生活の場と密着した日本画の一面を紹介 特別企画展『日本画の棲み家』11月2日より開催
六本木一丁目に位置する泉屋博古館東京では、2023年11月2日(木)より、特別企画展『日本画の棲み家』が開催される。
かつては床の間に掛けたり、屏風絵や襖絵として座敷を飾るなど、人々の暮らしの中にあった日本絵画。しかし、明治時代以降、展覧会制度が導入されると、日本画は展覧会の会場に合せてサイズは大きく、画題や色彩も濃厚なものとなり、家の中で楽しむこともままならなくなっていく。以来現在にも続く日本画の「棲み家」の問題や、今後の日本画の鑑賞とあり方などを考える展覧会だ。
まず第一章では、住友家第15代住友左衛門友純(1864~1926、号春翠)の、いくつもの邸宅を彩った日本画を展示。床の間を飾った軸、座敷の間仕切りとして使用された屏風や衝立を紹介することにより、家を「棲み家」とした日本画の諸相を紹介する。
第二章では、「床の間」と日本画の関係について考える。明治期、庶民の間では接客空間として床の間のある家が普及するが、大正期に入ると空間の合理性という観点から「床の間無用論」が叫ばれるようになる。
と同時に、展覧会で展示される革新的な日本絵画を「展覧会(会場)芸術」、床の間を飾るような旧来の日本画を、時代遅れの「床の間芸術」と呼ぶなど、「床の間」の受難が始まった。
今でも、床の間がテレビや荷物置き場と化している家を見ることがあるが、第三章では現代における「床の間芸術」を考える。一般的には、日本画を所有し、日常的に楽しむこと自体ハードルの高い習慣に感じてしまうが、コロナ禍の巣ごもり生活で、「おうち時間」の大切さを知った私たちには、まったく理解できないことではないだろう。同展では、日本画の「おうち鑑賞」を目指して、6名の現代作家が新しい「床の間芸術」を発表する。イベントやラーニングプログラムも盛りだくさんなので、興味のある方はホームページで確認を。
<開催情報>
特別企画展『日本画の棲み家』
会期:2023年11月2日(木)〜12月17日(日)
会場:泉屋博古館東京
時間:11:00~18:00、金曜は19:00まで(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜
入館料:一般1,000円、高大生600円
公式サイト:
https://sen-oku.or.jp/tokyo/