Superflyデビュー15周年を祝う一夜限りのワンマンライブ「Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”」を開催! 3年ぶりの有観客ステージで彼女が示した、歌うことへの軽やかな決意
有明アリーナに集まった満員のオーディエンスの視線が一点に集まる。3年ぶりにSuperflyがステージに帰ってきたのだ。円形のセンターステージを客席がぐるりと囲む空間は、歌を届けることへの彼女の決意とこの日の特別感が現れているようだった。
「一夜限りのスペシャルライブ」と銘打たれた今回のライブは、Superflyのデビュー15周年を記念して開催されたものだ。さらに“Get Back!!”(取り戻せ)というタイトルには、コロナ禍の日々も含めて、この15年間ともにあり続けたファンへの感謝の気持ちが込められている。
ステージ上部に設けられた360度LEDのビジョンには、バンドメンバーが今まさにステージに向かう様子がモノクロの映像で映し出され、おなじみのオープニングSE「Superfly」(カーティス・メイフィールド)が会場に流れる。それと同時にオーディエンスがクラップでメンバーを呼び込み、まだステージを薄い幕が覆ったままの状態でバンドが1曲目「Bi-Li-Li Emotion」のイントロを演奏し始める。ストロボの照明が派手に点滅し、幕が開くと円形ステージの真ん中にSuperflyが現れた。
ここで、この円形ステージが巨大なピースマークをかたどっていることがわかった。ピースマーク自体が通路となっていて、その空いた部分にバンドメンバーがパートごとに配置されている。ダンサー4人も加えて総勢21名による豪華なバンドが集結した。
「Bi-Li-Li Emotion」に続いて、「タマシイレボリューション」「Hi-Five」と、Superfly楽曲の中でもライブにおけるキメとでもいうべきナンバーをアタマから立て続けに披露するあたりに、この日のライブが普通のライブではないというのが十分伝わってくる。「Hi-Five」のイントロでは、早速キャノン砲で銀テープがオーディエンスの頭上に降り注ぐ演出が。コロナでライブができなかった期間をすっ飛ばして、いつかのライブの続きから体験しているような、まさに“Get Back感”だ。
それと、実は立って歌うのも2年ぶりくらいなんです(笑)。今日は思いっきりみんなと盛り上がりたいと思ったので、立ち上がる決意をしました」
前半を締めくくるブロックは、Superflyの歌の芯を感じられるような選曲で構成されていた。「ハロー・ハロー」「輝く月のように」「フレア」と、ミドルテンポの楽曲をひとつひとつの言葉と音を噛みしめるように歌う彼女の姿に、改めてSuperflyがエンタテインメントのど真ん中に戻ってきたという感慨を抱く。もちろん、この3年間止まっていたわけではない。オンラインライブの実施や新曲の発表などの活動を継続していた。そして、今年に入ってプライベートでも出産という大きな出来事を経て、今彼女が立っている場所がステージであるということが何より幸福感に包まれているように思えてならなかった。「Wildflower」では大地を、「On Your Side」では海を映像とともに表現した歌唱は圧巻。今の彼女でしか表現できない歌の世界観というものに触れ、過去曲が進化していく様子をドキュメントで目にしているようだった。
ピアノのイントロでオーディエンスが沸く。「愛をこめて花束を」だ。オーディエンスとコミュニケーションをするように円の外周を歩きながら歌唱する姿が印象的だった。その前のMCで、今回どうして円形ステージを採用したかの理由が本人の口から語られた。曰く、「みんなと久しぶりに会うので、できるだけ近くに感じたかった」。
「Beep!!」でのバンドのソロ回しの後、衣装を変えてダンサーとともに花道から登場したSuperflyがそのまま後半の歌唱に参加し、「マニフェスト」へ流れ込む。ネオンサインの看板を模した照明がストリート感を演出する。
「『マニフェスト』をやると眠っていた何かが目覚めちゃいますね」
目覚めた何かを解き放つかのように「Force」から始まった熱狂の後半ブロック。
「Alright!!」では、後半戦に突入する前に練習したウェーブをオーディエンスが実践。まだ声が出せない中でもライブの楽しみ方は無限だ。火柱の特効で始まったのは「ダイナマイト」。さらに「Voice」と今年発表した新曲を立て続けに披露した。「Voice」ではビジョンに映し出された群舞、外周に散らばりオーディエンスに向けて歌を放つコーラス隊、テンションの高い演奏をキープし続けるバンド、そしてその真ん中で歌うSuperfly――圧倒的な生の迫力、人力でしか表現できないライブへの確信のようなものを感じた。それを15年間続けてきたのだという思いが新曲に滲む。
新曲を披露した流れで、MCではこんな思いを語った。
「今回、3年ぶりということもあって“Get Back!!”というタイトルにしたんですけど、15周年なので昔の歌もたくさん歌いたいなって思ったんです。
それで、どうせだったら昔の歌のフィーリングを取り戻してみるのも良い機会かなと思って、過去の作品たちを聴いたり練習したり、地味にやってたんです。いつも常に進化していたい、最新の自分が一番良くありたいって思ってやっているので、きっと昔の作品を聴いたら未熟でガッカリするんじゃないかなって思ってたんですよね。でも、意外と、というか、昔の自分の歌声もすごいなって思えたんですよ。荒削りなんだけど、めちゃくちゃエネルギーがあるし、今の私が真似できない何かがあるような感じがして、初めて『いいじゃん』って思えたんですよね。だから、今の私と昔の私が合体したような感じがしているんです。そういう状態でみんなに歌声を届けることができて今日はすごく幸せです」
ここから本格的にライブ活動を再開していくと力強く語ったSuperfly。6月から始まるアリーナツアーをサプライズで発表した。本編ラストは「Starting Over」。
自身の過去映像とともに歌われる同曲で15周年を記念したライブを締めくくった。
アンコールでは、「Beautiful」「愛と感謝」を披露。
「歌を歌うことと、歌詞を書くこととメロディを作ること。この3つのことを本気で毎日毎日考えまくった15年間でした。それを続けてこられたのも、みんながいてくれたからです。本当にありがとうございます。これからも軽やかに活動していけたらいいなと思います」
最後にパフォーマンスした最新曲「Presence」が示したものは、Superflyの過去と現在、そして未来がひとつながりになった道筋そのものだった。
Text:谷岡正浩Photo:神藤剛 / カワベミサキ
<公演情報>
一夜限りのスペシャルライブ
Superfly 15th Anniversary Live “Get Back!!”
11月23日(水・祝) 東京・有明アリーナ