見える。そんな断片からも、本番でどのようなセットが立ち上がり、どんな演出でキャストたちが立つのかが楽しみになってくる。横堀悦夫や綱島郷太郎といった経験豊富な役者たちから、今回が本公演初参加となる尾島春香、そして大学で航空宇宙工学を専攻していた高松潤ら、青年座の役者陣の演技も見もの。
国の威信をかけた競争という大きな使命とたくさんの思惑のなかで、純粋に新しい技術を生みだそうと取り組む人々のいきいきとした姿が観られそうだ。
文:釣木文恵
劇団青年座 第242回公演『ズベズダ-荒野より宙(そら)へ』
作:野木萌葱
演出:黒岩亮
2021年9月10日(金)~2021年9月20日(月・祝)
会場:東京・シアタートラム
10月4日(月)19:00~11日(月)21:59期間限定で映像配信あり
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