別役実が描くもうひとつのストーリー『歌うシンデレラ』が開幕
撮影:堀川高志
日本の不条理演劇を確立した第一人者で、童話作家でもある別役実が、童話『シンデレラ』を題材に描いたユーモアあふれる戯曲『歌うシンデレラ』。兵庫県立ピッコロ劇団による、大人も子供も一緒に楽しめるこの舞台が、12月21日(土)・22日(日)兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホールにて上演される。
物語の舞台は、ある森の中。大きな木に“よろず相談・長ぐつをはいた猫事務所”と書かれた看板が下がっている。所長の長ぐつを履いた猫と助手のウサギは、お客を待ちわびている。いつもは誰も来ない相談所だが、ある日、シンデレラ、そしてお母さんとお姉さん、そして王子様と、『シンデレラ』の登場人物たちが次々とやって来る。彼女たちは皆、どこかおかしな具合で、誰かを探しているようで……。
誰もがよく知っている童話に出てくる登場人物たちにより、まったく想像していなかった物語が展開される舞台。
2002年の入団以来、ファミリー劇場に17年連続で出演してきたピッコロ劇団員の吉村祐樹の演出で、歌あり、ダンスありのエネルギッシュなステージが展開される。子供たちの初めての観劇体験としてもお薦めできる公演だ。なお、聴覚に障害のある方や聴こえづらい方も舞台を楽しめるよう、セリフや音の情報を、舞台横に字幕で表示して上演する。
文:伊藤由紀子